PCの自作に欠かせない電源ユニットの「変換効率」ってなんなの?

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  • author Joanna Nelius - Gizmodo US
  • [原文]
  • 禿頭帽子屋/Word Connection JAPAN
PCの自作に欠かせない電源ユニットの「変換効率」ってなんなの?
Image: Joanna Nelius (Gizmodo US)

自作PCの世界では、電源ユニット(PSU)は、地味ながら実はとても大切なパーツです。

パーツすべてに給電し正しく動作する電力を計算するのは、たいてい自作パーツ選びの最終段階。しかも、いちばん面倒です。各パーツの消費電力はさまざまで、PCが大型で高速になるほど必要な電力も増えます。最新のCPUであるIntel Core i9-10900Kは、それだけで250W以上の電力を食い、Nvidia (エヌビディア) のグラフィックスカードRTX 2080 Tiも同じくらい大食いです。システムが大食いなら当然、必要な電源供給ユニット(PSU)も大きくなります。では、どのくらい大きくなるのでしょうか。あるいは、計算の上で必要なPSUよりもっと大きくしたい場合は、どうすればいいのでしょうか。電源は、自作PCの他のパーツと違って、基本的に大きいほど高性能です。必要な電源の大きさを求める方法をご紹介しましょう。

でも、ちょっと待って。Amazon(アマゾン)やPCパーツ通販サイトを調べ始める前に、知っておきたい基本を確認しておきましょう。押さえておきたい基本は2つ。ワット数変換効率です。

「ワット数」はわかりますね。PSUが100%負荷率のときに供給できる最大電力のことです。自作PCで500Wの電力が必要なら、500WのPSUを選びます。ただし、PCで必要とされるより若干大きめのPSUを選ぶほうがいいかもしれません。常にPSUの負荷めいっぱいで動かしていると、特に変換効率が高くない場合には、PSUの寿命が短くなるからです。

というわけで、次が「変換効率」。コンセントから引いた交流(AC)をPCで使える直流(DC)に変換するときの効率のことです。たとえば、500WのPSUの変換効率が50%であれば、100%の負荷率で動作させるには1000Wを消費することになり、これでは発熱の量と電力のムダが大きくなります。500Wで変換効率が50%しかないPSUは、PCにとって好ましくありません。余った500Wは発熱という形で浪費され、過剰な発熱によってPCのパーツが破損することもあるからです。しかも厄介なことに、ほとんどのPSUは100%負荷率ではなく50%負荷率のときに最も効率的に動作します。したがって、ここで想定しているような、変換効率50%の500W PSUは、最も効率的な動作で250Wしか出力できないことになります。

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Image: Joanna Nelius (Gizmodo US)

そこで登場するのが、「80 Plus」という変換効率規格です。市販されているPSUの変換効率は、50%ということはなく、大半が80%です。PSUは、効率が高いほど余分な電力を必要としないということを思い出してください。余分な電力が少なければ発熱も少なくなるので、その分PCパーツの劣化を抑えられるのです。たとえば、80%変換効率規格の1000W PSUを考えてみます。600WのPCを最大負荷で動かしても、出力は800Wまでで、そのうち200Wが発熱で消費されることになります。出力の大きいPSUで、変換効率も高ければ、予算の許す限り大型のPSUを積んでかまわないわけです。

ただし、PSUを選ぶときには、もうひとつ注意する点があります。もうご存じかもしれませんが、Corsair(コルセア)、EVGA、Seasonic( シーソニック)といったPSUブランドには、80 Plus規格のなかに、さらに細分化した規格としてブロンズシルバーゴールドプラチナチタンという金属名を冠したランクがあります。80 Plusは、20%、50%、100%のどの負荷率でも80%以上の変換効率を維持するという意味です。したがって、同じ500WのPSUでも80 Plus規格であれば、100%負荷率のときコンセントから消費する電力は、1000Wではなく625Wになります。当然、PSUからの発熱も抑えられます。

金属名のランクごと、負荷率ごとの変換効率規格が、こちらの一覧表にまとめてあります。原則として、金属名のランクが上がるほど、変換効率は高くなります。たとえば、80 Plusゴールド認定のPSUは、20%負荷率のとき変換効率が87%以上、50%負荷率のとき変換効率が90%以上、100%負荷率のとき変換効率が87%以上です。プラチナとチタンでは変換効率がほぼ90%台ですが、ブロンズとシルバーでは80%台の中ほどから前半になっています。

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Image: Joanna Nelius (Gizmodo US)

さて、基本はこんなところですが、では実際にどのPSUを選べばいいのでしょうか。OuterVisionのサイトで、自動的に計算してくれる簡単でわかりやすいツールを使ってみましょう。自作PCに使う各パーツを入力するだけで、おすすめのPSUをいくつか提示してくれます。CPUやグラフィックスカードのオーバークロックを予定している場合には、スピードを反映して計算する高度なオプションもあります。

筆者のPCは、CPUがRyzen 7 2700X、グラフィックスカードがGTX 1080 Ti、メモリーが16 GB DDR4、ストレージは1 TBのNVMe M.2 SSDと2 TBの7200 RPM HDD、そして冷却装置がNZXT Kraken X52 240mm AIO Liquid Coolerというスペックです。OuterVisionのサイトで計算してみたところ、推奨されたのは80 Plusゴールド認定の850W PSUでした。プラチナにすると、もっと効率が上がります。あるいは、850Wから一気に1000Wのプラチナまで格上げするとさらに変換効率が高くなるそうです。最近、新しいプロセッサーのベンチマークを実行しているときパフォーマンスにちょっと不安があったので、PSUを大きくするというのは、確かに魅力的です。間違いありません。

実際に必要でもないのに出力の大きいPSUを選ぶのは、オーバースペックかもしれませんが、別にPCに悪いわけではありません。過剰なくらいのほうが、PCが電力不足になるよりマシです。電力が不足すると、CPUやGPU、その他のパーツの速度がカタログ値より低くなり、最悪の場合、節電のために動作を停止するパーツが出てきてコンピュータがクラッシュしてしまうかもしれません

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