あまりに暑すぎた夏。とうとう北極から氷がなくなる夏も近いらしい…

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  • author Dharna Noor - Gizmodo US
  • [原文]
  • 湯木進悟
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あまりに暑すぎた夏。とうとう北極から氷がなくなる夏も近いらしい…
Photo: MOSAiC

えっ、それ本当なの?

どんなに暑い暑い夏でも、北の最果ての北極まで行けば、いつもに閉ざされた、暑さとは年中無縁の世界が広がっている…。だれしも北極圏については、そんなイメージがありますよね? だからこそ、厳しい自然環境を乗り越えて北極点を目指す探検隊の努力があったはずですし、シロクマもアザラシも生息しているんですから。

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Photo: MOSAiC

ところが、そんな北極のイメージが、すでに大きく変わってしまってもいるようです。砕氷船の「Polarstern」を北極海へ送り込み、そこで海氷とともに漂流しながら観測を進めるMOSAiC(Multidisciplinary drifting Observatory for the Study of Arctic Climate)プロジェクト。いまも数百名の科学者や船員からなるチームが、先月より北極点まで230kmという北緯88度のエリアで観測を進めていますが、今夏の北極海の異常を知らせてきましたよ。

いつもの年なら、まずは(グリーンランドから)東へ向かうものの、今年は北へ直行しました。そのようなルートは、例年なら厚い氷で覆われているため、船で向かうことは避けなければならず、想像だにしないものですが、今年は海氷まばらにしかありません。事前に衛星から、氷の解けた海表面が多数確認できていたのです。

MOSAiCに参加している、ドイツのブレーメン大学Gunnar Spreen氏は、このように報告してきました。夏でも北極海が海氷に覆われるエリアは、すでに1980年代の半分程度なんだとか。海氷の厚みも減ってきているため、過去30年間で、北極海の氷の75%が消失したともされています。

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Photo: MOSAiC

地球温暖化加速しているといわれていますが、実は北極圏の温暖化は、ほかの一般的な地域の倍のスピードで進んでいるそうです。このままのペースで温暖化が進み続けると、なんと早ければ2035年には、夏に北極海から氷がなくなってしまう事態も発生してしまうとまで警告されています。

気候変動の影響を受けて、北極圏大きな変化が生じていることは、もはやだれの目にも、これ以上ないほど明らかです。

砕氷船で、かつてなく容易に北極海を北上してきたSpreen氏は、このように語っています。単に北極圏から海氷が消えていくのみならず、それが世界の気候にどんな大変動をもたらすのか? 引き続きMOSAiCでは、観測と研究が進められていきますけど、酷暑に猛暑が、トンでもなくヤバいレベルにまで達してきたことは、北極海を見るだけでも確かなようですよね。