もうずっとベータでいいや…。アプリをストアに公開せずTestFlightでβ配布するのが流行ってる!?

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  • author satomi
もうずっとベータでいいや…。アプリをストアに公開せずTestFlightでβ配布するのが流行ってる!?
未公開アプリ紹介サイトもできた Image: Departures

公開するとあとが大変だし、アップル税もあるし。

…ってなことで、あえてAppStoreデビューを目指さず、リンクをシェアするだけでベータ配信とテストができる「TestFlight」で周囲に配って満足し、永久にテストフライトを続けるデベロッパーが増えているらしく、未公開アプリ紹介サイトも現れるなど地味な盛り上がりを見せています。

誕生2か月で評価105億円の未公開アプリ現る

この春、公開わずか2か月、利用5千人ぽっきりで評価1億ドル(約105億円)で投資を確保した音声SNS「Clubhouse」もTestFlightのベータ配信組。「シリコンバレーのVC(ベンチャー投資家)がひしめく秘密クラブ」、「ここだけの裏話がリアルタイムで聞ける」と噂が噂を呼んで、なんの収益化モデルもないのに「知る人ぞ知るユニコーン」と呼ばれてます。

アプリ自体はひと足先に正式リリースを果たした井口尊仁氏の井戸端アプリ「Dabel(ダベる)」 に似ており、使用感や目指すところもそっくりなんですが、Clubhouseは次の2点が違い。

1. 招待がないと入れない

2. ログが残らない

つまり「選ばれた人しかダウンロードできない」プレミアム感、「聞き逃したら永久に聞けない」飢餓感からみんなついつい流しっ放しで聞いちゃうみたいなんですね。うまいこと考えたなと思います。1日も早くストアに公開してクリティカルマスの確保にまい進するのが普通なのに、その逆を張ってマーク・アンドリーセンから1200万ドル(約12億円)の投資を取り付けたのはすごいですね。まあ、創業者のPaul Davison CEOはスタンフォード大を出てベンチマーク・キャピタル常駐起業家としてサンドヒルロード(大学隣のVC街。車で通っても特にすごさはない)に出入りしていた人なので、今はまだ内輪で盛り上がってるだけですが。

AppStore公開を急がない理由

ストアに公開しない理由について同CEOはブログで次の2点を挙げています。

1. ひと晩で利用者を10倍に広げるより、ゆっくり育てることを重視したい。

2. 社員が少なくて(元GoogleエンジニアのRohan Sethさんと2人体制)大人数向け機能の開発が終わってない。

いずれは世界リリースする予定らしいのですが急ぐ気配はありません。現実問題、AppStoreデビューということになれば、今のように内輪ではやれなくなるし、万人に開かないと却下されちゃいますもんね。未公開のうちから大型投資が入ってユニコーンと散々騒がれた揚げ句、ストアで世界デビューを果たした途端、嘘拡散とネットいじめが問題になってブラジル政府から削除命令が下るなどしてあえなく消えた「Secret」アプリの前例もありますからねぇ…。

魔の4.2リジェクトで撃沈したアプリの再起の場

ストア公開を目指さないデベロッパーを特集したProtocolの記事には、Square社でCashアプリの開発を手がけるJordan Singerさんも登場しています。Singerさんは本業のかたわらiOSアプリを量産中。1点機能のものが多いせいか、AppStoreの審査で「4.2 Design: Minimum Functionality」という最恐リジェクト理由で落とされちゃったのだけど、1点機能のアプリを多機能にするのもアレなので、最近話題のTestFlightで小さく配ってココに配布用URLをまとめて公開しているのだそうですよ?

TestFlightはAppleがAppStore公開前のフィードバック回収作業を手軽にできるように用意したものなので、審査はストアほど厳しくないし、配布人数も最大1万人までと小規模なので監視もゆるめ。気心知れた仲間内で配るだけですから、見ず知らずの利用者からの悪意のレビューで心が折れる心配もないうえに、アプリ内課金は30%のApple手数料を気にせず試運転できます。

TestFlightの未公開アプリのスクリーンショットを名刺代わりに使ってもインパクト出ますし、小さく楽しみたい人はもうこれで充分というわけですね。

未公開アプリはどこで入手できるの?

使用にはTestFlightアプリのダウンロードが必要です。あとはBitSuites社コンサルタントのThomas Weigtさんが作成した「Departures」というサイトに行けば、テスター募集中の未公開アプリのURLがいろいろ出ています。知っているURLがあれば掲載提案も可能。上述のSingerさんも未公開アプリとテスターをつなぐ「Airport」を最近こしらえたばかりみたい。今はコロナ不況でいつ首になるかわからないので、いざというときに備えてコード書く人も増加中です。永久にテストフライトというのはちょっぴり悲しいけど、お蔵入りはもっと悲しい…。 テスト&トライアルの場が開かれるのは励まされますね。

2020年8月21日修正:初出時、一部の数値に誤りがありましたので、修正しております。

Sources: Protocol

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