悩みますよね、これ。
AlexaとGoogleアシスタントはどちらも多様なスマート家電に対応した優秀なAIアシスタント。故に悩ましい、どちらがより優れていて、自分に合うんでしょう? さまざまなガジェットを徹底比較してくれることで大人気の米国メディア「Wirecutter (from The New York Times)」ががっつりテスト、おすすめのデバイスと合わせてまとめてくれています。翻訳してご紹介します。
AIアシスタントで音楽聞いたり、気になる質問の答えやニュースを確かめたり、電気を消したりしたいなら、スマートスピーカーとディスプレイは欲しいところ。音声コマンド対応の主な製品をいろいろテストしてみましたが、だれもが最後に落ち着くのはAlexaとGoogleアシスタントの対応端末でしょう。スマートスピーカーが初めてなら、Amazon Echo DotとGoogle Nest Mini(第2世代)が安価な割には機能フル装備で、プラットフォームを試す入り口には最適です。
オーディオ機器として見た場合、音声操作のスピーカーは、音楽やポッドキャストをいつも身近に楽しみたいけど、チャンネルやプレイリストを選ぶのにスマホを取り出すのは面倒というときに本当に便利で、起動ワードと聞きたい曲名を言うだけで楽曲が流れます。さらにAIアシスタント端末も兼ねているので、スマート家電を操作したり、商品をオンライン発注したり、そのほかいろんなタスクをこなせます。タスクの処理はAlexaもGoogleアシスタントもサクサクですが、Alexaのほうがこなせるタスクは多く、特にスマートホーム家電の操作では差がつきます。
お家にぴったりなAIアシスタントは、各自の優先順位と操作する製品、そして利用中のサービスが何かによります。また、スピーカーも最近ますます種類が増えて、ディスプレイとサウンド性能の充実度、スマートホーム家電にどれだけ広く対応しているかまで考えて選ばなければなりません。ここではAlexaとGoogleアシスタントのみに絞りましたが、iPhoneとiPadに広く搭載されているAppleのSiriも根強い支持があります。ただ、Appleの音声操作対応のスマートスピーカーHomePodにはAmazonやGoogleのスピーカーほどのインパクトはないように感じ、割愛させていただきました。
イチ押し: Amazon Echo Dot

サウンドのある暮らしを気軽に楽しむならコレ。AIアシスタントやスマートホームの基本的なタスクもこなせます。Amazonで5,980円、時計付きモデルは6,980円。
Alexaが最安で楽しめるAmazon Echo Dot。スタトレの万能コンピュータにはおよばないながらも、上位モデルほど懐を痛めず、上位モデルにできることはほぼ全部できる、めちゃスマートなAIアシスタントです。特にスマートホーム家電の操作に少しでも興味があるなら、もうAmazon Alexaプラットフォーム一択ですよね。Amazon Prime漬けな人も。機能が豊富だし、幅広いスマートホーム家電に対応しているし、一番人気の楽曲ストリーミングサービスも楽しめます。
Alexa内蔵機能に加え、Alexaプラットフォームの「スキル」(スマホで言うところのアプリ)もますます充実しており(執筆段階で10万超)、レシピの読み上げからピッツァの注文、Uberでクルマを呼ぶ操作までできます。使わないスキルもあるけど、AlexaはGoogleアシスタントよりはるかに多くのことができます。標準モデルのEcho以外にも、AmazonからAlexa対応スマートスピーカーは何種類か出ていますので、以下におすすめを何点か紹介していきますね。Wirecutterのお気に入りはAlexaスピーカーのガイドでも読めますよ。
イチ押し:Google Nest Mini

