床屋で切った髪の毛をOLEDディスプレイに!? 燃やして残った炭素と窒素が大活躍

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  • author 岡本玄介
床屋で切った髪の毛をOLEDディスプレイに!? 燃やして残った炭素と窒素が大活躍
Image: QUT

廃棄される毛髪が、青く光るフレキシブルOLEDに!

日本語にすると「有機発光ダイオード」となるOLED。電気を流すと発光する性質が、ガジェットのディスプレイに利用されていますよね。材料は蛍光材料、燐光材料、低/高分子材料といった有機化合物で作られるのですが…これを廃棄物、特に人間の毛髪に由来する物質で作ろうという研究が行なわれています。

床屋と大学が手を組んだ

研究しているのは、豪州にあるクイーンズランド工科大学(QUT)。ここの研究者たちは、ブリスベンにある床屋さんと手を組み、いつかスマート機器に採用されるかもしれない、柔軟性を持つOLEDディスプレイの開発に取り組んでいます。

Video: TheQUTube/YouTube

新型ナノ素材「カーボン量子ドット」

研究者たちは、散髪後の髪の毛を集めて240度の高熱で燃やし、残った炭素窒素から炭素系ナノ材料「カーボン量子ドット」を生成します。カーボン量子ドットは蛍光性能が安定していながら毒性が低いことで注目されている新素材なのだそうです。

QUTでは、毛髪の量子ドットはテレビ用には暗いものの、小型のウェアラブル・デバイス程度なら使える、と報告されています。また毒性が低いため医療機器にも利用できる、と更なる可能性を示しています。なので動画では、たとえば医薬品の使用期限をリアルタイムで表示するスマート・パッケージなどに応用できるかもしれないとし、今後は動物の毛が使えるかどうか研究を重ねるとあります。

カーボン量子ドットは高価

普段は捨ててしまう毛髪が、IoTデバイスへと利用できるだなんて大発見ですよね。もし理髪店が研究所や生産工場に髪の毛を販売するようになれば、私たちのカット代はいくらか安くなるでしょうか?

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Image: QUT

ちなみに医薬品と研究機材を得意とするfunakoshiでは、研究用のカーボン量子ドット1mgが5万3000円、5mgが13万2000円で販売されています。なるほど、大変に高価な素材であることがわかりますよね。なので、仮に毛髪からカーボン量子ドットを生産できる施設があっても、加工代が高く付くのかなと思われます。となると、毛髪由来のOLEDデバイスも安くはないのかも…?

この技術がお手軽になった暁には、自分の髪から作られたOLED搭載デバイスを使ってみたいものです。いつかそんな日は来るでしょうか? ちょっと楽しみですね。

Source: YouTube, QUT, Wiley Online Library via NEW ATLAS
Reference: Wikipedia, SciencePortal China, funakoshi

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