クルマと音楽フェスのイイ関係。ラジオのFM電波を利用して、レトロで未来な「ドライブインフェス」

  • author 望月智久
クルマと音楽フェスのイイ関係。ラジオのFM電波を利用して、レトロで未来な「ドライブインフェス」
GIF: ドライブインフェス by Afro&Co.

レトロだけど新しい、ニューノーマルなフェス。

車内で楽しむ新しい音楽フェス「ドライブインフェス Vol.1 」が開催されました。コロナ禍における代替えのものを、ということではなく、新しいイベントの楽しみ方を提案。ラジオのFM電波を利用して、クルマから降りることなく音楽が楽しめるのが大きな特徴で、その名の通りドライブインシアターと音楽をミックスした音楽フェスです。

主催は、実験的な体験型イベントを手がける「Afro&Co.」。また、野外映画祭「夜空と交差する森の映画祭」を主宰するサトウダイスケさん、Day1は加熱式たばこの喫煙具ブランドgloと、m-floの☆Taku Takahashiが主宰する音楽マルチメディア「block.fm」がタッグを組むかたちでイベントに協力しています。gloとblock.fmは、これまでもアーティストによるオンライン配信ライブをInstagramから行ってきましたが、ドライブインフェス Day1もその企画と連動して、glo Japan のInstagramアカウントから同時配信されました。

マスク着用なら外に出てOK。でも音的にオススメは車内

さて、基本的にはクルマの中で楽しむ「ドライブインフェス」なのですが、割り当てられた駐車エリアに限ってのみ、マスク着用で外に出ることも可能でした。ちなみに6月に栃木県でテスト開催された「ドライブインフェス Vol.0」にも参加しましたが、その際はクルマから降りられるのは基本的にはトイレに行く場合のみ。

Video: Afro&Co. / YouTube

当時は緊急事態宣言が解除になって1ヶ月も経っていない状況だったこともありますが、コンセプトとして“クルマの中で完結する”ことに重きを置いていたこともあるでしょう。そういうものだと割り切ればあまり不自由は感じず、個人的にはむしろ快適に音楽を楽しめた感があります。今回は、会場の規模も大きくなりソーシャルディスタンスも十分確保できるような環境だったこともあってか、より自由度が高くなっていた印象でした。もちろん、クルマに乗りながらのエントランスでの検温も徹底されていましたよ。

クルマから降りられるとはいえ、「ドライブインフェス」は外の出音よりもラジオ電波から流れる音の方がクリアで、迫力あるサウンドが楽しめます。聴き比べると「あれ、このクルマのオーディオ、こんな音良かったっけ?」ってなるレベル。従来の野外フェスで見るような、巨大スピーカーがメインステージ脇に縦に連なってブラ下がるレベルのステージセッティングではないので、フェスが好きな人にとってはちょっと物足りなく感じるでしょう。音の質を重視するならば車内空間で楽しみ、踊りたくなったら外に出て踊るというハイブリッドな楽しみ方がおすすめです。

野外フェスの興奮を思い出す

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僕が参加したDay1はトラックメイカー・シンガーのMaika Loubtéさんからスタート。夕暮れの夏空とともに美しい歌声を堪能。YonYonさんとオカモトレイジ(OKAMOTO’S)さんは国内外アーティストの、年代もさまざまな幅広い選曲のDJで楽しませてくれました。

後半はダンスミュージックの権化とも言うべきTomoyuki Tanaka(FPM)さんとShinichi Osawaさんが登場し、グルーブ感溢れるDJをガッツリ味わいました。オープンカーで盛り上がる人たち、ルーフから顔を出してブースに手を振る人たち、クルマの周りにキャンプチェアを置いてまったりする人たち……それぞれが、限られた空間とシチュエーションを自由に楽しんでいました。フェスやお祭りなど、夏に当たり前のように享受していたものが今年は全くない状態だったわけですが、実際にアーティストを前に生で音を聴くと、フェスならではの臨場感や高揚感が蘇ってきます。クルマから流れてきた低音に、「うおおお!!」 って声出ちゃいましたもん。

そして、公式のLINEアカウントをフォローすると、出演アーティストがキュレーションした行き帰りのプレイリストが送られてくるのもいい。行きは期待に胸膨らませられるリスト、帰りは帰路をテーマにした音楽がセレクトされていました。そうです、まさにフェスへ赴くワクワク感と、余韻とともに帰路につく空気を盛り上げてくれるのです。

食事とトイレはLINEで完結。コレ便利!