低コストでマルチルーム・オーディオ・システムを実現したり、Googleアプリにつないで使う理想のオプション(一部Alexaほど使えないタスクあり)。Google Storeで6,050円。
低予算でも手が届くGoogle Nest Mini(第2世代)。Google得意の検索と音声操作はもちろんのこと、各種Googleアカウントとの連携も可能なので、Googleカレンダーでその日の予定を確かめたり、Googleキープでリマインダーを管理したり、Googleマップのデータをもとに通勤ルートの混雑状況を読み上げてもらったりもできます。複数名のアカウントを使う場合、Nest Miniは声で相手を聞き分けられるのが強み(聞き手に合わせて最適なデータを提供できる)。
ただ、Nest MiniのGoogleサービスは期待したほどではないかも。Alexaより回答は確かに詳しいけど、毎日使うぶんには、目立った違いは感じられません。たとえば、Googleカレンダーに予定を書き込む手順も無駄に使いづらかったりします。さらに、改善を重ねてはいるものの、連携できるスマートホーム家電もAlexaほど品揃えは多くなくて、サードパーティのAction(Alexaのスキルに相当)にも同じことが言えます。そのほかのGoogleアシスタント対応端末のおすすめは以下にご紹介します。スマートディスプレイBESTセレクション、Googleアシスタント対応端末BESTセレクションの各ガイドも併せてご参考に。
比較するのもガチ勢です
Signe Brewster:7年前から新興テクノロジー(ロボティクス、AI、オートメーションの進化と長期の影響など)を追いかけているライターです。Wirecutterではスマートディスプレイのガイドを書いた経験があり、心密かにJiboの復活を夢見る日々。
Grant Clauser:初代DVDプレイヤー発売当時から家電の取材とテストを続けてきたベテランで、業界メディアと一般媒体の編集長を多数歴任しました。THXとISF、Home Acoustics Alliance、SencoreAVの研修を受けて認証資格を取得したほか、Control4のホームオートメーションプログラミング研修を修了。ホームオートメーション端末を自らプログラムし、製品数百点のレビューをこなした実績を誇ります。
自分向きな音声アシスタントを選ぶコツ
音声操作のスピーカーは、買い物リストの作成、アラームとタイマーの設定、簡単な検索(例:「カンザスの州都は?」や「大さじ2は何cc?」)といったパーソナルアシスタントの基本タスクをシンプルにこなせる端末で、これがあるとスマートホーム家電の操作も行なえます(例:「コンピューター、電気つけて!」)。普通はこうした全機能に興味があって買うわけですけど、スマートスピーカーを買うと、AlexaかGoogleアシスタントかの二者択一になって、付属する音声認識プラットフォーム(AlexaやGoogleアシスタントの基幹ソフトウェア)も決まってしまうので、そこがちょっぴり悩みどころですよね。
両方ともタスクの処理は申し分ないので、小さなタスクに関しては、 どっちを選んでもほぼ全員満足できます。スマートホーム家電の自動設定や操作といった大きなタスクに関しては、すでに使用中の製品(または購入予定のもの)と同じもので揃えるのがおすすめですので、まずは家中のサーモスタット、スマートプラグなどのスマート家電を片っ端から点検して、Alexa対応かGoogleアシスタント対応か両対応か調べて、それが終わったらAV機器と毎日のタスクのルーティンを考える、という順序で進めるのがコツ。「Amazonプライムビデオ漬けで買い物はアマゾン」という人なら、Alexa対応スピーカーのほうがニーズに合うだろうし、GoogleはGoogleで、カレンダーやYouTubeなどのGoogleアプリとの連携が強み。どっちを重視するか、ですよね。
まだ迷うなら、スマートスピーカーを使う目的をよく考えてみます。以下のチャートを見ながら、一番気になる機能をチェックしましょう。
タスク | Amazon Alexa | Googleアシスタント |
---|---|---|
ストリーミング(音楽、ポッドキャスト、ビデオなど) | 引き分け:Amazonサービス“は”得意です(Audible、Amazon Musicなど)。映画TV番組のストリーミングもベター。 | 引き分け:Googleサービス“は”得意です(Google Playの書籍と楽曲、YouTubeなど)。 |
AIアシスタント | 勝ち:幅広いサービスに対応。カレンダーへの予定の記入やAmazonの商品発注もできます。 | Googleアプリをよく使うなら、こっちがベター。 |
質問に答える | スキルを探して有効にしてAlexaの情報不足を補うのが面倒でなければ買い。 | 勝ち:スキルを有効にしなくても、いろんな質問にもっと詳しく答えてくれます。 |
スマートホームの操作 | 勝ち:より多くのプラットフォームと製品に対応。 | 手持ちの家電で使えるなら買い。少しくだけた会話調で操作したい人向け。 |
電話とチャット | 引き分け:家のインターホンとしても使えるし、Alexa利用者や任意の電話番号に通話発信できます。一部のモデルは動画チャットにも対応。 | 引き分け:家のオーディオとインターホンを操作し、任意の電話番号に直接通話発信できます。一部のモデルではGoogle Duoで動画チャットも可能。 |
ストリーミング対応(音楽、ポッドキャスト、ビデオなど) :引き分け
イチ押し: Sonos One

