インテル第10世代Core-iプロセッサーレビュー:14nmもそろそろ限界

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インテル第10世代Core-iプロセッサーレビュー:14nmもそろそろ限界
Photo: Joanna Nelius (Gizmodo)

10nmで苦戦するIntel(インテル)。14nmで10コア/20スレッドまで行ってしまうとは…!

同じ製造プロセスで6年、同じアーキテクチャで早5年。しかしIntelは第10世代デスクトップ向けCPUでは恐るべきことに性能をまたパワーアップ。特にSTIM(はんだ)で放熱向上を図って、最上位モデル「Core i9-10900K」で最大5.3GHzを実現した点が話題です。

ただベンチマーク比較では14nmの限界を感じる面もいろいろありました。今後AMDとの争いは微細プロセス(現状では7nm?)が主戦場になりそうです。

第10世代intel Core-iシリーズプロセッサ

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Photo: Joanna Nelius (Gizmodo)

これは何?:インテル最新の第10代デスクトップ用プロセッサの「Core i5-10600K」と「Core i9-10900K」

価格:i5-10600K:$262(5万6000円)、i9-10900K:$488(7万2000円)

好きなところ:冷却効率がアップ! i5-10600Kはゲーム用CPUでは最強コスパ!

好きじゃないところ:i9-10900Kは処理性能とオーバークロッキングにやや物足りなさも

忍び寄るAMDの影

Intelが14nmプロセスで6年停滞している間に、AMDは7nmプロセスに移行し、クロックスピードとコア数を着々と上げています。今はまだ「負荷の高いゲームなどのシングルコアアプリは、やっぱり1コアの性能が高いIntel、多コアの並列処理が問われる3DレンダリングなどのタスクはAMD」という大雑把な棲み分けがありますが、AMDはゲーム用CPUもがんばってるし、特に第3世代Ryzenは同メーカーのRadeonグラフィックカードと組み合わせるとIntelに性能で並びます。しかも値段は安め。買うモデルと用途によっては、コスパで優位に立っていると言えます。

いくら1コアあたりの性能が上でも、Intelはアーキテクチャもプロセスも年季が入ってます。昨年やっとIce Lakeで10nm化に乗り出しましたが、そちらも停滞中で、今年3月のモルガンスタンレー主催カンファレンスではGeorge Davis最高財務責任者自らが「ノード内の最適化が14nmから期待するほど強力ではない」と認める一幕もありました。

Intelは新プロセッサで「最速のゲーミングCPU」の実現に努めましたが、i9 10900Kと旧型i9 9900Kを比べても差はそんなにありません。2年落ちのCore i9-9900Kや1年落ちのRyzen 9 3900Xを買ったばかりの人は「第10世代を待ってから買うんだった…」と後悔の嵐かもですが、今回試した限りではトランスコーディングもレンダリングもゲームも大差ない印象で、488ドル(日本での市場価格=7万2000円)出して買い替えるほどでもない印象です。

Intelからは値ごろな262ドル (日本での市場価格=5万6000円)の「Core i5-10600K」も届きました。そちらなら最大4.8GHz(実測では4.9GHzだった)ですし、性能も価格も納得圏内かと…。第10世代の上位モデル「Core i9-10900K」は、低温時に自動でクロック周波数を100~200MHz向上するIntel独自の「Thermal Velocity Boost(VB)」 、ターボブーストが搭載されている割には5.0GHzまでしか実測では出ませんでした。廉価モデルと上位モデルのいずれを買うにしても、Intelはソケットのデザインをまたまた変更していますので、マザーボードの買い替えは必要です。14nmが終わってこれから7nm時代というときにこの出費は痛いですよね。Core i5-10600Kなら1080pの最強ゲーミング性能を考えればマザーボードの購入も納得ですが、Core i9-10900Kは値段が2倍近くするのに、それに見合う性能差は実感できませんでした。4コアも増えているのに。

さっそくベンチマーク!

最新上位モデルに感動したいのにできないもどかしさ。このモヤモヤをわかってもらうためにはベンチマーク結果を見てもらうのが一番ですよね。ここではRTX 2080 Ti、AsusのROG Maximus XII Extreme、G.SkillのTrident Z Royalシリーズ16GB(2 x 8GB)DDR4-3600、Samsung 970 Evo NVMe M.2 SSD 500GB、Seasonic Focus GX-1000で比べてみました。使ったCPUクーラーはCorsair H150i Pro RGB 360mmです。

テスト中、真っ先に気づいたのは熱が出ないこと。ロード中も70~75℃といった程度でした。クーラーが高性能だから当然といえば当然ですが、ダイ(集積回路が焼き付けてあるシリコンウェハーチップを薄くしてSTIMで熱を散らせるようにしたというIntelのお話は本当みたい。「消費電力が330Wまでいった」というレビューもありましたが、米Gizmodoのテストでは250Wを超えることはありませんでした。そのせいでスコアが伸びなかったのかもしれませんけどね…(330Wはかなり高電力なので、その前提でPCを作る人は少ない気もしますが)。

公称最大値の5.3GHzが出ない…

i9-10900Kの「動作クロック最大5.3GHz」は再現できませんでした。Intelのすすめに従ってNotcuaのNH-D15からCorsairのH150i Pro RGB 360mmやオールインワン水冷CPUクーラーに変えてもダメで…。H150iだと冷え方が足りなくて、TVBとターボブーストマックス・テクノロジーが作動しないので、それもあってIntelから聞いていた数値が出なかったのかも…。

