独占企業Appleに対するゲームデベロッパーの反乱。『フォートナイト』削除事件まとめ

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  • author Joanna Nelius - Gizmodo US
  • [原文]
  • かみやまたくみ
独占企業Appleに対するゲームデベロッパーの反乱。『フォートナイト』削除事件まとめ
『フォートナイト』のトラップ Image: Epic Games

デジタル時代の革命戦争なのかもしれないです。

AppleとGoogleが自社アプリストア(App StoreとPlay Store)から人気対戦ゲーム『フォートナイト』を削除しました。『フォートナイト』開発元のEpic Gamesはこれに呼応してAppleとGoogleを訴えています。…何があったんでしょう?

米GizmodoがJoanna Neliusがまとめてくれていたので、翻訳してご紹介します。


『フォートナイト』にアプリストアを介さない決済方法が実装に

昨日、Epic Gamesは『フォートナイト』内の通貨 V-Bucksを直接購入できる仕組みをApp StoreとGoogle Play Storeの『フォートナイト』に導入しました。この仕組み(Epic direct payment)は、アプリストアの支払いシステムを迂回し、Epic Gamesに直接支払いを行なえるようにするものです。Epic direct paymentを使うとユーザーは20%の割引を受けられます。

Apple「それはNG」

AppleがThe Vergeに出した声明によると、これはゲーム内通貨をリアルマネーで購入できるようにする場合、デベロッパーに直接支払うような仕組みにはできないとするApp Storeのガイドライン違反。

ガイドライン(App Store Reviewガイドライン)には次のように書かれています。

3.1.1 App内課金:

・Appのコンテンツまたは機能(例:サブスクリプション、ゲーム内通貨、ゲームレベル、プレミアムコンテンツへのアクセス、フルバージョンの利用)は、App内課金を使用して解放する必要があります。コンテンツや機能を解放するため、ライセンスキー、拡張現実マーカー、QRコードなど、App独自の方法を用いることはできません。App内課金以外の方法で、ユーザーを何らかの購入に誘導するボタン、外部リンク、その他の機能をAppやメタデータに含めることはできません。

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Image: Epic Games

削除前の『フォートナイト』のスクリーンショットを見ると、ユーザーはApp Store経由での支払いと、Epic Gamesへの直接支払いを選べるようになっていました。

本日、私たちはEpic direct paymentという新しい支払い方法をiOS版アプリとAndroid版アプリに導入しました。Epic direct paymentを選べば、最大で20%の節約になります。Epicは(Appleの)支払い処理手数料分、浮いたお金をあなたに還元します。

Epic Gamesはプレスリリースでこのように述べています。

GoogleもAppleと同じ姿勢

GoogleのポリシーもデベロッパーがGoogleのアプリ内支払いシステム以外のものを利用することを禁じています。

アプリ内購入:

・デベロッパーは、Google Play からダウンロードされたゲーム内でプロダクトを提供する場合や、ゲーム コンテンツへのアクセス権を提供する場合、支払い方法として Google Play アプリ内課金を使用しなければなりません。

Epic Gamesかっこよすぎ

Epic Gamesは、AppleとGoogleの両社が30%の手数料を得ており、ユーザーがストアで公開されているアプリ経由での支払いを選ぶ場合は20%のディスカウントは得られない、としています。Epic Gamesに直接支払う場合は、AppleやGoogleにEpic Gamesが支払う手数料の一部を割引してもらえる形なわけです。

もしAppleとGoogleが将来的に手数料を引き下げるなら、Epicはその分をあなたに還元するつもりです。

Epic Gamesはこのように述べていますが…これはシビれるぅ!

Apple「誠に遺憾だけど、戻ってくるための協議はします、ハイ」

Appleはすばやく反応し、The Vergeに声明を出しています(編注:強調は米Gizmodoによるものです)。

本日、Epic GamesはApp Storeのガイドラインに違反するという遺憾な行動をとりました。App Storeのガイドラインはどのデベロッパーも等しく適用され、私たちのユーザーのためにストアを安全に保つようデザインされています。結果として、『フォートナイト』はストアから削除されることになりました。EpicはAppleによってレビューおよび承認されていない機能をアプリ内で有効化し、デジタルなグッズやサービスを販売するどのデベロッパーにも適用されるアプリ内支払いに関するApp Storeのガイドラインに、明確な意図をもって違反していました。

Epicは10年来、App Storeでアプリを展開しており、App Storeのエコシステムから利益──Appleがすべてのデベロッパーに提供するツールやテスト、配信を含めて──を得ています。EpicはApp Storeの利用規約に自由意志で同意したのであり、私たちは彼らがApp Storeであのような成功を築き上げたことを嬉しく思います。彼らのビジネス上の利益が彼らを特別な位置に引き上げたことは事実ですが、それによってガイドラインがすべてのデベロッパーに対等な勝負の場を創り出しすべてのユーザーにとってストアを安全にするものであるという事実が変わることはありません。私たちはこれらの違反を解消するためにEpicと協働するどのような努力でもするつもりなので、『フォートナイト』はApp Storeに戻ってくることができます。

