1サイズ、1カラーの1択マン。
無駄を削って、価格も削りに削ったGoogle最安スマホ 「Pixel 4a」がいよいよ今月発売です!
1週間使ってみた感じでは、高機能化と高価格化が進むなかで置き去りにされがちな「本当にそこまでいるの?」という疑問に答える製品という手ごたえを感じました。入力もお買い物も動画も決済もスマホという人には、スタイラス、ワイヤレスチャージャーも便利だけど、スマホでそこまでしない人には宝の持ち腐れになっちゃうこともあります。
その点Pixel 4aでは、Googleが本当にエッセンシャルと考えるものだけを搭載しているんですね。画面はひとつ、フロントカメラもひとつ、裏面カメラもひとつで、無駄なものは一切なし。そこに指紋センサー、ヘッドフォンジャックがついて、発売時の旧モデル3a(399ドル/4万8600円)よりずっと安い350ドル(日本は税込み4万2900円)を実現しました。
シンプルと引き換えに削ったもの
もちろんシンプル化の過程で犠牲になったものもあります。たとえば機種のバリエーションはばっさりカット。大型のXLモデルが廃止になって、サイズは5.8型2,340×1,080ピクセルの有機ELディスプレイモデルのみ。カラーもマットブラック1色になりました。これは遊び心たっぷりなGoogleのカラバリを毎回楽しみにしていた身としては(Pixel 3aはラベンダーみたいなカラーもあった)少々残念だけれど、すぐケースを買って着ける人が多いので、それほど大きな問題ではないとも言えます。
背面にはグレイの「G」のロゴと電源ボタンがあるだけで、ほかは全面ポリカーボネートのマットブラックがあるだけ。いやあ、シンプルだ…。
Pixel 4a

これは何?:Pixel 4の廉価モデル。
価格・発売日:350ドル/日本は4万2900円(税込み)で8月14日予約開始、20日発売開始。
好きなところ:異様にシンプル。手にジャストフィット。バッテリー長持ち。カメラの質が高い。ヘッドホン端子付き。
好きじゃないところ:大画面モデルがない。microSDカード用スロットがない。防水は生活防水止まり。
ボディはコンパクトになったのに、画面は広くなった!
カラーはさておき、もっと注目なのはこのコンパクトサイズです。ベゼルが薄くなって、自撮り用のフロントカメラはノッチではなく左上のピンホールに収まっているので、小型になったのに画面占有率は前のモデルより5.4%も広くなってるんですね。巨大なスマホも悪くないけど、これを1週間以上使ってからだと、この手のひらに収まるフィット感がたまらなくて手放せません。
指紋センサーも、画面の下に隠れていたのが、背面のど真ん中の定位置に移動しました。もう何も考えなくても指がすぐそこに行きます。顔面認証なんか使わなくたって、これで充分。
有機ELの廉価スマホはあまり見ないのだけど、あえて有機ELにしたのはGoogleの英断で、色の鮮明度と深みが違います。670nitsのピーク輝度性能も廉価モデルとしてはかなりがんばってるほうじゃないかと思います。
開梱後すぐ気づく残念ポイントは、ほかのスマホよりディスプレイの色温度がやや暖色系なことですが、これはスマホの表示設定でちゃちゃっと調整できます。
ベンチ結果も上々
気になる処理スピードは、WebXPRT 2015のベンチで231なので、極端に負荷のかかる作業以外は十分すぎるほどサクサクです。ほかの廉価モデルのTCL 10(ベンチスコア174)、Moto G Power(ベンチスコア171)などに比べてもスピードで勝っています。





サウンドも悪くないぞ
ステレオオーディオも本格的で、ボトムの内蔵スピーカーとイヤーピースを組み合わせて使えば、騒音を極力抑えながら、バランスのとれた豊かなサウンドが楽しめます。3.5mmのヘッドホン端子もついているので、ケーブル付きのイヤホンをまだ使っている人も差し込んで使えますよ~。
最強の武器はこのカメラ