パワフルなスピーカーです。Sonosマルチルーム・オーディオ・システムとの連携も可。音声操作はAlexaでもGoogleアシスタントでもできます。Sonosストアで2万3,800円。
楽曲やポッドキャストが最優先なら、利用中の有料ストリーミングに対応するスピーカーかどうかをまず考える必要があります。その点、Sonos Oneスピーカーならサウンドも最高だし、AlexaとGoogleアシスタント、どちらでもペアリングできる珍しい仕様なので、あんまり思い悩まなくても大丈夫。ほかのタイプのスピーカーを選ぶ場合も、Apple Music、Pandora、Spotify(無料版はGoogleアシスタント端末にのみ対応)、TuneInといったメジャーどころは、AlexaでもGoogleアシスタントでも使えます。有料のGoogle PlayやYouTube Premiumを利用中なら、Googleアシスタントのスピーカーが一番。有料のAmazon Prime MusicやAudibleを利用中の人や有料サービス未加入の人は、とりあえずAlexa端末からはじめてみてもいいかと思います(Amazon Echoを選ぶと、Spotify風の楽曲とアーティストのセレクションが楽しめるEcho限定Amazon Music Unlimitedも月額わずか380円で購読利用できます)。
Googleアシスタントのスピーカーは、ChromecastでWi-Fiでスマホからスピーカーに飛ばさないと利用できない楽曲アプリも一部あるので注意が必要です。非スマート対応のBluetoothスピーカーみたいに、スマホとスピーカーをペアリングして使えることは使えるけど、スマホがないと楽曲を操作できないのでは、音声操作型スピーカーを買う意味ない気がします。また、音声操作にこだわらなければ、同じ価格帯ではるかに優れたBluetoothスピーカーが手に入りますしね。
ストリーミングサービス名 | Amazon Alexa対応状況 | Googleアシスタント対応状況 |
---|---|---|
Amazon Music Unlimited | 〇 | × |
Apple Music | 〇 | 〇(Chromecast経由) |
Audible | 〇 | 〇(Android限定、Chromecast経由) |
Google Play Music | × | 〇 |
iHeartRadio | 〇 | 〇 |
Pandora | 〇 | 〇 |
Prime Music | 〇 | × |
SoundCloud | × | 〇(Chromecast経由) |
Spotify Free | × | 〇 |
Spotify Premium | 〇 | 〇 |
Tidal | 〇 | 〇(Chromecast経由) |
TuneIn | 〇 | 〇 |
YouTube Premium | × | 〇 |
ベストなAIアシスタントは、Alexa

イチ押し: Amazon Echo Dot

サウンドのある暮らしを気軽に楽しむならコレ。AIアシスタントやスマートホームの基本的なタスクもこなせます。Amazonで5,980円、時計付きモデルは6,980円。
トニー・スタークの人工知能J.A.R.V.I.S.には敵わないけど、そこまで期待値を上げなければ、AlexaもGoogleアシスタントもAIアシスタント性能はかなりよくなっています。現在地と現時間をもとに天気予報や最新イベントを教えてくれるし、初歩的な質問への回答はどちらもほぼ毎回正解です。さらにToDoリスト、カレンダー、買い物リストの管理やオンライン購入もできます(ただし成功率は、すでに利用中のショッピングサービスにより異なります)。総合点で比べると、僅差で軍配が上がるのは、サードパーティーのサービスとの互換性、スキルの種類が豊富なAlexaです。ちょっと感触を試したい方は、一番安いAmazon Echo Dotがおすすめ。面倒な設定抜きにただ電源差し込むだけで使えます。しかもビール1ダース並みの激安プライス(場合によっては6缶パック並み)のセールもよくあるし。こんなに安いのに、高いモデルでできることは文字通りなんでもこなせますよ。サウンドにこだわりたいなら、Echo PlusやEcho Studio辺りに背伸びしてもいいでしょう。
Alexaは天気予報はもちろんのこと、希望に合わせてニュース速報(2,000以上のニュースと情報源から選べます)を読み上げてくれますし、ジョークで和ませたり、数学の問題を解くのを手伝ってくれたり、GoogleやOutlookのカレンダーに予定を追加したり(リクエストすれば読み上げて)、ちょっとしたリクエストにも幅広く対応してくれます。さらにAmazon Primeメンバーなら直接AlexaからAmazonの商品を注文することもできます。
AlexaにあってGoogleアシスタントにないものと言えば、音声操作のスピーカー向けに開発された多種多様なスキル(アプリ)です。その数なんと8万種超。ドミノピザ、メモアプリのTodoist、Task Penguin、Americas’s Test Kitchen、Uber、スタバなど、人気サービスが開発したスキルもたくさんあって、有効にすればニーズに合わせてAlexaをカスタマイズできちゃうんですね。そこがAmazonの優位を決するポイントとなっています(使っているサービスがAlexaスキルライブラリで直接提供されていない場合も、さまざまなIFTTTアプレットで補えることも)。
家の中のEcho、Flex、Dot、Showの端末同士を連携すればインターホンに様変わり。各端末に名前を付けてドロップイン機能を有効にして、2つの端末をつなげばトランシーバーのようにインターホン通話を開始できますよ(ドロップインはAmazon Echo端末でのみ機能します)。Echo ShowやSpotのオーナーはこの機能で動画チャットもできちゃう(これは相手方にも画面付きのAlexa端末かスマホのAlexaアプリが必要)し、通常の電話番号に音声通話をかけることもできます。

