私たちが異星人を見つけるとき、異星人たちもまた私たちを見つけているのではなかろうか?

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  • author George Dvorsky - Gizmodo US
  • [原文]
  • 山田ちとら
私たちが異星人を見つけるとき、異星人たちもまた私たちを見つけているのではなかろうか?
Image: NASA via Gizmodo US

宇宙のはるか遠方から目をつけられてる可能性あり。

1995年に人類史上初めて発見された太陽系外惑星はペガスス座51番星bでした。その後も系外惑星の発見が相次ぎ、今では4,000個近くも見つかっているそうです。そのうち、「トランジット法」という技術的にベーシックな探査方法で見つかっている系外惑星の数は3,000以上。

でも、待てよ。こちらから見えていれば相手からも同じように見ることが可能なはず。ということは、ベーシックな探査方法で地球からあちらを見られるならば、あちらからも地球は丸見えなんじゃなかろうか?

こんな逆転の思考を追求した(ぞわりとする)研究論文が発表されました。

トランジット法とは

学術誌『Monthly Notices of the Royal Astronomical Society』に掲載された論文のタイトルは、至極ストレートな「トランジット法を使うとどの恒星から地球が系外惑星として見えているのか?」です。

系外惑星は地球からあまりにも遠く離れているため、望遠鏡で直接観測することは困難。そこで、トランジット法含めいくつかのやり方で間接的に探します。トランジットとは「惑星の軌道面が観測者の視線方向とほぼ平行な場合、つまりその系をほぼ真横から見ているとき、惑星が公転のたびに中心星の前面を通過する 」こと(天文学辞典より)。恒星が周期的に減光していることを確認できれば、その恒星の前を横切って公転している系外惑星の存在を間接的に検出できるというわけです。

「トランジット法」のイメージ。主星の前を系外惑星が横ぎる時、主星の光度がある一定の間下がる
Video: ESA via 天文学辞典

トランジット法を応用すると、惑星の公転周期、温度、大気の性質や、地球のような岩石惑星、あるいは木星みたいな巨大ガス惑星なのかも調べられるそうです。

しかし、こんな便利なトランジット法にも盲点が。地球の黄道面と平行に並んでいる恒星と惑星しか検出できないのです。すなわち、地球が太陽のまわりを公転するときの軌道面(黄道面という)よりも上や下に位置している太陽系外惑星系は、残念ながらトランジット法では見つけることができません。それでも、この方法に頼っていままで何千もの系外惑星を探し出してきたのですから、充分に効果的だと言えそうです。

生命を宿す星さがし

本題に戻りましょう。

米コーネル大学所属のLisa Kaltenegger准教授、そして米リーハイ大学のJoshua Pepper准教授が今回発表した研究では、トランジット法の視点をひっくり返して「どの系外惑星から見たら地球が太陽の前をトランジットしているのが見えるのか」を調べたそうです。

この筋の研究は以前にも行われたことはあったのですが、今回はESAのガイア計画から届いた新しいDR2データを用いたため、より詳細な結果を得られることとなりました。

研究者たちは、まずNASAのトランジット系外惑星探索衛星 (TESS)とガイア計画のDR2データを使って地球のトランジットゾーン(ETZ)に含まれている恒星を数えました。ETZとは、地球が太陽の前をトランジットするのを見ることが可能なエリアを指し、黄道面と交差している0.528度内のくさび形の範囲です。

地球のトランジットゾーン(ETZ)の大まかなイメージ。この中に含まれる惑星からはトランジット法で地球を検出することが可能
Illustration: 山田ちとら

次に、ETZに含まれる恒星のうち、100パーセク(326光年)以上離れたところにある恒星は除外されました。なぜなら、それ以上遠くからだと太陽の光が満足に届かず、地球みたいなちっぽけな惑星がトランジットしていても見えない可能性が高いからです。

候補は意外と少なかった

結果、1,004個の恒星がETZ内で地球から100パーセク以内の距離に存在していることがわかったそうです。

その1,004個の恒星のうち77%は残念ながら赤色矮星で、もし惑星を従えていたとしても生命の痕跡は期待できないことがわかりました。ところが、6%は太陽と同じ分類に入るGタイプの恒星だと判明したそうです。もし地球外生命体が存在しているとしたら、望みがありそうなのはこのGタイプ。

さらに、1,004個の恒星のうち惑星を従えていると現在判明しているのはたったの3つしかないそうです。ということは、もしこれらの恒星系がハビタブルゾーン内に位置する惑星を有していれば、今後地球外知的生命体を探していくうえで最有力候補となります。また、Gタイプに分類される恒星をさらに調べて、もし惑星の存在が確認されれば、地球のように生命を宿す星が見つかる可能性も出てきそうです。

地球外生命体を探す手がかりに

ETZ内に存在しているということは、見ようと思えばあちらからも地球を検出できるということ。

「もし活気のある生物圏を持つ惑星が発見されたら、そこにいるだれかも私たちを見ているかもしれないということです」と研究著者であるKaltenegger教授はCornell Chronicleに語っています。

私たちが知的生命体を探しているように向こうも探していて、私たちにコンタクトを取ってくることだってありえますからね。今回の研究で私たちが作り出したのは、まずどこを探したらいいかを記した星の地図です。

地球はけっこう魅力的かも

もしETZ内の100パーセクよりも近いところにある系外惑星に知的生命体が存在していたとして、もしトランジット法で地球の存在を検出していたとしたら、そのほかにも地球についてどんなことを調べられるでしょうか?

まずは地球が岩石惑星だということ、そして海と陸地があること。一年が365日あること。太陽系内のハビタブルゾーンに位置していることも明白です。

つまり、地球はかなり魅力的な対象としてとらえられるでしょう。

もし相手が地球の大気圏内に生命の痕跡を見つけられたならなおさらです。空気中の二酸化炭素濃度が異常に高いということは、地球上の文明が少なくとも産業革命までは進んでいるとわかってしまいますからね。

見ている相手によっては、地球にとってまずいことになりかねない可能性も…。あの超絶SF小説『三体』を彷彿とさせるこのシナリオに、ちょっと背筋がぞわぞわしました。

Reference: Monthly Notices of the Royal Atronomical Society, 天文学辞典, ESA (YouTube)

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