Microsoft幹部がMagic Leapの新CEO就任へ。AR新時代を築けるか?

  • author Victoria Song - Gizmodo US
  • [原文]
  • R.Mitsubori
Microsoft幹部がMagic Leapの新CEO就任へ。AR新時代を築けるか?
Image: Microsoft|Magic Leapのペギー・ジョンソン新CEO。

いっそスカウターっぽくしちゃう?

世の中が新型コロナウイルスのパンデミックに悪戦苦闘していたころ、ARヘッドセットメーカーのMagic Leapもまた、苦難の時期を迎えていました

まず3月、販売不振が続く同社がついに身売り先を探している、と複数のメディアが報じました。その翌月には従業員の半数が解雇されるというニュースが流れたものの、5月になると同社がどこからともなく3億5000万ドル(約375億3925万円)もの資金調達に成功したことが判明。しかしその翌週にはロニー・アボヴィッツCEOが退任するという、なんとも怒涛の春を過ごしたわけです。

すったもんだの末に新CEOが就任

そして7月初旬、同社はMicrosoft(マイクロソフト)幹部のペギー・ジョンソン氏を新CEOに迎える発表しました。ジョンソン氏は現在Microsoftでビジネス開発担当副社長を務めており、8月1日にMagic LeapのCEOに就任するとのこと。ちなみにMicrosoftの前は半導体メーカーのクアルコムで幹部を務め、その前はゼネラル・エレクトリックの軍事電子部門でエンジニアとして働いていました。

ジョンソン氏はニューヨークタイムズのインタビューに対し、「今回の移籍は自身が決めたこと」だと話しています。アボヴィッツ前CEO退任のニュースを知り、直接コンタクトをとったんだとか。さらにジョンソン氏は、新型コロナウイルスのパンデミックにより多くの人々が在宅勤務となったため、職業訓練、医学、産業のオートメーションといった企業向けのアプリケーションなど、「ARの機会は拡大した」と強調。「だからこそ、現時点で私はMicrosoftからこの業界に行くべきだと思ったのです。Microsoftは成功していますから」。

ARに未来はあるのか?

世界的なパンデミックが発生して以降(というか、ずっと?)、ARヘッドセットは「売れている」とは言えません。その意味で、今回の移籍は大胆な決断だと言えるでしょう。実際、ARから手を引く企業も増えています。

たとえば先月、音響機器メーカーのBoseはAR部門を閉鎖し、「音楽が聴けるサングラス」という触れ込みのARサングラス「Bose Frames」の製造から事実上撤退しました。また、過去2年間にわたって消費者向けARグラスを製造してきたカナダのスタートアップNorthも、1億8000万ドル(約193億330万円)でGoogleに買収され、契約の一環として次世代スマートグラス事業を打ち切っています。

Magic Leap自身、消費者向け商品の分野では失敗を期しました。長年にわたって過剰ともいえる宣伝を繰り返し、20億ドル(約2145億1千万円)もの資金をつぎ込んだものの、彼らの最初の製品は期待はずれに終わったのです。理由はいくつもありますが、そもそもARヘッドセット自体があまり普及していないという現状があります。テクノロジーはものすごく進化しているのですが…。

今もなんとか生き残っている製品を見てみると、MicrosoftのHoloLens 2やGoogleのGlass Enterprise 2、EpsonのMoverioなど、いずれも法人向け製品へとシフトチェンジしていることがわかります。

Magic Leapも今、法人向け事業へと仕切り直しを図っています。そう考えると、Microsoftをはじめ、多くの大手ハイテク企業とゆかりのあるジョンソン氏のCEO就任も理にかなったことなのかもしれません。とはいえ、ARや空間コンピューティングはまだ草創期にあるので、果たして消費者に受け入れられるテクノロジーになれるのかどうか、これからが正念場です。

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