政府に、企業に、世界に透明性を求め続けてきた相手に、どう対応するのでしょうかアップルは。
「ばいばいアップル税。史上最大の金づる『フォートナイト』のエピックバトルが今はじまる」でお伝えしたように、アップルはApp Storeの販売手数料を基本30%としています。しかしAmazon PrimeやNetflix(ネットフリックス)など、一部サービスにおいては販売手数料を15%としています。半額です。大幅値引きです。
テレビや雑誌、新聞ではなく、スマートフォン・タブレットによる情報摂取が主体となっている現在。App Storeの販売手数料は、アプリ制作会社やサービス提供会社にとって収益と密接につながってくる極めて重要なファクターです。
そこで動いたのがDCN(デジタル・コンテンツ・ネクスト)。ニューヨーク・タイムズやBBCニュース、ワシントン・ポストなどのパブリッシャーが所属するメディア業界団体のCEO ジェイソン・キントが、アップルのティム・クックCEOに「手数料を減額してもらうための条件を教えてよ」と手紙を送ったそうです。
ティム・クックCEOの発言を受けてのお手紙
というのも、7月29日に行なわれたアメリカ合衆国下院の公聴会において、ハンク・ジョンソン下院議員がティム・クックCEOに質問していたんですよ。「アマゾンの手数料は15%ルールみたいだけど、その条件はほかの開発者にも利用可能なの? 」と。
ティム・クックCEOの答えは「条件を満たせば誰でも利用できる」。
肝心の「減額してくれる条件」が不明
すばらしい。アップルは高額な税金を押し付けるだけの領主じゃなかったんだ。聞く耳を持っているんだ。
...と考えるのはまだ早い。その条件がいかなるものか、アップルが優遇しているサービス・企業と、いったいどのような契約を結んでいるのかは明らかになっていないのですから。ここがクリアになっていたら、フォートナイトの乱は起きなかったのではとも言えるのですから。
アップルvsフォートナイトの問題は、いろいろな要素が含まれているので一概に語るのが難しい。フォートナイト側の「ストアの手数料は12%でいける」は「お前がそう思うんならそうなんだろうお前ん中ではな」と返したくなってしまうし、アップルがサービス拡充をするなかで、アップルに仕えてきたアプリ開発者をないがしろにして自社の利益を追求しまくってきたという側面があったことも忘れてはなりません。
しかし今回のDCNの登場は、満を持して、という言葉がぴったりとハマります。世界に名だたるジャーナリズムの集合体が「じゃあさ、15%ルールになるフラグの条件教えてよ。透明化しちゃいなよ」と言うのは極めて自然の成り立ちでしょう。
もちろんDCNにとってもアップル税は重要なファクター。手数料が減額されることになれば、料金を上げずとも提供する情報をより拡充できるでしょうし、悲願でもあるはず。
それだけにアップルが突っぱねたときが怖い。アメリカのメディア業界団体の旗のもとで、一揆が起きるんじゃないかと思えてくるのです。
さあ、この一件。どう動くでしょうか。
Source: DCN