マルチコアのワークロードでCore i9-10900Kの計測値とRyzen 9 3900Xの計測履歴を比べた結果はRyzenの勝ちでした。これは自分で試してから編集部にダブルチェックしてもらったんですが、結果は同じでした。Core i9-10900Kは37650、Ryzen 9 3900Xは39850となっています。使ったベンチアプリは定番のGeekbench 4です。

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マルチコアスコア。数値が高いほどイイ。
Image: Gizmodo


20200614IntelCore10thDesktopProcessors_bench_BlenderTime_to_Render
3Dレンダリング所要時間(秒)。短いほど高速
Image: Gizmodo


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4Kから1080fへの変換にかかる時間(秒)
Image: Gizmodo


トランスコーディング、3Dレンダリングにかかる時間もAMD Ryzen 9 3900XはIntel Core i9-10900Kより短くて、動画を4Kから1080pに変換する時間は264.2秒(4.4分)対360秒(6分)でRyzenの勝ちでした。

旧モデルより…遅い!?

3Dレンダリングにかかる時間も158.2秒(2.6分)対279秒(4.7分)でRyzenの勝ちでした。これはまあ、Ryzen 9 3900Xは12コア/24スレッド、Core i9-10900Kは10コア/20スレッドで差があるし、マルチコアの作業処理はAMDの得意分野なので予想の圏内ですが、ビックリしたのはIntel第9世代Core i9-9900K(8コア/16スレッド)のほうが第10世代Core i9-10900K(10コア/20スレッド)より高速に処理できたことです。これについてはIntelに問い合わせてみましたが、明確な回答は得られませんでした(個体差かもしれないので、再テスト用に別のCPUとマザーボードを送ってもらっているところです)。

マザーボードが違うことを除けばスペックは新旧きっちり揃えて比べたのに。高価なマザーボードを使っているんですが、これではCore i9-10900K(目がちらちらしますが、「10」=第10世代)の処理に必要な電力量を確保できない…とかですかね…。でもAsus ROG Maximus XII Extremeならその辺りのことは問題なく処理できるはずなので、ちょっと原因はわかりません。

Core i9-9900K(「9」=第9世代)は4K動画の変換スピードも351秒(5.9分)、3Dレンダリングも231秒(3.9分)で新型より高速なんですね。マルチコアスコアは33912で新型の37650には及びませんが、シングルコアは6109で新型の6015に勝っちゃってるんです。Core i9-10900Kは先述のように最大値の5.3GHzまでは伸びず、ときどき5.0GHzになる程度。AI最適化をONにしても4.8-4.9GHzまでしか出ません。つまり新型にアップグレードしてもコア当たりの処理性能はほぼ横ばいということに。違いが出るのは、コア数が増えた強みを発揮できるマルチコア。でもそれだけでBlender、Handbrakeで旧型が勝ってしまう現象は説明がつかないように思います。

ゲームは相変わらずIntelの勝ち!

20200614IntelCore10thDesktopProcessors_bench_Geekbench4SingleCoreScore
シングルコアスコア。数値が高いほどイイ
Image: Gizmodo

シングルコアの性能は6015対5376で相変わらずIntelの圧勝です。『シヴィリゼーションVI』なんかのゲームをしているときのAIターンアラウンドタイムは6.4対9.08ms。Intelの旧型は6.9ms、Core i5-10600Kも6.5msなのであまり差はありません。Core i5-10600KはGeekbench 4のシングルコアスコアも5836で、まったく遜色ありません。まあ、マルチコアはかなり遅いけど、これは6コア/12スレッドなのでしょうがないですよね。

ゲームに関しては、Core i5-10600KはミッドレンジのCPUでは最強コスパと言えます。『シャドウ オブ ザ トゥームレイダー 』もCore i9-9900Kとの差はわずか5fps未満だし、『ファークライ5』にいたっては互角です。最強グラボの GeForce RTX 2080 Tiを使えばほぼすべてのゲームを4K・60fpsで楽しめます。もちろんベストなゲーム性能を求めるならi9-10900Kですけど(10~15fpsぐらい増えて130 fpsで『Total War: Warhammer II 』を除くほぼすべてのゲームができる)、i5-10600Kとそれほど大きな違いはないし、対費用効果、電力量まで考えるとまったく見劣りしません。

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Image: Gizmodo


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Image: Gizmodo


買い?

Core i9-10900Kの謎なベンチ結果はさておき、Intelは世代を重ねるごとに改善を重ねていますし、14nmプロセスでもそれは感じます。買いか待ちかは、PCに何を求めるか、予算がいくらかによりますよね。

マルチコアの作業負荷が不要ならCore i5-10600Kで今は充分。RTX 2080 Tiがムリなら、RTX 2060 Super級のGPUでも1080pで快適にゲームできます。心の底からおすすめです。一方、Core i9-10900Kはニッチな層が選ぶCPUですね。値段に見合う製品かどうかは「?」です。それでもいいなら止めません。

ただ来年Intelは新プロセスに移行する見通しなので、このタイミングで過去の14nmプロセスのものを買うのはどうかなあ…。どうしてもIntelのCPUが今すぐ要るならi5-10600Kの値ごろ感は見逃せないし、AMDから次世代Ryzenも年内登場予定です。今すぐ最高動作でゲームしたい人以外は、Intelから来年もっと小さくて高性能な対抗馬が出るまで待っても遅くない気がしますよ。

5秒でまとめると

●Core i5-10600Kは今あるミッドレンジではベストなCPU。

●Core i9-10900Kのベンチの異常値はマザーボードの問題かも。

●充分ですが、期待には一歩届かず。

●マザーボードは買い替えが必要です。

翻訳の際、文中にあるCore i9-10900KのGeekbench 4 シングルコアスコアを、グラフに合わせて「6109」に修正しています。

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