ぶっちぎり1位です。スパコン世界ランキングにARM採用の富岳が堂々初登場

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  • author satomi
ぶっちぎり1位です。スパコン世界ランキングにARM採用の富岳が堂々初登場
Image: ギズモード・ジャパン


ARMベースのMac発表の日、TOP500スパコン世界ランキング第1位にARMベースの「富岳」が初登場! 右もARM、左もARM、リチャードもARMな昨今。ARMスパコン世界一の注目ポイントを復習してみましょう。

4部門同時首位は世界初

理化学研究所と富士通が共同開発した「富岳」は2011年世界No.1の「京(K)」の後継機。48コアSoCのA64FXプロセッサを15万8976個搭載しており、その処理速度は415ペタフロップ! 4期連続首位をひた走るIBM「Summit」に2.8倍の大差をつけてのトップ交代劇となりました。

最近中国に押され気味な日本が首位に返り咲くのは実に8年半ぶり。開発を率いた松岡聡・理研計算科学研究センター長(ABCIツバメでも活躍)はさっそく「TOP500(演算)、HPCG(シミュレーション)、HPL-AI(AI)、Graph500(ビッグデータ) の4部門首位は史上初」とツイッター上で報告し、うれしさをにじませていますよ。

各ランキングの解説は理研のプレスリリースで読めますが、なんせオールマイティに首位(ついでに開発予算も首位)ということで、「富士の高みのようなピーク性能、富士の裾野のような幅広い応用」という理想をそのままに実現しました。

20200629fugaku
富士のように高く、広く
primeurmagazine

富岳が目指した3つのこと

開発段階でチームが目指したのは次の3つです。

  1. 省電力
  2. 汎用性
  3. 使い勝手

1.の電力効率は京から大躍進! 昨年、Green 500ランキングでも1位に輝きました(今年6月に同じ日本勢のプリファード・ネットワークス[PFN]のスパコン「MN-3」に首位交代しましたが)。クラウド企業は電気代が一番の頭痛の種なのでこれはうれしい改善ですよね。これもモバイルで普及が進んだARMの省電効果のなせる業? そのときのプレスリリースには次のようにあります。

「富岳は、GPUなどのアクセラレータを用いない、様々なアプリケーションを処理することが可能である汎用CPUのみを搭載したシステムです。つまり、今回のランキングにおいて富岳の開発技術は、アクセラレータを用いた他システムを上回る消費電力性能を持ち、かつ、汎用CPUのみの他システムと比較して約1/3の電力で処理を行える省電力なシステムであることが実証されました」 (富士通・新庄直樹理事)


「富岳ではCo-design(コデザイン)による開発で目標を大幅に超える世界最高の電力性能を誇る汎用Arm CPUの開発に成功しました。GPUマシンがランキングの上位を占める中で、汎用CPUマシンがこれらを上回るのは非常に画期的なことです」(理研・松岡聡計算科学研究センター長)

幅広く使えるようARM採用

CPUを京のSPARCからARMに変更したのは、ARMのエコシステム、多彩なアプリケーションの強みを生かすためです(ちょっとARMと富士通の関係がわかりづらいかもしれませんが、ARMは命令セットアーキテクチャで、富士通が開発するのはマイクロアーキテクチャ。ハンドルとエンジンのようなものだと富士通は図解しています)。

富士通はすでにARMベースのA64FXプロセッサの量産化と製品応用を進めており、HP傘下Crayが年内ロスアラモス研究所などに納入する予定の「CS500」スパコンにも採用が決まっています

TOP500も世間も様変わり

TOP500スパコン世界ランキングもこの10年で半分が中国勢にガラリと入れ替わっています。富岳もチップの製造は台湾セミコンダクター(TSMC)の7nm FinFETプロセス…。スラドのコメント欄には、もう国内では作れないんだな…という寂寥感の滲むコメントも見られました。半導体王国・日本の絶頂期を知る方々でしょうか…。

納税者の目も厳しくなっていて、「勝ってなんぼ」の世界から「使ってなんぼ」の世界になってきています。その点、富岳は汎用性も意識してつくられていますし、新型コロナウイルスの治療薬探しにも1年前倒しで投入されたり、実用面でも沸かせてくれそうです。

IntelとAMDの牙城にARMが乱入しての大番狂わせ。RISC-V(インドが国家ISAとして採用)などのオープンアーキテクチャとARMの攻防と併せて、目が離せませんね!

Source: RikenARMGizmodoThe VergeFujitsuSlashdotAxion

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