見劣りするところはあるけど、できることは同じなんですよね。
先日のイベントで密かに発表された、新しいiPad(第8世代)を一足先に触らせてもらっています。ふだん仕事で最新のスペックが詰め込まれたガジェットばかり取り上げていますし、僕が私物で使っているのはiPad Pro(2018モデルですが)です。だからいちばん安いエントリーモデルのiPadにはあんまりときめかないんだよなぁ...
と思いながら、iPadの箱を開けていつものアプリをインストールしてみたんです。そしたらなんか...「普通にいつも通り」なんですよね。違和感はあるんですけど、不便はまったくないんです。まぁ同じiPadOSが動いているんだから、これは当然のことですよね。
でも僕らって「いちばん安いiPad」を買う自分を想像すると、なんだかすごく大きな、致命的な何かをあきらめなきゃいけないような錯覚に陥りませんか?
無印iPadであきらめなきゃいけないことってなに?
そりゃiPadはiPad Proに比べると見劣りします。たとえばディスプレイのリフレッシュレート(1秒間に表示を更新する回数)はProの120Hzに比べて半分の60Hzだし、色域も狭くてTrue Tone機能(環境に合わせて色味を自動調整する機能)もありません。Proに比べて液晶が奥まっているように見えるし、ホームボタンがあるぶんベゼルが太くて古臭い雰囲気もあります。
最新のiPad Proは2眼カメラに加えてLiDARまでついてますが、iPadには800万画素のカメラがひとつだけ。キーボードもApple Pencilも一世代前のものしか使えません。Apple PencilはLightning端子に突き刺す、アレです。カッコよくはありません。
プロセッサーやメモリもProに比べたら非力です。試しにiPad(第8世代)をベンチマークしたら僕のiPhone XS Maxとだいたい同じスコアでした。ちなみにメモリは3GBのようです(最新のiPad Proのメモリは6GBと言われています)。選べるストレージ容量も少ないですしねぇ。
でもこれらの「無印iPadにないもの」の中に、iPadを使ううえで「致命的なもの」ってありました? 僕には見当たりません。まぁいまだにUSB-CじゃなくLightning端子を採用しているのはめちゃくちゃ嫌ですが...Lightningケーブルはいっぱい持ってますので致命的ではないです。
無印iPadだけができないことってほとんどないのでは
1番安いiPadでも、画面を分割してマルチタスクをこなせますし、キーボードだけじゃなくマウスもつなげばパソコンのように使えます。iPadがMacのサブディスプレイになる「Sidecar」だって使えますよ。

リリースされたばかりのiPadOS 14の機能も不足なく使えるんですよ。すべてのテキスト欄に手書きで書き込める「Scribble」も初代Pencilで快適に使えましたよ(日本語は未対応ですが)。
無印iPadだけができないことって、ほとんどないんじゃないでしょうか。
無印iPadを選ぶ上であきらめなきゃいけないことって、4K動画を撮ったり、撮った4K動画を快適に編集したり、LiDARで物体を3Dスキャンしたり、FPSゲームを120Hzで楽しむことくらいじゃないでしょうか。
僕は何回かギズモードのYouTubeチャンネルで「iPad Proを仕事のメインマシンとして使いたい!」と主張してます。でも僕自身は動画クリエイターでもプロゲーマーでもなく、Web編集者です。だからメインマシンにするためにわざわざProを選ぶ必要はなく、無印iPadでも事足りるんですよね。クオリティの高いディスプレイやプロセッサーはより体験を良くするためのオプション品のようなもので、本来欲しければつけるくらいのものなのかもしれません。
iPadに詳しい人なら当たり前すぎる話ですし、ガジェット好きじゃない普通の人からしたら「どうしたのこの人?」と思われちゃうかもしれません。
とにかく僕がiPad(第8世代)を触ってみて感じたのは、無印iPadは何かを犠牲にしたモデルではなく、オプションを取り払ったミニマムなiPadなんだということ。そこをちょっと勘違いしていたなぁと思いました。