あっちぃ...。地球の気候の運命を分ける「1.5度のしきい値」が危ない

  • author Dharna Noor - Earther Gizmodo US
  • [原文]
  • Kenji P. Miyajima
あっちぃ...。地球の気候の運命を分ける「1.5度のしきい値」が危ない
Image: David McNew / ゲッティイメージズ

1.5℃以下をこんなに早く超えてくるとなると、さすがにヤバい気がしますね……。

数年前に「産業革命前の水準から気温上昇を1.5℃のしきい値以下に抑えるためには、2030年までに温室効果ガス排出量を大幅に削減しなければならない」と言って世界を震撼させた気候報告書を覚えていますか? まあ早い話、思っていたよりもずっと早く、その基準を超える可能性があるそうですよ。これまたあかんやつじゃないですか……。

産業革命前比1.5℃のしきい値を超える確率が20%

世界気象機関の見通しによると、2020年から2024年までの各年の世界平均気温は、産業革命以前の水準を少なくとも1℃上回る可能性が高いそうです。そしてさらに、その5年の間に、20%の確率で平均気温が1.5℃のしきい値を超えちゃうかもしれなくて、これから先はそうなる可能性が高まり続けるのだとか。

今回の予測は、世界中の気候予測機関のコンピュータモデルに基づいており、パリ協定で定められた2℃以下に抑えるためには、地球規模で一刻も早く気候政策の変革を起こす必要があることを示しています。

パリ協定では、1.5℃のしきい値が努力目標として定められています。1年だけ上回ったからといって、努力目標が達成できなくなるわけではありませんけど、普通に考えると確かに良い兆候と言えませんよね。過去の研究によると、過去10年間は最も暑くて、2019年は2016年に次いで史上2番目に暑い年になったとのこと。

米航空宇宙局(NASA)ジェット推進研究所の気候科学者で、今回の分析には携わっていないピーター・カルムス氏は、メールでこう語っています。

科学者たちが長い間予測してきたとおり、不可逆的な気候崩壊が進んでいます。私たちが知っている地球は失われつつあります。

今後も気温上昇は続きそう。これからの5年間で、地球のほぼ全域が直近よりも暖かくなるんだそうです。この報告書は新型コロナによる排出量の急減を考慮に入れていませんが、それも短命に終わると思われるので影響はないでしょうね。

1.5℃を超えるとリスクがさらに大きく

一部の地域は他の地域よりも急速に暖かくなり続けるようですよ。ここ数年で氷が急激に解け、今は森林火災や地獄のような熱波に見舞われている北極は、世界平均よりも2倍速く温暖化が進むと予測されています。そして、北極圏の温暖化は永久凍土と氷を融解させ、地域社会に大きなリスクをもたらす大規模なストームを引き起こしてしまう可能性があります。

1.5℃のしきい値を恒久的に超えれば、破滅的な暴風雨や干ばつ、熱波が発生することになりそうです。そうなると、食料や水へのアクセスが脅かされ、さらなる戦争や経済不安定化の原因になるかもしれません。貧しい人々、特にグローバル・サウスと呼ばれる主に南半球に位置する開発途上国の貧困層は、最悪の状況に苦しめられることになるでしょう。シンプルに言えば、これはもう非常事態という表現すら生ぬるい状況なんです。

1.5℃以下に抑えて破滅を避けるには、政治的な変革が不可欠

避けられたはずなのにこんな事態になってしまったのは、気候科学者からの果てしない警告があったにもかかわらず、行動を起こすのを拒否してきた指導者たちのせいです。ブルームバーグのエリック・ロストン氏はこう書いています

石炭や石油、ガスは勝手に燃えません。それらの継続的な使用は、化石燃料を使い続けるという、持続不可能な現状を維持することで権力を握っている者たちが行なってきた意思決定と行動の結果です。

でも逆に考えると、今からでも遅くはないという意味でもあると思いませんか? 世界の指導者たちには、化石燃料の生産を止め、経済のあらゆる部門からの排出量を減らし、最も弱い立場にある人々のコミュニティが変わりゆく気候に適応できるように最大限の努力をして、世界規模でグリーン・ニューディールを実行するという選択肢があるんです。もちろん簡単なことではありません。でも、何もしなければ待っているのは悲劇的な結末です。

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