自分の走り方が可視化されるって、面白い。
今年1月のCES2020でお披露目されていたアシックスのスマートランニングシューズが、日本にも上陸しました。その名は「Evoride Orphe(エボライド オルフェ)」。これ気になってたんですよね〜。

こやつは、センシングソリューションのスタートアップ企業であるno new folk studioとアシックスの共同開発で生まれたスマートシューズ。センサーを内蔵したシューズで走ることで、走行距離や速度はもちろん、ランニングのフォームの分析やコーチングまでしてくれるというものです。
実際に触って走らせてもらいましたが、これぞパーソナル・コーチングの良き未来なんじゃなかろうか。多くのランナーにとって、気になるスマートシューズに仕上がっていると思いますよ。
超軽量シューズと6軸センサー

これがno new folk studio独自の6軸センサー、ORPHE CORE 2.0。もともとtno new folk studioはオリジナルスマートシューズ「ORPHE TRACK」を手掛けていて、今回のセンサーはオリジナルのセンサーよりも50%小型化したバージョン2.0になります。

センサーはインソールをめくったソール部分に挿入。センサー自体のバッテリーは約7時間ほどで、充電時間は約1時間。端子はmicroUSBで、スマホとはBluetooth LEでペアリングします。
専用のシューズ「EVORIDE」もすごく軽量、めちゃ軽です。センサーが入ってもまったく邪魔な感覚はありません。ランニングシューズとしても完成度が高いあたり、さすがアシックスですね。
走ってみてわかる、走り方のクセ
それでは実際に「Evoride Orphe」を履いてランニングしてみます。ランニングマシーンで走りつつ、その様子をアプリでチェックしてる様子をご覧ください。

そう、センシングがリアルタイムなんです! これは足の着地パターンを表示していて、センサーから得られた様々なデータをもとに、アプリが30秒ごとに音声でコーチングしてくれます。例えば「右足に荷重がかかっています」「足を上げすぎです」という感じ。走りながら調整できるのはすごい。

計測できるデータはかなり多く、自分でも自覚していなかった走り方のクセなどが可視化されます。そうして得られたデータを、アシックスがもつ膨大なランニングデータと比較参照することで、より良い走り方になるようフォームを改善していくわけですね。

さきほどのgifは僕のランでしたが、こっちは編集部員・金本のラン。僕の着地パターンはmidとfore(足の前側、中央側での着地)だったのに対し、金本さんはHeel(かかとからの着地)が目立ちますね。実際に足運びを見ても全然違うし、センサーはしっかりと違いを検知している様子。

アプリでは走行データの表示や、データをもとにした総合スコア、ランニングタイプなどがチェックできます。コーチングによるフォーム改善でスコアが伸びていけば、レベルアップな感じがして楽しそう。フォームが良くなればケガのリスクも抑えられるでしょうし、ランのたびに成長できる楽しさもありますね。
超手軽な自分だけの専任コーチ
もしランニングの専任コーチをお願いしようとしたら、結構な金額になるでしょう。着地パターンやプロネーション(かかとの傾き)のチェックは、ビデオを使ってやることもあるそうな。「Evoride Orphe」は人間のコーチを完璧に代替するものではありませんが、人間の目ではわからない数値(地面にかかる力など)なども表示し、いつでも使えるのが魅力。
コロナ禍の影響で、運動不足解消のためにランナーデビューする人も少なくないと聞きます。どうせ走るなら我流フォームで走るよりも、ランニングのプロたるアシックスのアルゴリズムで解析してもらう方が間違いないでしょう。何より、リアルタイムのアドバイスってのが良いですよね、その場で「こうかな?」と試せる。これ人間のコーチでもできない体験では。

このテック、ゆくゆくはウォーキングやトレイルラン、サイクリングなんかもセンシングできるようになると胸アツだなーと思ったり。ランニング以外のアルゴリズムや、アクティビティに応じたセンサー対応シューズなどが出たら、すごく充実しそうじゃない?っていうか欲しい、特に自転車。
「Evoride Orphe」は、Makuakeにて予約販売が始まっています。価格は3万1500円から(シューズ、センサー、アプリ同梱)。スマートシューズの可能性というか、正解の方向性を垣間見た一足でした。
訂正[2020/07/21]製品名の誤字を修正しました。