牧羊犬の存在意義を奪わないでほしい。
今週、ニュージーランドのソフトウェア会社RocosがBoston Dynamicsとパートナーを組んで、あの悪夢の四脚ロボット犬「Spot」に、牧羊犬としての仕事を与えたというニュースが報じられました。
Rocosはロボットを遠隔操作するソフトウェアを開発することを専門とした会社で、スポットを牧羊犬にすることで新型コロナウィルス感染拡大による人手不足問題を解消し、郊外における食品産業を助ける目論見だそうです。
「熱センサ、LIDARセンサ、ガスセンサに高解像度カメラセンサなどを備えたスポットは、厳しい環境でも誘導でき、かつリアルタイムでデータをキャプチャしてくれます。農業において、農夫たちはより正確で最新の収量推定情報にアクセスすることができます。これにより、自動化の新たなカテゴリーと、より安全で効率的なビジネスへのアクセスが可能になるのです。」
さすが四足歩行のSpotだけあって、足場の悪い場所でも難なく移動しています。羊たちも拍子抜けするくらいSpotを受け入れている様子です。もう少し拒否反応を示したり、無視したりするかと思っていたのに。
牧羊犬は失業するのか
こうなってくると心配になってくるのが牧羊犬たちの今後です。人間を助けるために作られた牧羊犬たちは、オーナーのために働くことに生きる喜びとプライドを見出します。運動量を要する犬種なので、家でのんびり暮らすというライフスタイルも合いません。そんな牧羊犬の代わりにSpotとなると、今後が心配になってきますが、幸いにもRocosとBoston Dynamicsは従来の牧羊犬を完全に置き換えてしまうのではなく、あくまで補完的にSpotを導入しようと考えているようです。
Rocosによると、初期のテストにおいて、Boston Dynamicsチームはニュージーランドの道の領域を、米国のオフィスから全てナビゲートすることに成功したそうですし、犬には備わっていないハイテク機能部分を補ってくれる頼もしいサポートになってくれるのでは。(個人的には犬に失業してほしくない。犬頑張れ)。
COVID-19パンデミックで加速する自律ロボの影響力
未曾有のウィルス感染により、私たちのワークスタイルは激変しました。Spotは、COVID-19の感染拡大によって急速に成長したアグリテックの最新例と言えそう。RocosのCEOであるDavid Inggs氏は次のように話しています。
「自律ロボットの時代がやってきます。私たちの顧客は、退屈で危険で汚い仕事を自動化しています。」
今後は日本で言うところの3K仕事はロボットが担うことになりそう。というか、もうなっているのかも。
Boston Dynamicsは、昨今のパンデミックを受けて、Spotを地域の医療現場に配置して、遠隔医療で医療従事者のリスク低減に寄与できるか確かめているところでもあります。Boston DynamicsのSpotに限らず、COVID-19はオートメーション化を加速させています。医療現場の清掃ロボットやAmazonやWalmartの在庫管理ロボットは既に活躍していますし、マクドナルドは調理ロボットをテスト中です。ついこの間までロボットに人間の仕事が奪われることに恐怖していましたが、今はロボットが私たちの生活だけでなく健康まで支える重要なファクターになってきました。
でも、牧羊犬の仕事は完全に奪わないでほしいな…(しつこい)。