ニューノーマル時代のゲーム開発。ユーザーと共にあるデジタルエンタメは、テクノロジーが加速させる

  • author ヤマダユウス型
ニューノーマル時代のゲーム開発。ユーザーと共にあるデジタルエンタメは、テクノロジーが加速させる
Image: Tomohiro Ohsumi / 特派員 / Getty Images News

コンシューマー、次世代機、スマホ。あまねくゲームは僕らの身近に。

今年は幕張メッセではなく、オンラインにて開催中の東京ゲームショウ2020(TGS2020)。2020年9月24日(木)〜27日(日)の四日間に渡り開催され、タイムテーブルも公開されています。クリックすると該当のYouTubeページに飛べる親切設計。

このうち25日(金)の19時からは、主催者企画の基調講演が放送されました。タイトルは「未来は、まずゲームにやって来る」。なかなかに興味を引くタイトルじゃあないですか?

Video: TOKYO GAME SHOW/東京ゲームショウ / YouTube

登壇者は、国内のゲーム会社を代表する以下の四名。

バンダイナムコスタジオ 代表取締役社長:内山 大輔

カプコン 常務執行役員 CS第一開発統括 兼 第一開発部長:竹内 潤

コナミデジタルエンタテインメント 「パワフルプロ野球」「プロ野球スピリッツ」シリーズエグゼクティブディレクター:谷渕 弘

スクウェア・エニックス 第一開発事業本部 ディビジョン1 マネージャー FINAL FANTASY VII REMAKE 共同ディレクター:浜口 直樹

思えば2020年はコロナ禍であると同時に、次世代ハードの登場する年でもあるんですよね。ゲームメーカーにとってはさぞ大変な年であったはず。ゲームに対する四者四様の思いを、元週刊ファミ通編集長の林克彦さんがモデレーターとなり、50分の基調講演が配信されました。

次世代ハードへの期待

XBOX SERIES XPlayStation 5。これらの次世代ゲームハードが、年内に登場しますよね。我々ユーザーはスペックを見て「SSDやべぇ、GPUやべぇ」と言ったり、デモ映像の画質に現実と見間違えてしまったりと、お約束のリアクションをするものです。しかし、ゲームメーカーの見方はもうちょっと奥を見据えたもの。

バンナム 内山社長:次世代機が持っているパフォーマンスにはエンジニアも手応えを感じている。これがユーザーへの体験、ゲームという遊びにどう繋げるのかは、メーカーの手腕が問われている。


カプコン 竹内部長:とにかく、早い。ここ10年来当たり前にあったローディングがなくなるレベルで、今までローディング中に見せていたTIpsなどの情報をどう見せるかという、贅沢な悩みがある。

次世代ハードの爆速さが、ローディングを過去のものにするかもしれない。ユーザーにとっては嬉しい話ですが、開発側からすると、それは今までと同じ開発スタイルでは難しい部分があるということなんですね。ローディングのTipsで、知らなかった操作方法やストーリーを知ること、ありますもん。

また、関心のあるテクノロジーについての質問には、カプコンの竹山部長は「レイトレースとグラフィック」と回答していました。カプコンはPS5向けの新規開発ソフト『プラグマタ』をアナウンスしていますが、あのグラフィックにはゾクっとしたものです。

Video: PRAGMATA / YouTube

withコロナ時代のゲーム開発

そして、避けては通れぬのがコロナ禍による社会的距離。多くの企業と同じように、ゲームメーカーもリモートワークなどのニューノーマルな働き方へとシフトせざるを得ませんでした。4社ともリモートワーク体制に切り替えつつ、現在は在宅と出社のハイブリッドで対応してるとのこと。

スクウェア 浜口さん:最初はサーバーなどのインフラが整っておらず、リモートでのワークフロー整備に1カ月くらいかかったが、今のパフォーマンスはほぼ以前通り。現状はメインは在宅で、部署やチームによって出社している。


コナミ 谷渕さん:同じく在宅と出社のハイブリッド。例えばモバイルの運営などは先延ばしにすることもできないのでかなり大変だった。緊急事態宣言を受けて全員在宅勤務になる直前などは、ドッタンバッタンしていた。


バンナム 内山社長:アップロードの回線が細い、セキュリティが怖い、ビルドができないなど、ドタバタしながらも在宅での開発環境を整えた。緊急事態宣言がなければ考えもしなかったけど、いざやってみると案外できるんだなと気づいた。


