どしっと、ボクシー。
コンパクト(といっても3ナンバー枠ですが)SUVが活気づいている今日このごろ。日産から、市場に揺らぎをもたらしそうな新車が放たれます。
それがこの「キックス」。英語表記はKICKSで、三菱パジェロミニをベースにしていたKIXとは別の存在。同じSUVカテゴリだった日産ジュークよりも、ライフスタイルにダイナミズムを与えてくれる1台です。
筋肉を思わせるマッシブなボディライン
デザインからして日常に活気あれ!鮮やかであれ!といわんばかり。だって御覧くださいこのボンキュッボンなボディを。キレてるよ!と声をかけたくなるマッシブスタイルを。
インパクト強く見せた前後フェンダーを結ぶ、獰猛な前傾姿勢を思わせるプレスライン。GT-Rや、欧州でリリースされている新型ジュークの文脈と近いものがあります。
プロパイロットなどの安全装備も導入
細長い薄目的ヘッドライトから受ける眼力もすごい。また車両の前部・後部にはミリ波レーダーもいたるところに配置。周囲のクルマや障害物の接近をキャッチします。
フロントウィンドウ上部にはカメラもありますね。
ドアミラーの下部にもカメラがオン。
これらは運転支援技術プロパイロットや、インテリジェントエマージェンシーブレーキ、インテリジェントアラウンドビューモニタ、車線逸脱防止システム、パーキングソナーなどで使うもの。安全に移動するためのシステムもふんだんに取り入れています。
オトナ4人で楽しく移動できる広々空間
車内を見ていきましょうか。ツートーンなインテリアからアクティブな印象を受けますが、近代的なシンプルさでまとめられたコントローラといえます。少しずつ物理スイッチが消えていってるその過程といいますか。
その反面、重要度の高い機能は単体のコントローラが用意されています。このSOSコールとか、ボタン一発で助けを呼べるのって大事ですよね。
充電用のUSBポートも前席・後席ともに装備。個人的には高速充電対応のUSB Type-Cポートの搭載を期待したかったのですが、Type-C機器を使っているのってまだまだ少数、僕らだけみたい。
車両の周囲を俯瞰で見渡せるアラウンドビューモニタはほんと便利。あとカメラ映像のバックモニターもすごく便利。夜でも見やすいってことに慣れてしまうと、鏡というアナログなデバイスが不安に感じてきてしまうほど。人間はこうやって進化を促されるんだ。
デザイン優先のコンパクトSUVだから、車内空間は二の次なのかな。と思ったりもしました。でもそんな不安は御無用すぎた。
前席を無理のない位置に合わせたとしても、広い。
リラックスできる広さがあるんです。天井も高いし、ドアウィンドウも高さがあるから、後席に座っていても開放感バッチリ。
それでいてトランクもまあまあ広い。フルサイズのスーツケース2つ+αが入りますから。
「ハンドル握るの20年ぶり」でもすぐに慣れるワンペダル
実際の走りも体験してみました。キックスの駆動そのものはバッテリー&モーター。そこに、電力を蓄えるための発電所代わりとなる小さなエンジンも合わせた、日産ご自慢のパワートレーン・e-POWERを搭載しています。
従来のe-POWER搭載車種より、パワーもトルクもアップ。説明によると50km/時くらいまでは従来車と同等ですが。そこから先の加速感に違いがあるんですって。
日産のテストコースで踏み込んでみると、なるほど。もともとe-POWERの駆動感はEVと同じシャープなものでしたが、高速域に到達するまでのスムースさが洗練された感じ。足回りの調律もすばらしいのでしょう。加速時にフロントが浮き上がるような感覚は薄く、まるで筋斗雲のごとく身体全体が空を飛ぶかのよう。や、筋斗雲に乗ったことはないのですが、想像で。
20年ちかく、自分でクルマの運転をしていないという金本さんいわく「こんなにストレスを感じないというのが凄い」。ほほう。どんなところがいいと思ったポイントでしょうか。

「ワンペダルですね。ブレーキペダルを踏まなくても速度をコントロールできる。操作系がシンプルになることで、運転は苦手かもという意識に悩まされなくなるんですよ」
たしかにe-POWERのメリットの1つに、エンジンブレーキならぬ回生ブレーキの自然さがあります。アクセルを抜いたぶん減速するシステムゆえに、今までペダルを踏み込んでいた足から少し力を抜くと、これまた姿勢を崩さずにゆるやかに速度が下がっていく。足の指を上げるようにして抜くと少し強めに、ブレーキペダル側に足を踏み変えると強めに減速するようになっている。このバランスがすっごく自然なんです。
走行モードによっても回生ブレーキ量をコントロールできるので、遊びに行く時と、疲れて帰ってくるときで、共にマイペースな走りができるように調整できちゃう。この機能だけでもe-Powerの価値はあるなあと思わせてくれます。
移動が楽になるから、移動先の食事もアクティビティも楽しくなる
シンプルな操作系というのは、特に乗用車カテゴリにおいて重要なポイントです。運転ってつかれるから嫌だよね、と思ってしまうと、在宅習慣が加速してしまいますから。
このキックスのように、自分1人でも、パートナーとも、家族揃ってでもラクに移動できるクルマがあれば、もっとあちこち行きたくなるはず。まだまだ無用な外出は避けるべきというトーンで日本全国が覆われていますが、むしろ電車で行くことになる繁華街や大型ショッピングモールより、クルマでアウトドアのほうが密レベルを低く保てるので、いいんじゃないかな、って思うんですよ。
日産 キックス
ボディサイズ:全長4290×全幅1760×全高1610mm
質量:1,350kg
価格(税込、全国希望小売価格):275万9900円/286万9900円(ツートーンインテリアエディション)
発売日:6月30日
追記[2020.6.24]ボディサイズ、重量、価格、発売日のデータを追記しました。
Source: 日産