巨大プラットフォーマーのロジックに見えるほころび

この問題は、AppleとGoogleがアプリストア外での購入に関連した規約を設けていることによる問題です。どちらもユーザーに「アプリ外での支払い」を許可しているのです。

AppleのApp Store Reviewガイドラインには次のように記されています。

3.1.5(a)Appの外部で使用する商品やサービス:ユーザーがAppの外部で使用する商品やサービスをAppで購入できるようにする場合、そうした商品の支払いにはApp内課金以外(Apple Payやクレジットカードなど)の方法を使用する必要があります。

Googleのポリシーには以下のようにあります。

・デベロッパーは、Google Play からダウンロードされた別のカテゴリのアプリ内でプロダクトを提供する場合、支払い方法として Google Play アプリ内課金を使用しなければなりません。ただし、以下の場合を除きます。
・物理的な商品のみの支払い
・そのアプリ以外で消費できるデジタル コンテンツに対する支払い(他の音楽プレーヤーで再生できる曲など)

・アプリ内仮想通貨の使用は、その通貨が購入されたアプリやゲーム内のみに限定しなければなりません。

V-Bucksもまた「アプリストアの外で消費できるもの」では?

『フォートナイト』は、PC・Mac・Xbox・PlayStation・Nintendo Switch・Android・iOSと、複数のプラットフォームで利用可能です。ひとつのアカウントですべてのプラットフォームで遊ぶことができます。これが意味するのは、ユーザーはAndroidやiOSアプリでV-Bucks(ゲーム内通貨)をゲームコンソールやPCから消費することができるということです。そのため、そうしたユーザーはアプリストアの外で消費できるグッズやサービスを購入しているように見えます。

これは「Google Play版Kindleアプリ内でGoogleの支払いシステムを利用せずに書籍を購入できるのはなぜなのか」の説明にもなっています。Kindle本はKindleデバイスで読めるデジタルコンテンツであり、まさに“そのアプリの外で消費できるもの”です。

App StoreでのGoogle Stadia(クラウドゲーミングアプリ)の扱われ方も好例です。Stadiaはアプリ内購入を必要としませんが、AppleはiOS上でこのアプリでゲームを遊ぶのを認めず、Stadia外でゲームをプレイ(消費)しなければならないとしたのです。

AppleはApp Storeから『フォートナイト』を削除することで「ユーザーにアプリ外で消費されるグッズへの支払いを許可する」という自身が定めたガイドラインに違反しているように見えます。でもまぁ、Appleは気にしないんでしょうね。

Googleも『フォートナイト』を削除

Appleが『フォートナイト』を削除した数時間後、Googleも同じことをしました。もう『フォートナイト』をGoogle Play Storeからダウンロードすることはできませんが、Epic Gamesのサイトから直接ダウンロードすることはできます(Samsung製デバイスを持っているなら、Samsungのストアからも可)。

The Vergeに対する声明で、GoogleはEpic Gamesにもう『フォートナイト』をGoogle Play Store上で配信することを認めないとしています。

Play Storeを利用することを選んだゲームデベロッパーのために、私たちはデベロッパーに公平でストアをユーザーにとって安全にするための一貫したポリシーを設けています。『フォートナイト』はAndroidで利用可能なままですが、ポリシー違反のためPlay Storeで利用できるようにはもうできません。しかし、Epicと議論を続け『フォートナイト』がGoogle Playに戻ってくる機会を私たちは歓迎します。

Epic GamesがAppleを訴える

米Gizmodoに送られてきた声明の中で、Epic Gamesは「Appleを訴えた」と記しています。強調はEpic Gamesによるものです。

本日、EpicはFortnite Mega Dropを発表します。Fortnite Mega Dropは、『フォートナイト』内でのV-Bucksとリアルマネーでの購入に最大で20%の値引きを行なうもので、特別な支払い方法を選ぶことで適用されます。モバイルでは、私たちはiOS版とAndroid版にEpic direct paymentという新しい支払い方法を導入しています。プレイヤーがEpic direct paymentを選ぶと、最大で20%の節約になります。

しかし、AppleはiOSデバイスからの『フォートナイト』へのアクセスをブロックしています。Epicは法的アクションをとっています。モバイルデバイスのマーケットプレイス上でのAppleの反競争的制限を終わらせるためです。訴状はこちらで読むことができます。

法的文書から引用します。

「健全な競争に耐え、提供するもののメリットで競うのではなく、Appleは『フォートナイト』をApp Storeの販売から削除することで応じました。それが意味するのは、新しいユーザーはこのアプリをダウンロードすることができず、前のバージョンをすでにダウンロードしていたユーザーも最新バージョンにアップデートできなくなるということです。それは『フォートナイト』をApp Storeからダウンロードしていたプレイヤーは、App Storeを通して『フォートナイト』へのアップデートを自動的にであれApp Storeをそのために検索してであれ受け取っていたプレイヤーのどちらもが、アップデートを受け取ることができないということです。Appleによる『フォートナイト』の削除は、Appleが非合理的な制約を押しつけ非合法にiOSのアプリ内支払いプロセス市場で100%独占を維持するためにその巨大な力を誇示した一例でしかありません」

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