カプコン 竹内部長:職人気質な人も多く、出社してやりたいという人が多かった。「○○さんと話さないと考えられません!」なんて人も。東京と大阪の違いがあるかもしれないが、出社率は高い方かもしれない。


ゲーム業界だけではないと思いますが、出社と在宅のバランスはニューノーマルな働き方においてパフォーマンスを高めるための重要な要素ですね。特に興味深かったのは、内山社長のこの言葉。

バンナム 内山社長:プロダクション作業に入ってからの効率は在宅でも悪くないが、チームビルディングや雑談、行間から生まれるアイディア、チューニングやレベルデザインなどは対面でやった方が良い。オペレーションは在宅で良いけど、クリエイティブがしにくい

確かにコレ、その通りですよ。一人で黙々とやる作業は在宅でも良いけど、ブレストのようなアイディア出しの作業は一人だと煮詰まりがち。何を在宅にして何を対面にするか、そのさじ加減もこの半年の間で各社見えてきたかもしれませんね。

ユーザーコニュニケーションとゲーム体験の変化

個人的に面白かったのは、ユーザーコミュニケーションについてのトークでした。SNSや実況配信、あるいは企業アカウント自らによる情報発信などなど、ここ数年でメーカーとユーザーとの繋がり方はまるっと変わったように思います。

例えばスクウェアの『FINAL FANTASY VII REMAKE』は、コロナ直下の2020年4月に発売されました。企画していたリアルイベントは全てダメになってしまったのですが、ステイホームの影響もあってか、配信や実況が開発陣の予想以上に盛り上がったそうな。そうしたユーザーのリアクションは、メーカー側がエゴサしてキャッチアップしているそうですよ。

また、バンナムの内山社長は、ゲームの定義についても言及。バンナムが手掛けている『鉄拳』のeSports大会や『アイドルアマスター』のライブが、昨今はできなくなりました。しかし、思えばゲームを中核としたこうしたイベントは、それを取り巻くユーザーにとって広義のゲーム体験なのではないか、と。

バンナム 内山社長:「お客様の動き方や繋がり方まで含めてゲーム体験」として、ゲームの仕様を作っていかないといけないんだろうなと思います。

一方で、お客様=ユーザーのことを考えたゲームづくりとして、カプコンはかなりナウいマインドを持っています。

カプコン 竹内部長:『バイオハザード7』の開発中には「キレたカミさんが包丁もって襲ってきたらバズるよね」みたいな切り口の考え方はありました(笑)。これはバズるだろ〜という考え方はわりとしますね。

おおう、メーカーがバズを意識してらっしゃるとは…! ちょっと意外だなとも思ったのですが、考え方の根っこにあるのは、結局のところ「それがユーザーにとって面白いかどうか」なんですよね。楽しませるという根源的な部分は同じ。楽しんでもらえる=バズる=拡散する、というセットは、もはや切って離せない繋がりです。

僕たちのゲームは、まだまだ面白くなる

モデレーターの林元編集長によると、国内のゲームの市場規模はここ10年に渡って右肩上がりで、10年前(mobageやGREEが賑わっていた時代)に8000億円だった市場規模は今は1.7〜1.8兆円と、ほぼ倍にまで成長しているとのこと。

さらにコロナ禍によるステイホーム需要からNintendo Switchが爆売れしたり、ソニーのゲーム分野がグイっと伸びていたり、あらゆるメーカーがゲーミングほにゃららなアイテムを出したりと、どんどん僕らの生活にゲームが根付いてきています。

2020年、ゲームはまだまだ面白くなります。僕たちは何度でも「実写かと思った」と映像に打ち震えることができるし、頭打ちだと思ったスペックはさらにその上をゆくし、かと思ったら予想外の角度からデジタルエンタメがデビューしたりもする。こうした今があるのは、クラウド、AI、VRなどの様々なテクノロジーに、ゲームメーカーが好奇心旺盛に向き合ってきたからだと思うのです。

「未来は、まずゲームにやって来る」。であるなら、ゲームを開発するメーカーはその最先端に立ち、テクノロジーの触れる存在。テクノロジーをエンタメに変える存在です。まだまだ、ゲームは面白くなるのだ。


Source: 東京ゲームショウ 2020, YouTube1, 2

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