地に薪、空に着火マン。
今年のお盆は関東もゲリラ雷雨で大変でしたけど、米西海岸もデスバレーで59℃を記録して連日の猛暑、そして急に空が割れて稲妻が…。ものの72時間で12,000回という観測記録史上最多の落雷が起こって 560件もの山火事が発生、1週間経った今も息苦しい毎日が続いています。
この世の終わりのような映像をご覧ください。
コロナで囚人消防隊が半減
夏山を守る貴重な戦力は受刑者なのですが、今年は新型コロナの影響で人手が不足。刑務所や更生施設にコロナがまん延して仮釈放が相次ぎ、囚人消化隊192名のうち90名しか前線には出動していません。日当2~5ドル(約212~529円)で、危険任務の特別手当は時給1ドル(約106円)ぽっちでは集まりが悪くなるのも致し方ない面もありますが…。一般の消防署員(年棒平均420万円、時給2210円)の間でも感染は深刻で、春の防災キャンプも例年どおりとはいきませんでした。備えが不十分なところに記録的猛暑と落雷のダブル、トリプルパンチで、知事は州兵と近隣10州にも応援出動を要請しています。
落雷は1℃上昇するごとに12%増える
雷が頻発するのは、温暖化で大気が不安定になっているのが原因です。2014年には「気温が1℃上昇するごとに落雷は12%増え、2100年までに50%増加する」(NY Times)という予測もありましたが、恐れたとおりの上昇カーブを辿っています。
筆者が住んでいるサンフランシスコの辺りでも夜半過ぎから眠れないほどの雷鳴でした。日本の夏みたい、懐かしい、と思って晴れ間を縫って朝ジョギングしたんですが、本当に360度見渡す限りニコラ・テスラのプラズマ状態で、鉄柱のそばで雷鳴が起こったときには思わず雷しゃがみ(つま先でしゃがんでかかとをピタッと合わせるポーズ)をして、ヘッドホンの人に怪訝な顔をされてしまった…。
だれかの犬が野原の一本道を一目散に逃げていて、これは普通じゃないなと思ってすぐ引きあげました。
EV車は大丈夫なの?
猛暑と停電が相次ぎ、Teslaが充電自粛を求めているのは既報のとおりです。EV車はイメージ的に雷が心配ですが、ガソリン車と同じく、金属の車体がファラデーケージになってタイヤから地面に電流を逃してくれるので、中の人間は大丈夫みたい。
YouTubeを探すと、スーパーチャージ中に雷が近くに落ちてTesla Model Sがシャットダウンする様子を捉えた2015年オハイオ州コロンバスの映像も出ていますけどね…。
Teslaratiによると、車はさまざまなエラーが表示された後、電気系統がやられてしまったようです。隣で急速充電していた別のTesla車は何の問題もなく走り去っていったようなのですが、充電ケーブルが車から抜けなくなってサンルーフも閉まらなくなったのでしょうがなく充電ステーションにそのまま放置して、翌月曜の朝一に係員が駆けつけて1日がかりで修理してくれたとのこと。オーナーとの間で穏便に済まされ、それ以上の騒ぎにはなりませんでした。日産リーフみたいに落雷実験の映像を公開してくれたら、何かと心強いのにって思います。
かのニコラ・テスラは夏の深夜零時に稲妻とともに生まれ、「闇の子」と恐れおののく助産婦に「違うわ、光の子よ」と母親が平然と言い放った逸話で知られます。光を追い求め、電流戦争でエジソンに勝利した孤高の天才、テスラ。その生涯を描く映画「Tesla」も21日劇場公開になりました。
なんというタイミング…。
Sources: Sacramento Bee, NY Times, CNBC, Teslati, TESLAtelier, Nissan