地球から5億光年先の宇宙には銀河の「壁」が広がっていた

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  • author 山田ちとら
地球から5億光年先の宇宙には銀河の「壁」が広がっていた
Image: NASA, modified by C. Yamada

宇宙には「壁」があります。

でも「壁」という言葉から連想される硬くて揺るがないものではなく、おびただしい数の銀河が連なってできた光の脈のようなもの。

このたび、今までで地球に一番近いところに新しい壁が発見されました。MIT Technology Reviewによれば、「サウスポール・ウォール(South Pole Wall)」は少なくとも140万光年にわたる長さがあり、今まで天の川銀河そのものの明るさに紛れて発見されずにきたそうです。

銀河がつくる壮大な泡もよう

観測技術の発達とともに宇宙の遠いところまで見渡せるようになり、宇宙をより大きなスケールで捉えられるようになってきています。そして、宇宙の物質の分布にはムラがあることもわかってきています。

宇宙を10億光年のスパンで見渡してみると、銀河やガス、塵などが密集して葉脈のように連なっていると同時に、ほとんど物質が存在していない空間が点在しています。まるで泡の集まりのように見えるので、「宇宙の泡構造」、または「宇宙のクモの巣構造(cosmic web)」と呼ばれています。

宇宙の大規模構造を映しだしたスローンデジタルスカイサーベイ
Image: Sloan Digital Sky Survey

上の画像は宇宙の大規模構造を二次元で表したもの。10万個の天体を分光観測して位置と明るさを特定したスローンデジタルスカイサーベイの成果です。

なんだか飛行機から眼下に広がる夜景を見おろすような、幻想的な美しさです。

Image: W. Schaap (Kapteyn Institute, U. Groningen) et al., 2dF Galaxy Redshift Survey via NASA

そしてこちらは2dF銀河赤方偏移サーベイが鮮明に映し出した複数の「壁」。灰色の物質はすべて銀河で、銀河同士がクラスターを作って銀河群、銀河団、さらには超銀河団を形成しています。

なかでも圧巻なのは地球から10億光年離れている「スローン・グレートウォール(Sloan Great Wall)」。全長13億光年にも及びます。NASAによれば、スローン・グレートウォールを形成している無数の銀河のなかには重力で結びついていないものもあり、グレートウォールが今後流動的にかたちを変えていく可能性もあるそうです。

灯台下暗し

今回新たに発見されたサウスポール・ウォールは、地球から「たった5億光年」しか離れていない場所で発見されました。5億光年ということは、光速で移動しても5億年かかる距離…。気の遠くなるような遠さですが、宇宙ではごく近距離。そして、この近さゆえに今まで発見されなかったのだとか。

というのも、天の川銀河の明るさが覆い隠してしまっていたためこれまで見えていなかったそうです。そこでフランス・アメリカ・イスラエルの科学者チームが赤方偏移に基づいて銀河の密度を測定し、さらに銀河の速度を観測することによって銀河同士の重力の結びつきを調べました。すると、140万後年にわたる巨大な連なりが浮かび上がってきたそうです。

「密」状態でもだいじょうぶ?

ところで、わたしたちの天の川銀河はどうなんでしょうか?

天の川銀河がいる場所は特に密集していないようで、一安心。もし銀河が数千個も密集している銀河団や、銀河団がいくつも密集している超銀河団にいたら、とうぜん銀河同士の衝突も起こりやすくなりなるのでぼんやりしてはいられません。

でも、天の川銀河のおとなりにあるアンドロメダ銀河は、現在時速40万km/hの速度で接近中で、40億年後には合体すると言われていますね。その頃まだ人類が存在していたら、一体どんな光景を見ることになるのでしょうか…?

星の動きならぬ銀河の動きにさえも翻弄される命がある。宇宙のことをもっと知るたびに、地球に生まれた奇跡をありがたく思わずにはいられません。

Reference: MIT Technology Review

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