そのありがたさを改めて。
近年珍しい現象ではなくなりつつある、豪雨などの気象災害。避難中は、あらゆるストレスにさいなまれる人も多いといいます。
IBMのWebメディアMugendai(無限大)に、水道がなくてもシャワーを使える画期的な商品を開発した企業が登場。
AI、センサーなど最新技術を用いた仕組みと、世界の水問題について語られていました。
超コンパクトな水処理設備。水道なしでシャワーが使える仕組みとは
インタビューに登場していたのは、東京大学発のベンチャーで、持ち運び可能なポータブル水再生処理プラント「WOTA BOX」を開発した、WOTA株式会社の前田瑶介さん。
同社は、豪雨などで避難所暮らしを余儀なくされた方々に「WOTA BOX +屋外シャワーキット」を提供し大好評を得ました。
WOTA BOXは、あらかじめ決まった量の水を浄化して繰り返し使える仕組みを持ちます。
センサーが、水の汚れやフィルターを通る前後の水質をリアルタイムでモニタリング。フィードバックされたデータを元に、AIが水質や効率を制御する最新技術を搭載した、まさに超ミニマムで持ち運べる水処理場なのです。

通常、一回のシャワーで使われる水の量は約50リットル。100人なら5,000リットル必要ですが、WOTA BOXは100リットルを繰り返し使うため、必要な量はわずか2%。つまり98%の節水が可能なわけです。
ちょっと気になる水質ですが、シャワーの排水は6本のフィルターを通し、99.9999%の不純物を除去。WHOの水質基準も満たしているため、飲んでも問題ないほどだそう。
やがて来る世界的な水不足に備えて。「自律分散型水インフラ」が重要なワケ
前田さんがこのビジネスに取り組んだきっかけは、水のインフラは「自律分散型」であるべきだと強く感じているから。
われわれが当たり前のように水を使えるのも上下水道があってこそですが、その工事や準備には莫大なコストが必要です。
一方、WOTA BOXのような小型の水処理設備が普及すれば、上下水道が通っていない地域の人も水を利用でき、さらには今後進行するといわれる世界的な水不足にも対応可能。
水問題への向き合い方について、前田さんは以下のように語っています。
人類はもっと効率的な水の使い方を志向していく必要があります。つまり水を節約するだけでなく、使った水の後始末や再利用をその場その場でやっていくことが重要です。
水問題の本質の1つは排水の処理なのです。使用後の水を垂れ流しにするから、使える水が使えなくなります。水があっても使えないというのが、今の中国や東南アジアの現状です。そこを解決しないと、水の問題はどんどん悪化します。排水の量を極小化することが、節水の先にある価値だと思います。

途上国などの公衆衛生の改善のため、現在は下水処理場のコンパクト化に挑戦している同社。すでに自社オフィスに導入済みで、自ら実験を重ねているそう。久々に、日本から世界へ羽ばたくベンチャー感あります。
他にも、コロナ禍の中わずか3カ月で開発された「どこでも手洗い機」の話題など、水問題がよく分かるインタビューの続きはMugendai(無限大)よりお楽しみください。
Source: Mugendai(無限大)