「いまちょっと暑い or 寒い」をガジェットで克服できる。
気候変動もあってか年々暑さを増していく感のある夏。どれだけクールビズな格好をしていても、エアコン圏内を出た瞬間から汗がにじみ出てきますよね。そして次のエアコン圏内に着くと汗が飛び切るまでが寒すぎる。
その悩み、ソニーの「Reon Pocket(RNP-1A)」なら解決できるかもしれません。
これはいわば保冷剤モードとホッカイロモードが切り替えられるガジェットで、「冷感」と「温感」のどちらでもオンデマンドで与えてくれる、おそらく世界初のウェアラブル体感温度調節デバイス。
発売前のReonを借りることができたので、どんな感じか試してみました。
人の肌をハックした冷感
Reonには大きく分けて4つのモードがあります。冷感を与えてくれる「COOL」モード、温感を与えてくれる「WARM」モード、行動を検知して自動的に調節してくれる「AUTO MODE」、そして冷感と温感を自由に組み合わせられる「MY MODE」です。
まずはやはり、夏なのでCOOLモードを試そう……
と思ったら一瞬でした! 起動してから秒でひんやりしてきます。なんだこれ。
Reonの裏側には肌と直接熱のやり取りをするシリコンパッドがあって、そこからしんしんと冷気が肌に染み込んできます。しかもこれすごいのが、冷感が30分も続いちゃうんですよ(30分経つと自動的に切れる仕様)。
通常、たとえば保冷剤をタオルに巻いて体に当てた場合だと、はじめのうちはひんやり感がするのにしばらくするとかなり薄れますよね。これは人の肌が「温度差」の感知に特化しているからなんです。肌が暖かいうちは保冷剤との温度差で強い冷感がありますが、肌の温度を下がりきると肌と保冷剤とのあいだに温度差がなくなってしまい、肌が冷感をほとんど感じなくなります。
しかしReonには保冷剤にない知能・センサー・コントロールがあるので、肌の仕組みをハックできちゃうんです。肌が暖かい時は冷却を強くして冷感を与え、肌が冷えると一旦冷却を弱めます。すると肌がすこし温まる(冷えた肌が周りの体組織や血液から熱を奪う)ので、また肌とReonとのあいだに温度差が発生しうるようになり、冷却を強めたときに冷感があるわけです。
Reonは冷却の強さに波を持たせることで、肌の温度感覚を定期的にリセットしているんですね。いわば保冷剤を離したり当てたりするのを自動化している感じ。実にエレガントな解決策です(省電力性にも貢献する一石二鳥のアイデア)。
Reonに付属する専用のインナーに挿して使用すれば、こうした肌ハックの冷感が首元に効きます。今回はレビュー用にお借りしているものなのでインナーは使用せず他の方法で固定して試していますが、首元はいいポジションですね。歩いても大きく動かない部位なのでずれにくいですし、多少盛り上がりますがそこまで目立ちません。このポジションに落ち着くまで開発者の方が2ヶ月も暑い部屋で試行錯誤したらしいので、そりゃいいはず。もちろん他の部位に当ててもOKです(顎下とかかなり気持ちいい)。
冷感の強さは1〜4段階から選べます。ただし一番強い4段階目は連続2分までのブースト機能。1〜2が安静時に心地いい感じで、3〜ブーストは「そこ急ぎで冷やして!」の感じ。
公式のインナーなしで外を出歩くわけにもいかないので室内で試していますが、通学・通勤時などにReonで汗を抑えられたらどれだけ助かることかと思います。建物と建物のあいだなどの短時間の暑さを、発汗少なく乗り切ることができたたら汗の匂いは発生しにくいだろうし、エアコンの効いた部屋に再突入したときも寒い思いをしなさそう。室内で試した感じだと、ちょっとした暑い瞬間ならほぼ汗なしでやり過ごせます。
ただここで気をつけたいのが、Reonは体温を上げたり下げたりするガジェットではない点です。あくまでも冷感や温感を与えるものなので、根本的な暑さ・寒さ対策にはなりません。ちょっとした暑さや寒さを乗り切らせてくれる快適ガジェットなので、体調管理は怠っちゃいけません。
エロかったり賢かったり、体外時計モードも
COOLモードの次は温感を与えるWARMモードを試しました。そしたらこちらもモードを切り替えてすぐ暖かいんですよね。ホッカイロを袋から取り出してしゃかしゃか振る冬の風物詩は過去のもの。ていうかReonを買ったら年中お世話になっちゃいそうです。
WARMモードのレベル3〜ブーストは相当暖かく、もはや冬が待ちきれない感じ(夏に試すのは地獄)。レベル1だと冷えた体を体温高めの人に温められている感じで、なんかちょっとエロいです。WARMモードの連続運転も30分までの模様。
お次はAUTO MODE。装着者の行動を検知してReonが自動的に合わせてくれるモードで、かなりヒューマンセントリック。たとえば夏、家から駅まで歩く時に使うと、歩きはじめは弱めの冷感、途中からほどほどの冷感、歩き終わった頃に最強の冷感を届けてくれるんです。
歩きはじめはそれほど暑くないので弱めの冷感に設定され、運動中は温度を感じにくくなっているのを考慮してほどほどの冷感に設定(歩いている時は風もありますしね)。でも歩き終わりは体が温まっているのに風がない最悪の状態なので、Reonが全力の冷感(ブースト)を発揮してカバーしてくれます。本格的には試せていませんが、お任せでも細かく冷感を調節してくれるのはありがたい。移動の多い人は重宝しそうな機能です。
最後にMY MODE。これはCOOL→停止→WARM→停止→COOL…のループをカスタマイズできるモードです。僕のお気に入りはCOOL25秒→停止15秒→WARM5秒→停止15秒のループ。たまに来る温もりに「おっふ」と快感を覚えながら1分のリズムを体で感じれます。
Reonを可能にしたソニーテクノロジー
冷感、温感、行動検知…と、Reonがここまで色々できるのは、ソニーのあらゆる技術がホイホイと惜し気もなく放り込まれているから。熱のコントロールはソニーのモバイル機器設計の知見が活かされていて、行動検知にはソニーのウェアラブル機器でも使われているアルゴリズムが活用されています(Reonは加速度センサーも搭載)。
それだけでなく、Reonが熱を移動・発生させるのに使っているペルチェ素子(電気が通ると片方の面の熱をもう片方に移動する素子)はReonのために1から設計されたカスタムパーツなんだそうです。人肌に近い温度でのエネルギー効率が従来のものと比べて相当高くなっており、熱暴走することなく、小さいサイズでありながら一回の充電でだいたい1〜3時間動かせるのはこのため。
なんかソニーの開発現場楽しそう。あのテクノロジーとこのテクノロジーを掛け合わせて…みたいなノリで「ボクの考えた最強ガジェット」どんどん作ってほしい。
まとめ
自分の体感温度をコントロールできちゃうウェアラブルガジェットなんて、いまのところコレしかないと思います。なのでこれは実質プライスレス。
でもソニーはReon Pocketを7月1日から1万3000円(税抜き)で発売しちゃいます。
しかも東レft.ソニーのインナーが手に入るというソニーファンほいほい仕様。プチ贅沢にもってこいのガジェットですね。
※価格など表示内容は、執筆現在のものです。変更の可能性もありますので、販売ページをご確認ください。
Source: ソニー