「プラスチック時代の終わり」が、いま始まろうとしている。

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  • author Brian Kahn - Gizmodo Earther
  • [原文]
  • Rina Fukazu
「プラスチック時代の終わり」が、いま始まろうとしている。
Image: shutterstock

ピークまで、あと7年か…?

石油・ガスへの投資はここ数年で下向きになりつつあります。新型コロナウイルスのパンデミックを機に、石油大手のエクソンがダウ構成銘柄から除外されるといった動きもみられました。さらに、低炭素経済への移行を目指すCarbon Trackerが先日発表したレポートでは、石油化学産業や投資家が4千億ドル投ずるのを阻止するためのビジネスケースが示されました。

それによると、いくら生産を拡大しようと、プラスチック利用のピークは2027年に迫っているといいます。海や陸に影響を及ぼしている使い捨てプラスチックやビニール袋の利用を中止する動きは、ここ数年で特に盛んになりました。

ところが、これまで収集係となっていた中国がプラスチック廃棄物の入荷を2017年にやめてからは、この10年間だけで世界が対処しなければならない過剰なプラスチックの量が1億1100万トンにのぼることが推定されています。

プラスチックの需要と供給

中国やEUでは、厳格なプラスチック禁止が定められるようになり、EUは2021年からプラスチック廃棄物に対して1トンあたり約950ドル(約10万1000円)のプラごみ税を課すことが発表されました。

レポートによれば、プラスチックの使用量は今年4%減少すると予測されています。にも関わらず、プラスチック業界の勢いは減速していません。 政府がプラスチックを制限するための政策を実施し、世論調査によれば人々はプラスチックを嫌い、製造業者がプラスチック廃棄物を処理すべきだと考えているにも関わらず、プラスチック産業は2024年までに、2億3000万トンのエチレン(最も一般的なプラスチックの化学物質)を生産するというのです。

一方、需要は約1億6000万トンで横ばいになるという予想があります。これは明らかに生産過多になるのでは…? Carbon Trackerエネルギー戦略担当者で今回のレポートを執筆したKingsmill Bond氏はどのように考えているのでしょうか。Zoom取材で次のようにコメントしています。

彼らは、今後5年間で約4000億ドルという費用をかけて、需要が拡大するかわからない市場に対してさらに8000万トンのキャパシティを構築することを計画しています。財務アナリストとして、これはなんておかしな話なんだと思っています。

新市場は、発展途上国…

財務アナリストではない立場で言いますが、Bond氏の意見には共感せずにいられません。プラスチック生産者は今後、強力な規制の枠組みや監視のない発展途上国に市場を見出そうとしています。

グリンピースのジャーナリズムプロジェクトであるUnearthedの調査によると、大手石油化学企業がトランプ政権などの協力を頼りに、アフリカのプラスチック需要とプラスチック廃棄物のトレードを強化していることがわかりました。こうした計画は、 経済学者が「外部性(externalities)」と呼ぶものの抜け穴を利用したものだといえるでしょう。ナイロビのスラムの外に堆積する廃棄物、いわゆる「太平洋ゴミベルト」、ルイジアナ州の「キャンサー・アレー(がん回廊)」に見られる有毒な大気汚染、今私たちの社会が抱えている環境問題はすべて、プラスチック産業が生産したものを回収してこなかった結果起きたものだという一面もあります。

今回のレポートでは、こうした「外部性」のコストは、製造されるプラスチック1トンあたり約800ドル(約8万5000円)から1,400ドル(約15万円)の範囲であると控えめに見積もっています。 ということは、先述のEUのプラごみ税は妥当なところだといえるでしょうか。

今年の初夏に発表された2つのレポートによれば、リサイクルプログラムへの投資のほか、過剰包装の削減(あるいはプラスチックの代替となるコンポスタブル=堆肥化可能な包装への移行)を各国政府が検討していることが示されています。

「プラスチックの終わり」のはじまり

技術・政策的に変換期をを迎えようとしているプラスチック。現在のこうした状況は、欧米で急激な衰退をみせた2010年代初頭の石炭と同様だとBond氏は指摘しています。

もし、2012年の石炭産業が「需要はピークに近づき、横ばいになり、衰退しようとしている。一新が必要だ。拡張に向けた動きを止めなければ。すべてのオペレーションをゆっくりと止めていく計画を立てなければ」と判断したならば、それは彼らの財政・労働力面ともに非常に有益だったことでしょう。

私たちは、いますぐにプラスチックの大量使用をストップしようとしていません。ただ、その頂点に近づきつつあり、新しい道を選ぼうとしているところにあるならば、今こそが再考するときなのでしょう。


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