映画館が消える? 米大手映画館チェーン「年内には資金が尽きる」悲痛の叫び

映画館が消える? 米大手映画館チェーン「年内には資金が尽きる」悲痛の叫び
Image: shutterstock

つらい。

アメリカの大手映画館チェーンのAMCが、財務報告書で明かした実情が本当に深刻です。このままだと年内、遅くても来年頭には、映画館運営を続けていくための資金が尽きてしまうというのです。生き残るためには、キャッシュを得るためのなんらかの追加処置、または来場者数増加が必要だといいますが…。

経営難の原因はアレ

映画館の経営難、理由は今年すべての物事の原因になっているアレです、コロナパンデミック。多くの作品の公開が遅れにおくれている上に、劇場閉鎖、収容人数制限、いいニュースはひとつもなしです。追加借入、新株発行での資金調達、劇場家賃交渉、資産売却、合併など、様々な対応に乗り出す可能性もありますが、それが確実に成功するとも、それを持ってしてもこの困難を乗り越えられるとは言えない非常に危うい状態なのです。

10月初旬、米国内598館のうち494館が再開するも(ニューヨークやカリフォルニアはまだ閉鎖中)、劇場収容人数を通常の20%から40%に制限して運営。全体来場者数は昨年と比べるとたったの15%ほど。

『TENET』をもってしても歯止めが利かない

日本でも話題になっているクリストファー・ノーラン監督最新作『TENET』は、期待される大型新作。世界でヒット作となるも、アメリカ国内での興行成績はいまいち振るわず。結果、まだまだアメリカでは映画館に出向くのを人々が躊躇している傾向があることが明らかになっただけ。CNBCによれば、年内にアメリカで公開が予定されているビッグタイトルはたったの4つ、『The Croods: A New Age』『フリー・ガイ』『Coming 2 America』『ワンダーウーマン 1984』。いずれも、公開は11月後半なうえ、公開延期になる可能性がないとも言い切れません。つまり、映画館が観客を呼びたくても、手持ちのカードが少ない上に不安定な状態が年内は続くと

コロナ以外にも原因が

しかし、映画館不振の原因はコロナだけではありません。映画館にとってコロナ同等に問題なのは、映画館以外で映画を見るプラットフォームが増えつつあるということ。そう、ネット配信ですね。劇場公開日当日、またはネット先行で新作を配信するというやり方がコロナを機に大きな成功をおさめ、広まりつつあります。今後それが定着し、コロナが終息しても、今まで劇場に来ていた人たちの一部は戻ってこない可能性が十分あるわけで。新しい生活の中で、映画館ではなくお家でネット配信の手軽さを好ましく思う人もきっと少なくないわけで。

映画業界に長く鎮座していたパラマウント同意判決(映画制作会社が映画館所有しちゃダメ)の廃止が承認されたことも、現代の映画館事情を物語っているかと。つまり、映画館という場所を占めることに大きな意味がなくなっているということです。

映画館に行くことは特別な体験になりつつある

今後、あえて映画館で映画を見るというのは、体験型コンテンツのような色が強くなるのではと思います。劇場という場所に物理的に赴き、専門的設備の中で、不特定多数の人たちと共に感動を味わい、ついでにポップコーンやコーラも味わい、帰りに誰かと食事に行ったり行かなかったりして、映画について語るという、映画&ビヨンドな体験エンタメ。とれば、来場者数が少なくなるのは当然。

ネット配信・ストリーミングサービスに対して、賞レースは劇場公開作に限るだのイチャモンをつけた過去があり、ストリーミングサービスが劇場を手にいれるときが訪れ、そして今、劇場の意味が大きく薄れていこうとしています。コロナはそのタイミングを早めただけで、直接的な原因はあくまでも時代の流れとテクノロジの進化なんですよね。

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