二次創作によって生まれる新たな視点と、その拡張性。
イギリスのバンドThe 1975が、ニューアルバム 「Notes On A Conditional Form」の素材を公開し、ファンやクリエイターが自由にリミックスやアートワークを制作できるバーチャルルーム「Mindshower」をローンチしています。
「Mindshower」は、 アルバムの制作背景やテーマを提示するだけでなく、それらを受け取ったファンやクリエイターが、それぞれの解釈を通して再びコンテンツをアウトプットし、世界と共有するためのインタラクティブなウェブサイト。
バーチャルルームには、楽曲のステムデータ( 音楽制作において、オーディオトラックを編集しやすくするために、パートごとなどに分かれた複数のトラックをまとめたもの )以外にも、各楽曲やアルバムのアートワーク、バンドのロゴデータ、マーチャンダイズアイテムのデザイン用のデータなど、さまざまな素材がぎっしり。
これらを使って作られた制作物は、同じバーチャルルーム内でアップすることも可能。すでにSNSでは、さまざまな作品が共有され始めており、評価が高いものに関しては、Amazon Musicでのキャンペーンにも使用されるそうです。
「Alexa, Enter Mindshower」と呼びかけると…
バーチャルルームに入ってすぐに目に飛び込むスローガンは「LEARN, CREATE, SHARE(学び、創造し、共有する)」。アーティストにとって作品の素材は、魂とも言える大切なもの。それらをあえて一般に公開してそこからともに学び、そしてそれを使って一緒にクリエイトしていこうという試みです。
また、クリエイターでなくても興味深いコンテンツも。バンドの制作に携わる、写真家のJordan Curtis Hughes、グラフィックデザイナーのSamuel Burgess-Johnson、ファッションエディターでスタイリストのPatricia VillirilloらがキュレーションしたZINEを読むことができ、舞台裏の写真や、制作過程などを見ることができます。
The 1975のボーカル、マシュー・ヒーリーは、テクノロジーやVRから多大なインスピレーションを受けているようで、Vogueでのインタビューでも下記のように話しています。
今はゲームに夢中なんだ。デジタル空間に、ほんとうにめちゃくちゃ興味があるんだよ。
映画はゲームにはない方法で心に響くし、ゲームは音楽にはない方法で心に響くし、音楽は文学にはない方法で心に響く。映画のようにナラティブを体験できて、ゲームのように意思決定やインターフェースを体験できて、音楽を作っているときのように音楽を体験できるようなものが欲しいんだ。
THE 1975の作品の多くは、デジタル空間での実験なんだよ。
『フォートナイト』では、トラヴィス・スコットがライブをやったり、クリストファー・ノーラン最新作のトレーラーが世界独占生配信されたり。『あつまれ どうぶつの森』でも、高級ブランドがオリジナルデザインを紹介するなど、ゲームやデジタル空間に影響を受けるエンターテインメントが増える昨今。
ギズモードも、まだまだ新しいクリエイティブの芽や、次なるカルチャーの可能性を探していきますよ。
Source: THE LIST