エイリアンがいるかもしれない700以上の天体をリスト化「Exotica Catalog」

  • author George Dvorsky - Gizmodo US
  • [原文]
  • 福田ミホ
エイリアンがいるかもしれない700以上の天体をリスト化「Exotica Catalog」
パルサーのイメージ図。1960年代に発見されたときは、エイリアンのビーコンに似ているとされた。
Image: NASA/Gizmodo US

エイリアンは地球っぽい星にいるとは限らない。

地球外生命体のいる星というと、水や酸素の量とか重力とかは多少違っても、基本的に地球に近い何かを想像してしまいます。でももしかしたら、地球と全然違う環境では、そこに適応した生命があるのかもしれない…そんな考え方から、宇宙にあるあらゆる天体・現象をリストアップした「Exotica Catalog」(直訳:異星のものカタログ)が生み出されました。

Exotica Catalogをまとめたのは、地球外生命体探索プロジェクト・Breakthrough Listenの研究者たちです。そこには、身近な惑星から謎の多い現象まで、既知のあらゆるタイプの天体・現象が整理され、1タイプあたりひとつずつ実例が割り当てられています。カタログは700以上のターゲットを取り上げていて、中身は小惑星から彗星、惑星からパルサー、銀河、星雲、星団などなどまで含みます。カタログの目的は、論文によると「Search for Extraterrestrial Intelligence(SETI、地球外知的生命体探査)が取り組むターゲットをより多様化する」ことですが、ほかのことにも役立つかもしれません。

「将来的には、学生や天文学の大枠を知りたい一般の人、または何を勉強するか決めようとしている人の役に立つかもしれません」カリフォルニア大学バークレー校の研究員で、Breakthrough Listenのメンバーとしてこの論文の主著者を務めたBrian Lacki氏は米Gizmodoへのメールで書いています。「リストにある天体の中には、私が大学院生以降まで知らなかったり、このカタログをまとめるときまで知らなかったりしたものさえあります。」

Lacki氏はこのカタログが研究者を刺激し、天文学の深遠な、またはミステリアスな面を探索するきっかけになればと考えていますが、主眼はSETIの研究者や宇宙生物学者を支援することです。

あらゆる天体タイプをリストに

これまでにさまざまな天体分類スキームが試みられてきましたが、この規模のものは初めてです。Lacki氏らは全部で737種類の分類を作り、そのほぼすべてに実例を割り当てましたが、理解が進んでいるのはその一部です。このカタログをまとめている間にも分類は増え続け、Lacki氏は実用上これでいいのかと心配になったそうです。

「幸い数が増えても、チームはこのプロジェクトにとても協力的でした」とLacki氏。「文献を読めば読むほどいろいろなことがわかり、他とは十分に違う天体がますます見つかります。なのでときには、『もうひとつだけでいいから(追加したい)』という感覚になることもありました。」

Lacki氏はこのプロセスを、「いくつか大きなグルーピングがあるものの、どんどん細分化して何百万もの種がある、ともできる」という意味で生物学になぞらえました。たとえば惑星と一口に言っても、高温の木星や小さな海王星、スーパーアースや褐色矮星、など既知のタイプが複数あります。

興味深いのは、このカタログには人工的な天体も含まれていることで、それらは今のところすべて我々人類が作ったものです。人工的な天体とは、探査機ボイジャーやニュー・ホライズンズ、気象衛星、そしてイーロン・マスク氏の赤いテスラ・ロードスターまであります。ってことは、宇宙人が宇宙に打ち上げた物体があれば、それもいつかはこのカタログに載るのかも…と妄想が進みます。

SETIの新たなアプローチ

従来のSETIでは、よく知られた異星人の痕跡(電波とか)を探すのが普通の戦略でしたが、Exotica Catalogは「ダイソニアンSETI」と呼ばれる新たな戦略へのシフトを示しています。ダイソニアンSETIとは、地球外に何らかの高度な技術があることを示すもの、たとえばダイソン球(恒星を囲む巨大なソーラーパネル)や産業廃棄物、巨大なスペースコロニー、ビーコン、その他我々には想像もつかないようなものを探そうとするアプローチです。

Lacki氏がこのカタログ作りへと向かった動機は、異星人の知性は我々とまったく違うかもしれない、だから我々が彼らを探している場所は間違っているのかもしれないという発想です。

「数十年間、人類は異星人がじつは機械だったらとか、水を使わなかったらとか、シリコンとかプラズマとか中性子星物質でできていたら、と疑問に感じてきました。たしかにSFではよくあるテーマですが、この考えがSETIにも広がってきているのです。我々がその疑問に答えられるようになりつつあるのはうれしいです」とLacki氏。「さらに、『知的』かどうかはわからないが何かが存在し、何かしら興味深い側面がある、ということもありえます。」

このカタログは、ダイソニアンSETIのターゲットになりうる天体にフラグを立てられるかもしれません。または逆に、人工的に見えるものが自然発生しうることを説明できるかもしれません。

ありがちな天体から謎の現象まで

Exotica Catalogでは、天体を4つのカテゴリに分類しています。「Prototypes」(原形)、「Superlatives」(最上級)、「Anomalies」(例外)、そして「Controls」(対照)(ポジティブな結果を出さなそうな、参考のためのもの)の4つです。

Prototypesは我々がよく知っているもの、たとえば惑星や銀河、星団、中性子星、ブラックホールなどなどといったものです。それぞれの項目に、参考として典型的な例が割り当てられています。Superlativesはある意味天体のギネスブックで、極端な特徴を持つ天体、たとえば最大の惑星、もっとも高温の恒星、最高速で自転するパルサーといったものが集まっています。Anomaliesはその名の通り、我々が完全にはわかっていないもの、たとえば変光星(ボヤジアンの星など)や減光する星、高速電波バーストといった現象です。

Exotica Catalogはいろいろな変わった天体や現象をリストにしている中、Lacki氏はとくにNGC 247が気に入っているそうです。NGC 247は地球から比較的近い渦巻銀河で、その銀河の一部は普通より星が少なく、穴が空いているように見えます。この現象についてSETIでは、高度に発達した異星人はその銀河の中で星から星へと渡り歩くことができるので、恒星の周りにダイソン球を建設してエネルギーを刈り取っているのではないか、という仮説を立てています。

「巨大な殻か群れのようなものが恒星を完全に囲い込んで、地球から見えない状態にするのです。だからその過程の途中の銀河をつかまえたら、またはその動きが銀河全体を覆う前に止まったら、その銀河には穴があるように見えるはずです」とLacki氏は言います。「それはNGC 247で起きていることとはおそらく違います。ダイソン球があれば、そこは太陽光によって赤外線で光るようになると考えています。私が知る限り、(NGC 247の)『穴』からはその現象が見られません。」

NGC 247の挙動は不可思議なのですが、Lacki氏いわく、この穴の存在を説明するための研究はほとんど進んでいません

Exotica Catalogによって、SETIの研究者や宇宙生物学者たちは自らの発見を確認できる参考書を手に入れました。ここから新たな研究がインスパイアされて、あわよくば本当に地球外生命体の発見につながっていくのかも…!

Source: Exotica Catalog viaBreakthrough ListenBerkeley SETI

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