離婚調停もAIで。オーストラリア政府が離婚専用システムを開発

  • author Shoshana Wodinsky - Gizmodo US
  • [原文]
  • 福田ミホ
離婚調停もAIで。オーストラリア政府が離婚専用システムを開発
Image: shutterstock

離婚時のさまざまな負担軽減になる…?

21世紀も20年ほど経過し、良くも悪くもあらゆることが自動化されてきており、恋愛関係も例外ではありません。出会い系アプリをちょっと試してみるだけでも、アプリのブラックボックスなアルゴリズムで上位に選ばれた人と出会い、ブラックボックスなアルゴリズムでオススメされた服を着て、ブラックボックスなアルゴリズムで推奨されたバーで語らうことになります。運良くおつきあいが深まったら、さらに別のブラックボックスを使って結婚式場を選んだりするかもしれません。

AIが離婚時の親権や財産分配などを提案

そこからさらに先、もしその結婚に疑問を持ったときにも、頼れるブラックボックスができました。その名も「amica」、オーストラリア政府が直々に開発したシステムで、離婚したいカップルが必要情報を入力すると、人工知能(AI)が親権や財産の配分などを提案してくれます。amicaを使えば、弁護士を雇う必要がなくなるというわけです。

オーストラリアのクリスチャン・ポーター司法長官は、オーストラリア政府が「家族法システムを改善して、より早く、シンプルに、安価に、少ないストレスで、カップルとその子どもたちを分離することにコミットしている」と語っています

コロナ禍でパートナーへの不満が増加

そんなに全力で離婚を応援するのはどういうことかっていうと、オーストラリアの家庭裁判制度は前々から負荷がかかりすぎてることが問題視されてたんです。さらに先日行なわれた調査によると、オーストラリアではコロナによるロックダウン生活で配偶者に不満を持つ人がどんどん増えていて、その結果裁判所もますますパンク寸前です。ポーター長官は、amicaは離婚する当事者のストレスだけでなく、裁判所の負担も軽減することがねらいだと言っています。

ただ、Amicaの開発には300万オーストラリアドル(約2.2億円)かかったそうですが、Webサイトでの説明は以下のようなサラーっとしたもので、細かい仕組みには立ち入っていません。

AmicaはAIを使い、入力された情報に基づいて金銭や財産を分配するための提案をします。AIは法的原則を考慮し、あなたの状況に適用します。

あなたとパートナーがamicaの提案する条件に合意すれば、それを実現する方法はご自身たちで柔軟に検討できます。たとえば家を売るのかとか、どちらかが相手の財産を買い取るのかといったことです。

つまりamicaはカップルの情報を元に、同じようなカップルが合意に至ったケースを参照して、たとえば子どもの扶養義務を共有するのか、どちらかが相手に養育費を支払う形にするのかといったことを考えてくれるようです。

AIはどこまで夫婦の事情をくみ取れるのか?

でも心配なのは、AIには人間の心の中で起こってくる混乱とか微妙な変化とかは正確に予測できないであろうことです。ましてそもそも混乱とか変化がつきものの離婚という過程の中では難しいんじゃないでしょうか? 多分そのせいか、プレスリリースによれば、amicaは「適度に友好的な(amicable)関係」にあるカップルを対象としていて、amicaという名前もそこから来ているようです。

子どもの親権も財産分与も決まってない離婚希望の人たちが友好的でいられるのかっていう疑問もさることながら、そもそも「友好的」とは何なんでしょうか? たとえば、合意した条件に対して不満があっても、怒られるのが怖くて言い出せない人もいるかもしれません。飼い犬をどっちが連れて行くか、そこだけ合意できていない場合は? 直接会うとまともなんだけど、ネット上ではお互いの悪口を殴り書きあうような人たちだったら? 男女関係にはいろんな要素がありすぎて、すべてのカップルにとってのベストを毎回予測するなんてAIには無理なんじゃないでしょうか。

でもamicaを試したいオーストラリアの夫婦は、今のところ100%無料で使えます。2021年1月からは165〜440オーストラリアドル(約1万2000〜3万3000円)という「些少の料金」が課されます。たしかに弁護士に依頼するよりは安いかもしれませんが、AIというのはどんなタスクでも完全にしっくりくることは難しいものです。しかも離婚というただでさえ取り扱い注意なタスクで、お金を払うだけの価値を感じられるのかどうか…。

Source: amica via Australian GovernmentLaw Council of AustraliaThe Sunday Morning HeraldThe Guardian

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