…まあ、そうだよね。
アメリカ政府主導の新しい研究により、「新型コロナウイルス予防の布マスクは、綿などの一般的素材が最適。特に2層3層構造なら効果大」ということが判明したそうです。
今回の研究で、「手作りマスクには新型コロナウイルスのパンデミック拡大を抑制し、個人の感染予防に役立つ可能性がある」ことが証明されました。ただ、医療用マスクには及ばないということもわかったそう(そりゃそうだ)。
日本人にとっては何ら斬新さのないニュースな気がしますが、そもそも欧米人は「予防のためのマスク」に馴染みがありませんでしたから。ここへきてようやく、マスクに感染予防効果があることがはっきり示されたわけですね。
少なくとも、マスクは呼気や咳などによる飛沫感染をブロックする効果があり、無症状のケースが多く見られる新型コロナウイルスでは、やはり一人ひとりがマスクを着用することは重要です。
ただ、マスクにもいくつか種類があり、それぞれ予防効果には差があります。他者からの感染を防げるかどうかという点も、素材や製法によって異なります。たとえばN95などの医療用マスクならエアロゾル感染まで防ぐ性能を備えています(ただ窮屈で暑いし、日常使いには向きません…)。
もっともブロック率が高かったのは綿繊維
本研究は今月、学術雑誌のACS Nanoで発表されました。実験を手がけたのはアメリカの国立標準技術研究所(NIST)とスミソニアン博物館保存研究所の合同研究チームです。
研究チームは綿、羊毛、合成繊維など32種類の素材で作られた布マスクのフィルター機能を比較するため、「大きい粒子と小さい粒子のサンプルをマスクに浴びせ、布にキャッチされず空中に残った粒子の数を測定する」という実験を行ないました。ちなみに、実験に使ったのはコロナウイルス粒子と同等サイズの食塩です。
結論から言うと、平均してもっともブロック率が高かったのは、綿繊維でした。しかも、同じ綿のなかでもコットンフランネルのように布の表面が毛羽立った綿素材が、他の生地タイプよりも優れた性能を発揮しました。しっかりめに織られた生地ほど、パフォーマンスも高かったとのこと。
研究著者のひとりで、NISTの研究員であるジェイミー・ウィーバー氏は同機関のプレスリリースで、「起毛糸を使用した綿織物に高いフィルター効果が見られたことから、生地のテクスチャも注目すべき最もっとも有用なパラメータのひとつであることがわかりました」と述べています。「我々の実験は、フィルター効果は布素材の種類、繊維および織物構造、そして糸の番手(太さ)の複雑な相互作用に基づいていることを示唆しています」。
2枚重ね3枚重ねで効果アップ
研究者チームはさらに、布地を2枚重ね、3枚重ねにすることで効果がアップすることも確認しました。ただ、やはりどれほどしっかりフィットする手作り綿マスクでも、N95マスクほどの感染予防効果はないだろう、とのこと。一番性能が高かった綿でも1層構造の場合のウイルスブロック率は約20%。一方のN95マスクは、同サイズの粒子を95%ブロックするよう設計されています(その名に偽りナシ)。
ただ、フィルター性能が高い綿素材ほど、呼吸しにくいというデメリットも確認されているので、安全性と通気性の両立が課題としてあらためて強調されたかたちです。
研究著者でNIST研究員のクリストファー・ザンマイスター氏は、「結論として、N95マスクと同等の予防効果を発揮する布地はありませんでした。それでも、布マスクで顔を覆うことで新型コロナウイルスの感染拡大を遅らせることはできます」と話しています。「この調査が、製造業者や手作り派の最適な生地選びに、そして今後の研究の基礎として役立つことを願っています」。