Googleアシスタント端末も負けちゃいません。Alexa同様に基本的なタスク(リマインダーの設定、カレンダーや天気の確認、目覚ましとタイマー、定期アラームの設定など)はサクサクこなせるし、翻訳だってできます。Amazon Primeのショッピングはできないけど、Google Shopping加盟店(米国ならコストコ、PetSmart、Bed Bath & Beyondなど)で買い物も可能です。
設定さえ済ませてしまえば、Googleアシスタントが声で相手を聞き分けて、「OK Google、今日の予定は?」などのリクエストにも話し手に合わせた回答を返してくれます。これがAlexa端末だと、アカウントを切り替えるよう、声で言いつけなければだめなので、お茶を注文するときにも家族のアカウントから自分のアカウントに切り替えなければならなかったりして面倒です。まあ、スマート家電と楽曲の操作ぐらいでしかスピーカーを使わない人は、特に面倒に感じることもありませんけどね。
2018年はじめにGoogleは、Alexaのサードパーティのスキルに対抗して、アクションを導入しました。品揃えはずっと少なめです(プログラム済みの自動化機能はIFTTTで取得可能)が、興味のある方はGoogle Homeアプリを開いて、「設定」>「サービス」の順に進むと、利用可能なアクションが表示されるので、気になる音声コマンドを読み上げてアクションを起動してみましょう。ドミノピザを注文するアクション、心理セラピーのアドバイス(注:このようにしてメンヘルのアドバイスを得ることはおすすめできません)、シアトル市内の公共プールの営業時間を見つけるアクションなど、いろいろ並んでいますよ。また、複数のステップを組み合わせてルーティンを設定すると、タスクやスマート家電の操作を自動化できるので、たとえば「おやすみなさい」と言うと、照明や音楽が消えて室温が下がる、といった操作も可能です。ほかにも、リマインダーやGoogleカレンダーに予定を加えたり、電話をかけたり。 Google Hub Maxオーナーは、ほかのHub Max端末にビデオ通話も発信できます。これと同じことはGoogle Duoアプリ経由でもできます。
質問に答えるのが得意なのは、Googleアシスタント

イチ押し: Google Home

Googleアシスタントは答える質問、答え方のバリエーションが広いので、もっと自然に会話のキャッチボールが楽しめます。店頭価格は1万1,550円。
人生や生活にまつわるさまざまな質問の答え。これはGoogleの得意分野なので、大小を問わず、Alexaより内容は充実しています。数えきれないほどの時間、テストを重ねてみましたが、Googleアシスタントのほうがやっぱり答えようと粘るし、会話の流れに合う情報を返してくれるし、回答の長さもほぼ毎回、Alexaより長めでした(長い=内容が厚いとは限らないけど)。