でもやっぱりPixel 4aも一番のポイントはカメラです。イメージセンサは背面にひとつ搭載されているだけなのに、写真のクオリティは標準のPixel 4にまったく引けをとりません。しかも、天体写真、タイムラプス、夜景(一番重要かも!)をはじめとするGoogle独自の撮影モードも全部残らず楽しめちゃう!これだけ充実しているスマホカメラは8万円未満ではPixel 4aぐらいでしょう。
価格が倍のiPhone 11、OnePlus Nordと比べっこ
その証拠に、350ドルのPixel 4a、450ドル(約4万8000円)のOnePlus Nord(カメラは800ドル=約8万5000円のOnePlus 8と同じ)、700ドル(日本販売価格7万4800円から)のiPhone 11で撮った写真をご覧ください









日中の写真でもPixel 4aはOnePlus Nordに連戦連勝。OnePlus Nordは濃いピンクのインパチェンスの花も色が飛んでテクスチャーがぼやっとなってるし、夕焼けも暗い道路のところが黒潰れになってます。Pixel 4aにはそれがないし、茜色もNord並みにきれいに。
iPhone 11との比較ではそれほど圧倒的な差はついていませんが、2倍の価格差があるとは思えない健闘っぷりです。たとえば薄ピンクの花、壁アートの写真。最初にぱっと目に飛び込んでくるのはiPhone 11のほうですが(色が若干鮮明だから)、ちょっとズームインするとPixel 4aのほうが花の細かいところや、レンガの質感まで忠実に再現されているんですね。
Googleの夜景モードの威力がモロに出るのは、もっと暗所の写真です。グラフィティーの写真(「生き」っていう謎な日本語が見える)では、 iPhone 11も細部まで正しい露出で捉えていますが、ホワイトバランスではややPixel 4aが勝ってます。最後のぬいぐるみはろうそく1本で撮ったものなんですが、ディテールは3機種の中ではPixel 4aの圧勝で、露出も色も正確なら、ノイズも少なくなっています。
バッテリー駆動時間は動画視聴で13時間55分
バッテリー駆動時間は動画ストリーミングで計測しました。Pixel 4はMoto G Power(15時間44分)ほど長くはもたないけど、それでも13時間55分持つので平均よりはずっと上という感じですね。同じ廉価モデルやミッドレンジモデルのTCL 10L(11時間52分)、TCL 10 Pro(13時間)より長くて、同じGoogleファミリーのハイエンドモデルのPixel 4(10時間38分)、Pixel 4 XL(12時間36分)に比べてももっと長持ちでした!
望遠レンズがなくてもこれなら満足できそう
粗探しすれば、「もっと安いMoto G PowerやTCL 10Lでもデュアルカメラなのに、超広角レンズも望遠レンズもないなんて…」と思わないこともないけど、Googleが目指したものはシンプルなスマホであって、譲れないところは上質なまま残しています。背面カメラひとつでこれだけ撮れるんだから、量より質というのもアリかなと思いました。
防水はもうちょっとがんばってほしいですけどね。公式の発表では防塵加工ではあるものの、湿気対策は生活防水レベルとのこと。IP表示があれば万全ということもないですけど、うっかり濡らしたり、飲みものをこぼしたりしたときにも、慌てふためかなくて済むのは気分的に楽です。強化に期待!

こんな人におすすめ
Pixel 4aは、伝説の 「KISS(Keep it simple, stupid)」の原則を地でいく断捨離スマホです。シンプルかつエレガント、それでいて350ドル。このプライスでこれに勝つスマホがあったら教えてほしいぐらいです(中国産多機能スマホは米国の通信規格で弾かれることが多い)。ティーンの子どもがいたら買っちゃうのにな。
あと、「なんか新しいもの試したいけど、ややこしいのは苦手」というおじいちゃんおばあちゃんにあげてもよろこばれそうですね。GoogleアシスタントのAI機能が使えるので、詐欺の電話もCall Screen機能でブロックできるし、耳が遠くても自動字幕起こしを使えば大丈夫。最近はSOSアラートなんてのも使えるみたいですよ?
一番高いフラグシップモデルを持ち歩いている人がPixel 4aに買い替えても、ぶっちゃけ今とほぼ変わらない生活は送れます。お金がうんと浮くだけです。予算は人それぞれだけど、基本フルカバーの上質なスマホをリーズナブルに楽しみたいならPixel 4aはど真ん中かも。
5秒でまとめると
・ワンカラー、ワンサイズ。上の写真のまんまなのが届きます
・秋には5Gモデルも出る!
・Pixelシリーズのアップデート保証は最低3年間(Android OSと毎月のセキュリティ更新)
・望遠レンズはないけど、写真の質はPixel 4に全然負けてません