ついにARM Windowsが本格始動。
これまで使えるアプリが限られていたARM Windowsですが、エミュレーションが展開されることにより使えるアプリは格段に増えます。米ギズモードの報告です。
Microsoftは9月30日に、ARMベースのWindowsがx64 エミュレーションに対応することを公式に発表しました。これが実現すれば、Adobe Creative Suite などのアプリケーションがARMベースのWindowsでも使えるようになり、さらに可能性が広がります。
「 動作するx64アプリのバラエティも豊かになります。x64エミュレーションは11月のWindows Insider Programのビルドより展開する予定です」とMicrosoftのチーフ・プロダクト・オフィサーのパノス・パネイが説明しています。
もちろん、エミュレーションはアプリをネイティブに走らせるのとはわけが違い、効率性は劣ります。なにしろ異なる処理プラットフォームで走るプログラムを「変換」する必要があるのですから。でも、走らないより走るほうがいいに越したことはありませんね。
Appleも WWDC 2020 イベントでエミュレーションレイヤーであるRosetta 2を発表していました(今となってはもう数万年も昔のような気すらしますが...) Rosetta 2 ではx64 アプリコードをARMコードに変換することが可能です。デモ動画を見る限りではスムーズに走っていました。しかし Rosetta 2はAppleのプロプライエタリソフトウェア。Microsoftがどのように独自のx64エミュレーションを全Windowsユーザーにリリースしていくかは、今のところまったく予想がつきません。現在のところ、ARMベースのWindowsは、32ビットと64ビットのARMアプリをネイティブに走らせることができ、 32ビットのx86(Intel または AMDのチップ向け) アプリケーションはエミュレートで対応しています。
しかし、多くのソフトウェアデベロッパは、32ビット版の対応を軒並みやめており、 ARM Windowsで走らせることのできるアプリが少なくなってきていたのが実情でした。
最近のコンピュータは、メモリは最低でも8GBあるのが普通になりつつあります。32ビットアプリが対応できるメモリは4GBが上限のため、64ビットアプリが主流になりつつあるのです。64ビットのWindows 10 Homeエディションは最大で128GBのメモリに対応できます。 さらに、Windows 10 Pro、Enterprise、Educationなら最大で2TBのメモリに対応しています。 Microsoftはすでに2004のリリースを最後に32ビットバージョンWindows 10 のサポート終了しています。
「Windows 10のバージョン2004から、すべてのWindows 10は64ビットのビルドを使用する必要があり、MicrosoftはOEM向けでは32ビットのビルドをリリースしない」 とMicrosoftも公式に声明を発表しています。ただ、今使用しているのが旧Windowsバージョンでも、サポートを停止した32ビットソフトウェアを使用していても、今すぐ心配する必要はありません。
ただし、ARM搭載Windowsのx64エミュレーションは、新モデルが投入されたばかりのSurface Pro X を購入しようとしている人たちにとっては素晴らしいニュースなのです。直近のモデルも素晴らしい出来でしたが、x64エミュレーションによってこの新モデルは一歩先を行くでしょう。メモリが4GBしか載らない廉価版のSurface Laptop Goについてはこのことはほぼ関係ありません。でも廉価版以上のものを求めているとしたら、メモリを8GBにすれば、この64ビットエミュレーションでさらにアプリのチョイスが広がるのです。