気候変動で絶滅の危機。カリフォルニア州、ジョシュアツリーの保護に乗り出す

  • author Dharna Noor - Gizmodo US
  • [原文]
  • 山田ちとら
気候変動で絶滅の危機。カリフォルニア州、ジョシュアツリーの保護に乗り出す

植物としては初です。

アメリカ・カリフォルニア州の絶滅危惧種法が新たにジョシュアツリー(Yucca brevifolia)を保護対象に加えました。

陳情書を受けた同州の魚類野生生物局が満場一致で可決。今後1年かけてリスク調査を行い、調査期間中はジョシュアツリーを開発による伐採から保護するという内容だそうです。

さらに、調査の結果、今後も継続してジョシュアツリーを保護していく必要が認められた場合には、正式に絶滅危惧種として登録されて未来永劫に保護されるのだとか…! 植物は生態系を支える重要な存在だけに、とても意義ある決断だと感じます。

ジョシュアツリーって?

亜熱帯気候の乾燥地と砂漠が広がるカリフォルニア南部。水に乏しく、昼夜の温度差が激しい自然環境です。そんな荒凉とした大地に、高さ10メートル超のジョシュアツリーがそびえ立つ姿はなかなか壮観。

“ツリー”と呼ばれているものの、ジョシュアツリーは実際のところ樹木ではなく、ユッカ属の多肉植物です。世界中どこを探しても生息しているのはカリフォルニア南部のみで、250万年ほど前から存在が確認されているそうです。

ジョシュアツリーの受粉はユッカ蛾(Tegeticula synthetica)によってのみ行われるほか、数種類のトカゲがジョシュアツリーとの共存関係にあります。ということは、ジョシュアツリーが絶滅してしまったら、これらの生物たちもすべて根絶やしにされてしまうんですね。

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Photo: Shutterstock.com

USDAによれば、ジョシュアツリーはとても成長が遅い植物。しかしながら、厳しい環境に適応するために長い長い年月をかけて徐々に茎が太く長く進化し、表面がコルクっぽい木性の皮で覆われて「木」っぽくなったのだとか。また、たくましい根を張ることでも知られ、長いものでは10メートルも地下に潜って水源を確保するそうです。平均して300年生きるそうで、これまで発見された最古のジョシュアツリーは推定1000年だったとか…!

なぜ保護する必要があるの?

このように、もともと厳しい環境にも適応してきたはずのジョシュアツリーなのですが、気候変動の脅威が迫る今、絶滅の危機を迎えています

主な原因は気温の上昇干ばつ、そして地下水源の枯渇。特にまだ若いジョシュアツリーの場合、成熟した個体に比べて水分を蓄えることが容易でないため、生存確率が著しく下がってしまうそうです。

今世紀が終わる頃にはもはやジョシュアツリーはほとんど残っていないかも、と推測する研究さえ出てきました。それによれば、現在の地球温暖化ガスの排出量が改善されないかぎり、本来ならばジョシュアツリーの生育に適した環境であるジョシュアツリー国立公園内でさえ、たったの0.02%しか生存できる環境が残されないだろうと警告しています。

それに、もし温暖化ガスの排出量を制御できたとしても、ロサンゼルスやサンディエゴなどの都市部から流れてくる大気汚染が砂漠の表層に過剰な窒素をもたらし、侵入生物種の繁栄を許してしまうそうです。そうすると何が起こるか。燃えやすい高草が火種となって、山火事を起こしやすくするのです。

大規模な山火事はすでに猛威を奮っています。今年の8月には174平方キロメートルを焼き尽くす大火災がモジャべ国立保護区内で発生し、130万本のジョシュアツリーが灰と化しました

保護は賛否両論

以上のことから、ジョシュアツリーの保護は急務です。そこで、生物多様性センターがジョシュアツリーの保護を訴える陳情書をカリフォルニア州魚類野生生物局に昨年提出したところ、賛否両論の嵐に。主に自然保護活動家から寄せられた賛同の声と拮抗してデベロッパーからは反対意見が殺到し、審議が二度中断されたほどモメたようです。

しかし、最終的には保護を訴えた生物多様性センターの訴えが認められ、今後一年は暫定的に開発の手から保護されるだけでなく、ジョシュアツリーを取り巻く環境を精査したのちに、必要であれば永久に絶滅危惧種として認められることになりました。

「美しいジョシュアツリーにとって、そしてジョシュアツリーを育んできた自然環境にとって、大きな勝利です」と生物多様性センターのBrendan Cummings所長はプレスリリースで語っています。「ジョシュアツリーが今後も生き延びていくためには、まず生育環境を保護することです。今回の決断により、それが可能になりました」。

効果はいかに?

自然保護活動家の勝利によって一応決着がついたわけですが、実際のところ絶滅危惧種法の効果はどれほど期待できるのでしょうか?

というのも、ジョシュアツリーを保護するよ〜と言っておきながら、魚類野生生物局は例外も認めています

カーンとサンバーナディーノの2都市に電力を供給するソーラーパネル建設敷地内15ヶ所に限っては、ジョシュアツリーを伐採してもOKという許可が降りたのを受け、Cummings所長は「ソーラーパネルは屋上や駐車場、作付けしていない農地などが妥当であって、砂漠における自然環境を壊してまで設置する必要はあったのだろうか」と疑問を呈しています。切り倒すかわりにデベロッパー側にはジョシュアツリーを保護する基金への資金提供が義務付けられているものの、確かになんとも歯切れが悪いですね。

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Photo: Shutterstock.com

気候変動を食い止めるためにも再生可能なエネルギーへの転換は不可欠です。しかし、そのソーラーパネルを設置する場所を確保するために自然環境を破壊していたんじゃあ、元も子もないのでは…と思いますが、これは決して人事ではありませんよね。

便利な生活を手放したくないから、エネルギー需要も減らないばかりが増え続けるばかり。この現状は世界中どこでも一緒です。私たちが生活様式を変えない限りは、環境破壊とエネルギー開発のイタチごっこなのでしょうか。

Reference: USDA Fire Effects Information System

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