このアプリの産地はどこですか?
ここ数日、TikTokを巡ってアメリカが揺れています。TikTokは中国発のアプリであり、使うことで中国政府から情報を収集されているとして、米政党や企業の一部でスタッフに対して使用しないよう呼び掛けるなど波紋が広がっています。しかし、ファーウェイ製品の締め出し、TikTok禁止はアメリカの中国対策のほーんのはじまり。米議会監視・政府改革委員会が、AppleとGoogleに対して、アプリ開発元はデータの保存場所(国)を開示するようにすべきだと求めていることが明らかになりました。
米国家安全保障局が海外産アプリを不安視
AppleとGoogleへの要求が記された手紙で、国家安全保障局小委員長のStephen Lynch氏が、海外産アプリ(=アプリ所有・開発・運営がアメリカ国外、またはアメリカ関連のデータを国外で保存しているアプリ)に対する不安や、国民の端末にスパイウェアが入り込むのではという懸念を綴っています。Lynch氏は、最低限の対策としてアプリの産地を明示するようにすべきだと訴えています。つまり、このアプリはメイドインどこどこで、シェアする情報によっては個人または国家安全保障上のリスクの可能性もあること、アプリデータはアメリカと敵対するどこどこの国で保存されていますよということを、ユーザーに知らせるべきだというのです。
氏が両社にこの考えを最初に伝えたのは1月だとのことですが、今のところ、両社ともにアプリ産地表示の義務化を避けるための法令などは提示してきていないとのこと(〇〇法によってその必要はないと、拒否できない状態にあるということ)。産地表示の義務かが可能かどうか、返答期限は今月末までとなっています。
さてどうなることか
アプリの産地。ひいてはアプリ開発者さんの顔が見れるようにとは、まるでお野菜のような話。でも、これユーザーにとっては悪いことではないのかもしれません。食べ物だって、洋服だって、「メイドインどこ」かを気にする人はけっこういますから。イメージだけで判断してしまう危険性があるとはいえ、この国は(個人的に)信用している・していない、あの国はこういうハッキングやリークが過去にあったというさまざまな事情は、消費者にとっては判断基準となります。Apple/Googleがアプリ産地の表示を始めれば、中には特定アプリのダウンロードをためらうユーザーもでてくるでしょう。うーん、中国やロシアのアプリ開発者は戦々恐々というところでしょうか。
ユーザーに開示される情報は多い方がいいと、個人的には思います。さて、Apple/Googleはどう回答するのでしょう。