NASAによって月に持ちこまれようとしているもののひとつ:キャピタリズム

NASAによって月に持ちこまれようとしているもののひとつ:キャピタリズム
Photo: NASA/Bill Ingalls (Getty Images)

「月面を削って、宇宙資源を販売したい企業はいますか? 」

地球上で初めて月面採掘の"見積もり依頼"を公表したのは、ほかでもなくNASA(アメリカ航空宇宙局)。これについて「人類が月をめちゃくちゃにする計画がまた一歩進もうとしているようだ」といった意見が出ています。いわば、地球上の資本主義が宇宙に飛び出して、いまにも月に拡大しようとしている状態。NASAは、一体どのような意向で月面採掘プロジェクトを始めようとしているのでしょうか?

新ミッションの期限は、2024年末

NASAが計画しているプロジェクトは、簡単にいうと月の岩石、レゴリス(塵や破片)、氷などのサンプルを、どこで採掘したかといった情報(証拠)とともに持ち帰れば15,000〜25,000ドルの報酬を提供するというもの。

請負業者は、自力で月に出向く必要があります。ただし要件は厳しくなく、月面であれば業者の判断によりどこから採掘してOK、サンプルは収集したままの状態(加工なし)でOK、サンプルの分析も資源ごとの分別も不要、地球に戻ってくるかどうかも問われないとのこと。サンプルの重量は50〜500グラムほどだと望ましいとする一方で、支払いについては重量を考慮しないといいます。(これで過剰採掘は回避できるかも...?)

NASAは「最初の女性と次の男性」を月面着陸させることを掲げたアルテミス計画と同じく、2024年末までにこのミッションを完了したいと考えているようです。

宇宙資源は、誰のもの?

同プロジェクトは、宇宙での資源開発が宇宙条約下でどのように機能するかについて見込みを立てることも意図していると明かされています。

現在、米国の見解は「人類は、宇宙から欲しいものは何でも手に入れることができる。それを自分のものだと言い張ることができる」ということになっています。背景にあるのはもちろん、ドナルド・トランプ大統領。今年、宇宙が「グローバルコモンズ」であるという考えを否定する行政命令を提出し、月を探索して資源を採掘するための国際的な枠組みを作成するを出しています。これについてロシアの宇宙機関「Roscosmos(ロスコスモス)」は、植民地主義だと非難し、宇宙の民営化への努力を促しました。

ジム・ブライデンスタイン氏は先日、「海を所有していなくても、マグロは手に入れられるだろう」と海を引き合いに出していました。人類のこうした考え方が地球の海を荒廃させてきたという意見も多くあるはず。現段階では地球外に既知の生命体が存在しないので、危害を与える可能性は考えられないのがせめてもの救いといえるでしょうか...。

「月面に存在するための基盤を築く」

サンプルあたり15,000ドルから25,000ドルという"ささやかな"報酬からは、ほかのミッションの一部として契約が組まれることが推測できます。

NASAは、アルテミス計画により 資本主義に囚われた 人間が持続的に存在するための土台を築き始め、最終的に火星に派遣することを視野に入れていることからも出資を厭わないのかもしれません。外部委託できるとわかれば、建設用の月面資源、飲料用の水やロケット燃料の調達などを自ら行なわずに済むことになります。ブライデンスタイン氏は、ブログで次のように語っています。

アルテミス計画では、今後10年間にわたって、月面に長期的に存在するための基盤を築き、火星へのはるか遠い航海に着手する前に、月を使って深宇宙体系の検証やオペレーションを行ないます。現場での資源利用(ISRU)を実施する能力は、火星では非常に重要です。そのため、技術を開発し、月面でISRUの経験を積むことができる能力を備えつつ作業を進める必要があります。

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