実用では甲乙つけがたい部分もあります。最寄りのイベントの日程を見せてと頼むと、Alexaは回答できないとあきらめたり、その日の晩ごはんのおすすめを言ってくることもありました(「ピザはどこで食べられますか?」と聞き直すと、レストランのおすすめが返ってくる)。その点、Googleアシスタントはいろんなオプションを返すスタイルですね。「ベストなBluetooth対応型スピーカーは何?」という質問には、AlexaはAmazonのベストセラー商品を紹介してきて、 Googleアシスタントは記事から抽出した一覧を表示する、という具合。量販店Targetの閉店時間や中国の人口、1カップが小さじ何杯かについては、どちらもバッチリ正解が返ってきました。チキンの焼き方、ステーキに合うワインの回答はGoogleの勝ちですが、Alexaはスキルがあるので、それで探せば料理系のスキルは300種以上、ワイン好き向けのスキルも100種前後あります。ちなみに、AIアシスタントと画面の組み合わせでレシピを目で確認できるスマートディスプレイのほうが料理好きの人にはうれしいチョイスかもしれません(スマートディスプレイBESTガイドをご参考に)。
AlexaにはないGoogleアシスタントの強みは、最初の質問から次の質問を推測できることで、たとえば、「ねぇGoogle、セックス・ピストルズが結成されたのはいつ?」と聞いてから「 ねぇGoogle、リードボーカルは誰だっけ?」と言えば、「セックス・ピストルズ」と繰り返さなくてもいいんですね。まあ、テスト利用中に限って言うなら、これで助かったと実感できるシーンはあまりなかったけど。
スマートホーム操作で選ぶなら、Alexa

イチ押し: Amazon Echo Plus(第2世代)

Amazonを代表するEchoスピーカーも、ほかの全Alexa対応スピーカーと動作は一緒。管理できるスマートホームは数千種にのぼりますが、内蔵の近距離無線通信規格のZigbee(ジグビー)でHueのスマート電球を直接連携することも可能です。 Amazonで1万7,980円。
AlexaもGoogleアシスタントも、人気スマートホーム家電の操作は幅広く用意しています。厳密には世のスマートスピーカーの多くはスマートホームハブ(SmartThingsや Winkなど)と似て非なるものです。どちらかと言うと、音声操作の万能リモコンに近いというか、本来バラバラで親和性のない家電(競合品も多い)同士を束ねるガムテープのような立ち位置です。しかし、Echo Plus、Echo Show、Echo Studioといった一部のAlexa端末は、Zigbeeワイヤレスハブが中に入っているので、外部のハブを使わなくても家電をここに統合できるんですね。その面では、Alexaの優位は明白で、Echo端末のほうがGoogleアシスタントよりも操作可能なスマートホーム家電の種類はかなり充実しています(Philips Hue、Samsung SmartThings、LIFX、Lutron Caseta、Belkin Wemo、Wink、Alarm.comなども操作できる)。Wirecutterお気に入りのAlexa対応家電とGoogle Home対応家電(とHomeKit対応家電)もぜひご参考に(およびHomeKitに統合されたギアの一部)。 Alexa対応家電はAlexa公式ページでチェック。

対応するスマートホーム家電の数こそ少ないけど、Googleアシスタントも操作性には優れています。Alexaほど多くの家電とペアリングはできませんが、一部の連携では、使いやすさでやや上をいくものもあって、たとえば、Nest Learning Thermostatと連携すると、「ねぇGoogle、もっと暖かくして」と言うだけで室温を上げたりもできるんですね。Alexaだとそうはいかなくて、「Alexa、リビングルームのNestをXX度にして」と言わなければならないし、言い回しを変えるだけで反応しなかったりしますから。どちらのプラットフォームもルーチンは設定できるので、たとえば、ひとつのコマンドで照明を全部消して室温を下げたり、 「OK Google、おやすみなさい」と言わなくても定時にルーティンを自動的に実行するタイマー設定なども可能です。 Google Nest Hubオーナーは、ディスプレイのHome View専用ダッシュボードから全スマートホーム家電を操作することもできます。詳細は、 Google Home対応スマート家電ベストセレクションガイドでどうぞ。
動画は引き分け

イチ押し:Amazon Echo Show

上質なサウンド、鮮明なスクリーン、プレミアムな動画セレクションに加えて、スマート家電との互換性の高さも申し分なし。Echo ShowはもっともバランスのとれたAlexaのスマートディスプレイです。Amazonで2万7,980円。
イチ押し:Google Nest Hub Max

