新発見により深まる宇宙のナゾ:157日周期で届く高速電波バースト

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  • author George Dvorsky - Gizmodo US
  • [原文]
  • 山田ちとら
新発見により深まる宇宙のナゾ:157日周期で届く高速電波バースト

ひょっとしたらだれかからのメッセージ、なんてことも?

何万、何億光年も離れた深宇宙から届く謎だらけの電波。何万、何億光年という気の遠くなるほどの距離を移動しながらも高エネルギーを保ち続け、一瞬で地球を通り過ぎます。地球の観測器ではたった数ミリ秒間しか検出されないことから「高速電波バースト(fast radio burst)」と呼ばれています。2007年に初めて発見されて以来いくつも観測されているのですが、その成り立ちは未だ謎に包まれたまま。

ところが最新の調査により、157日間の周期でリピートしている高速電波バーストがあることがわかりました。高速電波バーストの謎を解く大きなヒントになるかもしれない、と大いに期待されています。

異常に長い周期性

王立天文学会が刊行している学術雑誌『Monthly Notices of the Royal Astronomical Society』に掲載された論文によれば、地球からざっと30億光年離れた矮小銀河から届く高速電波バースト「FRB 121102」には157日の周期があり、90日間活動→67日間休止というパターンを繰り返していることがわかったそうです。

発見者である英マンチェスター大学のKaustubh Rajwadeさん率いる天文学者チームは過去4年間にわたってFRB 121102を観測し続け、独立したバーストを32回観測しました。今回の研究以前の観測データも交えて分析したところ、157日周期が判明したとのことです。

これまでに発見されている高速電波バーストの中で周期性が認められているのは、FRB 121102ともうひとつ、FRB 180916.J10158+56のみ。後者の場合は16日周期が確認されています。そもそも、高速電波バーストが発見された当初は突発的なものだと考えられていました。

ランダムじゃないっぽい

高速電波バーストは観測が非常に難しいこともあってポツポツとしか発見されず、謎に包まれてきました。超新星爆発によるものか?などと言われてきたのですが、2019年になってそれをくつがえす大発見がありました。カナダの研究チームがFRB 180916.J10158+56に初めて周期性を発見したのです。こちらは4日間活動した後12日間休止するパターンが判明し、それまでの仮説をひっくり返しました。

現在では高速電波バーストは強い磁場を持ち高速回転している中性子星(「帯磁星」ともいう)から来てるんじゃないかとか、超高密度の天体同士の衝突、または超大質量ブラックホール、はたまた地球外生命体のしわざ、などなど諸説がありますが、どれも科学的な裏付けはありません。

宇宙空間を巡る灯台のよう

FRB 180916.J10158+56の16日周期に比べ、FRB 121102はほぼ10倍長い周期で放射されているのはなぜなのか。

この周期の差が、もしかしたら高速電波バーストの発信源や成り立ちについて知るヒントになるかもしれません。

今回発表された研究とは直接関わりのない米ハーバード大学の天文学者・Avi Loebさんによれば、「もっとも合理的な説明」として、FRB 121102は中性子星のような発信源が別の中性子星を周回しながら放射されているシナリオが想起されるそうです。冒頭のイラストですね。

発信源である中性子星が周回しながら絶えず1本の電波ビームを放射しているとしたら、ちょうど地球と一直線を結ぶ数ミリ秒間以外は電波をキャッチできていないのではないか。または、中心にある天体は中性子星ではなく、ほぼ太陽と同じぐらいの質量を持った恒星だという可能性も考えられるそうです。

「0.43年(=157日)という起動周期を持つ天体は、伴星との距離が地球と太陽の距離の約半分になると考えられます」とLoebさんは米ギズモードに語っています。「一方で、もし発信源となる天体が両極から2本の電波ビームを放射しているとしたら、157日というのは起動周期の半分にしかなりません。そうなると、発信源と伴星との距離は地球と太陽の距離とほぼ変わらないことになります。」

コマではない

今回の新たな発見により、説得力が低下した高速電波バースト説もあります。マンチェスター大のプレスリリースによれば、

非常に強い磁場を伴った中性子星の磁気軸のブレ(コマの軸がブレていくのと同一の現象)が高速電波バーストをつくり出している可能性が指摘されてきたものの、磁気軸のブレでは今回のデータが明らかにした157日の周期を説明するのは難しいと思われます。

もしかしたらFRB 121102とFRB 180916.J10158+56はまったく違う天文現象を現しているのかもしれない可能性も否定できません。

依然、宇宙はわからないことだらけで、高速電波バーストも例外ではありません。今回見つかった周期性も計算してはじき出された値に過ぎないことから、ハーバードのLoebさんいわく、「より統計的に確かな結果を得るためには追加のデータが必要」だそうです。

謎に包まれた現象ではあるものの、高速電波バーストが宇宙に存在しているのは動かぬ事実。この事実を応用して、「消えた物質」のゆくえを探す研究も行われているぐらいです。

宇宙の5%は物質でできているはずなのに、人類がこれまで確認できている物質はその半分程度。残りの物質はどこへ消えてしまったのかすらわかりません。物質どころか、反物質のゆくえも、ダークマターやダークエネルギーの正体もまだ掴めていません。

人類が宇宙について知っていることは5%未満。謎のほうが圧倒的に多いからこそ、新しい発見のひとつひとつがこんなにも輝かしくて、魅力的なんでしょうか。

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