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もうひとつ大きな特徴として、フードとトイレ状況をLINE公式アカウントで手軽に確認できるのも魅力的でした。UIもわかりやすく、トイレ、フードなど該当の項目のボタンを押すだけ。あとはフードのオーダー内容と自分の駐車番号をLINEにポンっと送れば、ローラースケートを履いたスタッフが配達してくれます。精算もクルマに乗りながらでOK。PayPayのみでしたが電子マネー利用可能で、まさにフェス版Uber Eatsです。開催地の地元の飲食店が出店しているというのも“フェス飯”って感じで◎。

トイレの混雑状況はトイレボタンで1発チェック。“空いてます”などの返事が来るので、並ぶ心配は皆無です。便利であるとともに密を避ける工夫ですね。今後、ほかの屋外フェスでも取り入れてほしいシステム(管理できる規模に制限はあるだろうけど)。

ロケーションにマッチした気の効いた演出がニクい

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今回の会場となった千葉ロングウッドステーションはもともとアウトレットモールだった施設。中心にだだっ広い駐車場があり、それを取り囲むようにカラフルな建物がいくつも立ち並んでいて、『ストレンジャー・シングスに出てくるスターモールのようなレトロな雰囲気。イベントに協力するサトウダイスケさんに現地でお話うかがってみたところ、今回はまさしくレトロフューチャリスティックなアメリカをテーマにしていて、世界観やキービジュアルとロケーションの親和性にこだわったとのこと。ローラースケートのデリバリースタッフもその一環のアイデアだそうです。アスファルトの駐車場を会場に選んだのはローラースケートを走らせるためという理由が大きかったということですが、個人的には快適でした。だって靴も服も汚れないし。施設にトイレ完備で綺麗だし(都市型フェス派のもやしっこなので)。

そもそも元ネタであるドライブインシアターって、レトロアメリカンなカルチャー。前回、父親(!)と一緒に来ていた友人がいたので興味本位で話を聞いてみたところ、20代の友人は「新鮮」と言ってましたが、お父さんは「昔ドライブインシアターに行ったことがあるから懐かしい」と話されていて、離れた世代が、同じコンテンツを違う感覚で共有しているのが面白いなぁ、と。

フェスの主役がクルマになる未来がくるかも

FM電波での受信ということは車載の電源を使うため、バッテリーが上がらないようにだけ注意しなければなりません。時折アイドリング状態にすることで安心してフェスを楽しめるわけですが、環境面や燃費に配慮するならEV車が最適解かもしれません。EV車輌を電源に、自前のスピーカーを外に設置してラジオと繋げたりプロジェクターに配信を映したりなど、楽しみ方も広がりそうです。

夏フェス用に衣装やフェイスペイントを用意するフェスファッションの流れや、キャンプフェスでこだわりのつまったテントサイトを作りあげるカルチャー(海外の野外フェスともなれば、住居クラスの空間を作りあげてる人もいるんだとか)を考えると、今後は「ドライブインフェス」用にクルマのオーディオや内外装をフェス仕様にカスタムして楽しむのが流行っていくのかもしれないなと感じました。サトウさんはドライブインフェスのスタイルの多様性を、今回の開催で改めて認識できたと言います。マイカーないしレンタカーという自分たちだけの特別な空間で、ファミリーからカップル、団体、単独参加者まで、さまざまな楽しみ方をしていたのが印象的だったと振り返ってくれました。

「“ニューノーマル”を確立するまでの道はまだ長いかもしれませんが、新しい週末ドライブのエンタメになれたら良いなと思っています」と今後に向けてコメントをくれたサトウさん。僕も、開催されるたびに「ドライブインフェス」自体がアップデートしていくのが楽しみです。このシステムで全国各地の地方都市を回ったら相性良さそう。僕の住む山梨のように、地方都市では1人1台自家用車が当たり前ですから。

個人的には軽トラを改造して挑みたい所存です。

Photo: ドライブインフェス by Afro&Co.

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