NASAの月面着陸プロジェクト、2兆2941億円なり〜

  • author George Dvorsky - Gizmodo US
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  • たもり
NASAの月面着陸プロジェクト、2兆2941億円なり〜
計画後期における月の南極付近のアルテミス基地のコンセプト

予算のうち76億ドルは宇宙船「オリオン」と「スペース・ローンチ・システム」に、10億ドルが探査技術の開発費、そして5億1800万ドルが宇宙飛行士の月面用宇宙服の開発と製造に振り当てられます。280億ドルは2021年度から2025年度の予算となります。

SpaceNewsは、有人着陸システムの資金調達が「最も危うい」と報じています。議会が「2021年度には、NASAの32億ドル以上という要求のごく一部にすぎない6億ドル強を同プログラムに提供するという予算法案を7月に可決した」からです。NASAのジム・ブライデンスタイン長官は会見時、記者たちに向かってこの予算がクリスマスまでに承認されるよう願っていると語りましたが、そうなればNASAは「2024年内の月面着陸を達成」できるとAFPは報じています。

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Blue Originの月着陸船、イメージ図
Image: Blue Origin

現在も進行中のパンデミックと迫りくる大統領選を考えると、要望された金額のこの部分を下院が承認するかは分かりません。トランプ大統領がアルテミス月面着陸計画を2028年から2024年に前倒しにしたことも助けにはなりません。スケジュールが早まったことで、コストが一気に膨れ上がったのですから。

現在、有人着陸システムのコンセプトには3つのチームが取り組んでおり、月面着陸時にどれが使用されるかはまだ正式に決定していません。Blue Origin(ブルー・オリジン)を筆頭にLockheed Martin(ロッキード・マーティン)、Northrop Grumman(ノースロップ・グラマン)とDraper(ドレイパー)の4社から成るチームは早くも最有力候補のようで、今年8月には着陸船の実寸大レプリカをNASAに届けています。月面着陸船を開発している残り2社はDynetics(ダイネティクス)とSpaceX(スペースX)になります。

予算上の問題はさておき、今回の報告書にはアルテミスミッションに関する興味深い詳細も掲載されています。

NASAは月の南極近くに着陸したいと述べており、かつてのアポロ計画の地点近くに着陸を計画しているという最近の報道は一掃されました。アルテミスの宇宙飛行士たちは南極近くの地点に到着したら、アポロのクルーたちが果たせなかった水の氷の収集に挑戦します。

無人の「アルテミス1」ミッションはNASAのスペース・ローンチ・システムを使った初の打ち上げで、2021年11月の予定。宇宙飛行士たちを月周回軌道へと運ぶために設計された宇宙船オリオンが試験飛行します。

「アルテミス2」ミッションは2023年中に打ち上げ予定で、月周回軌道へと宇宙飛行士たちを送り込む、アポロ8と10の“最終リハーサル”ミッションの再現になります。このミッションでは宇宙船の「操縦性そして関係するハードウェアとソフトウェア」を評価するために、クルーがオリオンを手動で操縦する時間が与えられます。NASAいわく、その評価は「ランデブー、近接運用とドッキング、さらにはアルテミス3の初期の月周回軌道でのアンドッキングに備えるうえで地上では容易に得られない」とのこと。

2024年に予定されている「アルテミス3」ミッションでは、男性と女性計2人の宇宙飛行士が月面へと送られます。人類が月面を踏むのは1972年以来。2人は月面におよそ7日間滞在して、サンプル採取や科学実験などを行います。月面探査時には、もっと動きやすいよう設計されてアポロ時代のものよりも可動性が向上したExploration Extravehicular Mobility Units(xEMUs)と呼ばれる新しい宇宙服を着用します。

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ゲートウェイのコンセプト
Image: NASA

NASAの報告書には「ゲートウェイ」拠点を建設する計画も含まれていましたが、「アルテミス3」に間に合わないかもしれません。とは言え、ゲートウェイは宇宙飛行士が着陸船への搭乗に先駆けて補給物資を受け取る場所として、後続のミッションに使われるでしょう。軌道を周回する宇宙ステーションとして月着陸船の配備に加えて、報告書によれば「月の長期的な探査と、単発のアルテミスミッションの間、月面への複数回の小旅行をサポートする」とのこと。ゲートウェイの電力・推進エレメント(PPE)と居住・ロジスティクス拠点(HALO)は共に2023年に打ち上げられる予定で、このスペースステーション建設の重要な第一歩となります。

アルテミス3が終わってゲートウェイが完成したら、NASAは月面での持続可能性を確保することに取り組みます。これは、2020年代中-後半に実現予定。

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Image: NASA

NASAの「月面インフラの建設を増やす」ための計画など、このフェーズのアルテミス計画は本当に未来的です。その目標のため、ローバーの配備やクルーのため与圧されたキャビンのついた移動型施設、居住モジュール、発電システムとあらゆるオンサイト資源の活用システム(乗組員たちは例えば水の氷を酸素と燃料へと変換などを試す)が計画されています。重要なのは、こういったミッションが2030年代に実現するかもしれない火星への有人ミッションの序章になるという点です。

もちろん、この全部が変わる可能性もあります。NASAは成功させるために280億ドルを必要としていますが、こんな途方もない金額を受け取れる保証はありません。パンデミックと経済の崩壊は、このプロジェクトと提案されたスケジュールに大きな影響を及ぼすでしょうからね。

Source: NASA(1, 2), SpaceNews(1, 2), AFP,

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