かつて火星にも土星のようなリングがあった。そして将来、きっと復活する

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  • author George Dvorsky - Gizmodo US
  • [原文]
  • R.Mitsubori
かつて火星にも土星のようなリングがあった。そして将来、きっと復活する
Image: NASA/JPL-Caltech/University of Arizona
火星の月、フォボス。

ロマン過ぎて、震える。

地球から約7,500万キロ離れた赤い星、火星。その衛星であるダイモスはちょっと不自然な軌道を描くことで知られていますが、最新の研究でその理由が判明しました。その結果、火星のまわりには週的に土星のようなリングができるという仮説が一気に現実味を帯びてきたのです。

火星にはフォボスとダイモスという2つの衛星があります。どちらも見た目はじゃがいもみたいでちょっと不格好。そして火星の赤道面に沿って丸い軌道を描くという、ちょっと変わった兄弟なんです。ダイモスの方がフォボスより外側を周回しているのですが、実はダイモスの公転軌道は火星の赤道面に対して、2度だけ傾いているんです。

実はこの傾斜に大きな意味があることがわかりました。今週、アメリカ天文学会の第236回会議がリモートで開催され、そこで発表された研究で明らかに。査読前論文を読みたい方はこちらからどうぞ。アストロフィジカルジャーナル(The Astrophysical Journal)に掲載予定です。

今回の論文の主執筆者であり、地球外生命体の発見を目的とする非営利組織SETI協会の科学研究員マティヤ・チャック氏は、「ダイモスの軌道が火星の赤道と正確には一致していない、事実は重要視されておらず、誰もそれを解明しようとはしませんでした」とプレスリリースで述べています。「しかし、新しい発想が生まれ、新たな視点で見たとき、ダイモスの軌道傾斜から大きな秘密が明らかになったのです」。

フォボスは崩壊と再生を繰り返している

その大きな秘密はもう1つの月、フォボスと関係しています。今回の研究で、フォボスは崩壊と再生のサイクルを繰り返しておりそれが火星の周りに一時的、かつ周期的にリングを形成しているのだと提示されています。

2017年には、本研究の共著者であるパーデュー大学のデイヴィッド・ミントン教授と大学院生(当時)のアンドリュー・ヘッセルブロック氏がすでにこの説を主張していました。

これはサイクリック・ムーン理論と呼ばれ、火星がいかにして2つの月を獲得したかを解明するための考え方です。 これまで、どんな理論も「フォボスとダイモスがどのようにして現在の軌道配置にたどり着いたか」を解明することはできませんでした。有名どころでは「小惑星が火星に捕捉された説」や「2つの物体が衝突した説」がありますが、これらでは衛星たちの軌道やダイモスが傾いている現象を説明することができません。

フォボスは7000万年後に崩壊する

そこで、サイクリック・ムーン理論の登場です2017年の論文で指摘されているように、実はフォボスはゆっくりと火星に向かって落ちています。そして約7000万年後には、火星の重力に耐えきれずにフォボスは崩壊すると予測されています。そして崩壊したフォボスの破片が新たな火星のリングを作り出します。

さらに時間がたつとリングを構成する「元・フォボス」の破片たちが再結集して、より小さな新しいフォボスへと生まれ変わるのです。 ミントン教授とヘッセルブロック氏は、こうした現象が過去にも繰り返し起きているといいます(過去43億年間で、3回から7回も、だそうです)。

先々代のフォボスが生まれたとき、ダイモスの軌道が傾いた

では、それとダイモスはどう関係しているのでしょう? 最新の研究によると、フォボスが死と再生を繰り返すことで、ダイモスの軌道が火星の赤道面から外れていったと考えられています。 チャック氏は同僚とコンピュータシミュレーションを使い、フォボスの20倍ほどの大きな月が生まれると、ダイモスの軌道傾斜は顕著な影響を受けることを示しました。

複数のモデルであらわされているように、新しく誕生した月には火星のリングによって火星から遠ざかる力が働き、これがフォボスの外側を周回していたダイモスの軌道周期にも大きな影響を与え、その結果ダイモスが傾いて、2度の傾斜が生じたといいます。

SETIのプレスリリースには、「火星のサイクリック・ムーン理論には、ダイモスの傾斜を可能にする重要な要素があります。それは、新生の月が火星とその環から遠ざかる、というもの」と記されています。「これは、火星との重力相互作用によるフォボスの内向き螺旋と逆方向です」。

この現象が起きたと考えられるのは、今から30億年前。現在のフォボスより20倍も大きい衛星ということで、おそらく現在のフォボスの祖父母にあたる衛星が誕生したときでしょう。今のフォボスは誕生から2億年、一方のダイモスはすでに数十億年たっていますから、このシナリオとも合致しています。

JAXAの火星衛生探査ミッションに期待

ただ、こうした結果はあくまでコンピューター上の計算モデルによるものなので、注意しなければなりません。幸い、JAXAでは「火星衛星探査」というミッションを計画中で、フォボスとダイモスを探索してフォボスのサンプルを地球に持ち帰る予定です。これで、フォボスとダイモスの起源が詳しくわかると期待されています。

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