Googleカレンダー、Google Photosの連携はばっちりなので、料理をよくつくる人や、Googleアプリをよく使う人で、画面でGoogleアシスタントを使いたい人はきっと気に入るはず。Google Storeで2万8,050円。
スマートディスプレイは、スマートスピーカー性能と画面の一挙両得なので、映画を見たり、野外の防犯カメラなんかのスマート家電とペアリングしたいときにあると便利。今はハンズフリーのビデオ通話もうんと使いやすくなってるし、キッチンでレシピ探して表示できるのも満足度高いです。
編集部で使ってみた感じでは、Amazon Echo Show(第2世代)もGoogle Nest Hub Maxも画面が大きくて、映像も鮮明だし、なかなかいいなと思いました。ただ、スマートスピーカーはどれもそうですが、どちらを選ぶかは、けっきょくすでにあるアプリとスマート家電が何かで決まってしまうところがありますからね。スマートホーム家電の連携と動画サービスではEcho Showのほうが上だし、たとえば、料理が好きな人や、Googleカレンダー、Google Photos、YouTubeといったGoogleアプリのパワーユーザーならNest Hub向きですし。ニーズに合うディスプレイ選びの詳しい情報は、ベストなスマートディスプレイのガイドをご参考に。
プライバシーとセキュリティについて
AlexaもGoogleアシスタントも端末のマイクは常時聞き耳を立てて、「Alexa」とか「ねぇGoogle」という、いわゆる「ウェイクワード」を待ち受ける状態になっています(プライバシーを確保したいときにマイクを切るミュートボタンもありますが)。 ウェイクワードが聞こえると、スマートスピーカーが起動して、拾った音声コマンドの録音がクラウドサーバーに送られて、クラウドでコマンドをアクションに変換して、要求したアクション(楽曲再生など)が返ってくる、という流れ。
スピーカーが常時ONということで、一部のユーザーやプライバシー保護運動の人からは懸念の声もあがっています。2016年には警察が殺人事件の捜査でEchoの録音アーカイブの開示を請求して騒ぎになりましたよね。あのときは、Amazonは最初当然のごとく請求を却下して、「範囲が広過ぎる要求や不当な要求には応じられない」という立場を表明しましたが、けっきょく拒みきれなくなって数カ月後に折れています。
こういう動きに敏感でなければならない気もしますが、ネットであらゆるモノがつながる社会をどれだけ不安に感じるかは、個々人の感じ方によります。細かいことを言い出したら、今はTVだって視聴データ(と音声の録音)をマスターサーバーに送ってますからね。ことAmazonとGoogleのサーバーに関しては、送信されるデータはすべて暗号化されますし、どちらも端末の設定中に安全なパスワードを要求されるので、企業の外部の何者かにデータが傍受されるおそれはほぼないのではないでしょうか。
どちらの端末も、マイクで音を拾って利用者データを蓄積し、サービス向上に役立てています。また、このデータはマーケティングや広告にも活用されます。ショパンの曲をリクエストしたり、最寄りのエチオピア料理店を尋ねたりするたびに、そのデータがほかのデータと一緒に処理されて、利用者のプロファイルが生成されていくのですね。
AmazonもGoogleも録音はすべて削除できますが、でもそれをしようすると、削除するとシステム側の回答の精度に影響が出ると警告が出ますし、好みに合わせたターゲット広告の表示や、端末の音声識別性能を高めて聞き上手な端末に育てていく面でもデータ収集は必要です。履歴の閲覧と管理は、Google Homeはこちら、Amazon Echoはこちらでどうぞ。
これからも目が離せない
Amazonは2019年秋の製品発表イベントでAlexa対応端末の拡大を発表し、コンセントに直接差し込める電源アダプタ並みのミニスピーカー(Echo Flex)、インイヤフォン(Echo Buds、日本語紹介動画)、リング、メガネなんてものまで仲間に加わりました。この調子でいけばキッチン固定位置のスピーカーから脱却して、職場から出先、家までシームレスに付き従うAIアシスタントに進化する日も近そうですね。
参考資料
- Will Greenwald, Google Nest Hub Max, PCMag, 2019年9月9日
- Scott Gilbertson, Jeffrey Van Camp, The Best Smart Displays, Wired, 2019年11月22日
- Will Greenwald, The best smart displays for 2019, PCMag, 2019年11月27日
- Erika Rawes, The best smart displays for 2019, Digital Trends, 2019年11月21日
- An Update on Bringing the Google Assistant to Sonos, Sonos公式ブログ
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