機械から流れ出て床を埋め尽くすFAX用紙…。
FAX、最近使ったのいつか覚えていますか? 私はもう思い出せません。思い出せないくらい昔、遠い日のこと。いろーんなことがデジタル化されていますからね。FAXをPDFにしてメールしてくれるサービスもあるし。いまだにフィーチャーフォンを使ってる友達が、「詳細はFAXしといて!」ってネタで言うくらいで、正直「FAX」という言葉自体とんと耳にしません。
しかし、FAXなんて一昔前のマシンでしょ?なんてのは、どうやら幸せな人の言うこと。世界にはまだまだFAX頼りのこともあるようで。ネタ元のニューヨークタイムズ紙(NYT)が、コロナパンデミックによって荒ぶるFAXについて記事を書いています。
テキサス州はヒューストンにあるハリス郡保健局のFAXは、今、なりっぱなし。床はマシンから流れでるFAX用紙で埋め尽くされているといいます。故障じゃありません。コロナの検査結果が FAXで送られてくることが原因。ハリス郡では、4万件を超える検査が行なわれており、日々その結果がFAXで届いているのです。
患者や検査の数が増えれば、ドキュメントが増えるのは当然。しかし、やっぱり驚いちゃうのは「え、それFAXでやってんの?」ということ。ここ10年でアメリカ医療関連のデジタル化は進んでいるといいます。しかし、それでも電子医療システムを、通常の組織外(たとえば、隣の郡や市の病院や保健局)とシェア・連携させるのは難しく、結局は昔ながらのFAXに頼るしか術はなく…。NYTのインタビューに答えたトラヴィス郡の医師は、最近は毎日1,000件近いFAX(コロナ検査関連)を送受信している状態だとか。
現代において、床がFAX用紙で埋め尽くされる様子はすでに地獄絵図と言っていいと思いますが、本当の地獄はそんなことじゃありません。まず、医療関係の個人データという非常にセンシティブなデータが、ごん!とまとまって紙に書かれていることが不安。そして、何百という検査結果を読み取り、検査をうけた人の情報と照らし合わせていくのにとても時間がかかってしまう。そもそもね、FAXの文字がめちゃくちゃ読みにくい! FAX用紙にまみれて涙目の事務員なんて、コントでももう見ないような状況がまさかリアルになるとは…。
2009年のオバマ政権下、350億ドルという予算を投じて医療システムのIT化を進めました。しかし、保健局がFAX使っているという現状を見ていると、まだまだ不十分だったということがわかります。コロナで明るみになることは多いですね。
Source: NYT