Facebook、歴史的遺物の闇市になっていた

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Facebook、歴史的遺物の闇市になっていた
Image: shutterstock

むしろ今まで放置していたのが驚き。

Facebook(フェイスブック)では長い間、遺跡などから盗まれた歴史的遺物が売買されており、数年前から同サイトも問題は認識していました。しかしThe New York Timesによりますと、Facebookは先日ようやく売買の禁止を行なったとのこと。

この新しいルールは、「歴史的遺物の購入、販売、トレードを禁じる」というもので、この場合の歴史的遺物とは「歴史的、文化的、科学的価値の大きい貴重品」と定義しています。しかし、Facebookは今まで規制をほとんど行なってこなかったのです。

大規模な遺物取引ネットワーク

The New York Timesに先月掲載された調査によると、Facebookには「中東の歴史的遺物の違法取引に関わっている」とされるグループが90以上あり、それらは主にアラビア語で書かれ、何万人ものメンバーを抱えていました。グループ内で行なわれる取引は、売り手が写真や商品の説明を投稿し、興味がある人はメッセージを送るか、他のサービスを使って直接会う約束や支払いを行なうように促します。場合によっては、買い手が欲しい遺物の種類を投稿することもあります。またグループの中には、遺物の闇市取引を自分で行なうためのDIYガイドを掲載しているものもありました。

遺物の一部はイスラム国のテロリストによって奪われたもので、同グループは勢力下のイラク、シリア、リビアなどで数千年分の遺物や遺跡を破壊しただけでなく、それらの場所や博物館などの文化的施設から、利益目当てに遺物を略奪しました。また、そこには他の過激派グループや犯罪組織などと協力している武装グループなども参加していました。国連安全保障理事会が今年の1月に報告したところによると、イスラム国やアルカイダによって盗掘された痕跡が多数発見されたそうで、遺物の発掘場所が増えて遺物商人同士のネットワークが広がり続けていることから、遺物の闇取引に使われるソーシャルメディアグループは増え続けるだろうと結論づけています。

隠すこともなく堂々と取引

取引に関して売り手と買い手が暗号でやりとりすることもありましたが、Antiquities Trafficking and Heritage Anthropology Research Project(ATHAR)の共同ディレクターであるKatie Paul氏がThe New York Timesに語ったところによると、本物であることを証明するような写真や動画も含めて全てが堂々とやりとりされていることもあったそうです。またPaul氏はArtnet Newsの取材に対し、遺物の出土した国はどれも合法的な売買が存在しないため、それらの国から購入した遺物は全て違法であると発言しています。

The New York Timesによると、研究者や活動家たちが発見したグループは最低でも200ありましたが、それはあくまで発見できたものだけだそうです。2019年にATHARが発表した報告書によると、「95のFacebookグループが488人の管理人によって運営され、メンバーは合計で194万7195人にのぼり、構成しているメンバーは一般人、中間業者、暴力的な過激化集団などが混ざっている」としています。また、グループの管理人同士は高度に連携していると見られています。

過激派のメンバーには、Hay'at Tahrir Al Sham(HTS)、Hurras Al-Din、Zinki Brigadeなどのシリアを拠点にした集団や、シリア以外のアルカイダやイスラム国と提携している人々も含まれています。これらのグループはFacebookを遺物売買のプラットフォームとして活用しており、買い手や売り手と直接やりとりしたり、一般大衆とテロリスト集団の間で取引を仲介する仲介人を利用したりしています。

また報告書によると、グループ内で売買が行なわれた場合、売り手は管理人に手数料を払うよう要求しているそうです。ATHARが調査したシリアのグループのうち、売り手の36%は紛争地域に存在し、他の44%は紛争地域と隣り合わせた国に住んでいたそうです。

遅すぎた対応

ATHARの共同ディレクターであり、Shawnee State Universityの教授であるAmr Al-Azm氏は、かつてシリアで遺物の管理官として働いていました。彼はThe New York Timesに対し、遺物がイエメン、エジプト、チュニジアからも流出しており、Facebookが2014年頃に行動を起こしていれば、今よりもっと効果があっただろうと発言しています。さらに彼は、これは「需要と供給」の問題であるとし、グループをアーカイブせずに削除してしまうと、遺物を追跡するのに必要な膨大な量の証拠が失われてしまうと懸念しています。

先日公開されたFacebookの報告によると、ポリシーの重大な欠陥によって「遺物が明らかに盗品であったと認められたとき」以外歴史的遺物の売買が可能であったと認めました。また調査の結果、「遺物の80%は出どころが怪しいため、オンラインで取引された遺物の多くが違法か偽物である可能性がある」ほか、「Facebookのポリシーが原因で、同プラットフォームが紛争地域から入手された違法の遺物を取引するデジタル闇市として利用されていたとの批判がある」と結論づけました。

FacebookのスポークスパーソンであるGreg Mandel氏はThe New York Timesの取材に対し、盗まれた遺物の売買はすでにサイトのルールで禁じていたとしていますが、Paul氏とAl-Azm氏はFacebookがそのルールを積極的に施行していなかったと反論しています。彼らは2018年にも、「Facebookは文化的遺物の関わる取引の禁止を現在施行していない」と批判していました。

「ユーザーと遺物を守るため、私たちはルールを拡大し、FacebookとInstagram上での歴史的遺物の交換や売買を一切禁じます」とMandel氏は発言しています。

Paul氏は、新しいルールは「文化的遺物の売買に対するFacebookの姿勢の大きな転換」であるとし、違法で有害な活動を認識していることの現れだと発言していますが、同時に「有効かどうかは施行次第」と、注意深く様子を見るつもりのようです。

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