ドローンを見たら身を隠せ…?
空撮目的で、高性能カメラを搭載する小型ドローンを飛ばすことも、そう珍しくはなくなってきました。また、小さな荷物を輸送するタイプの活用例も増えており、いまやドローンは、趣味のラジコンといった域を出て、ビジネス目的の本格利用が活性化。ただもっと先端の利用シーンには、かなり危険な領域もあるようです。
このほどPopular Mechanicsは、英国防省(Ministry of Defence)が、とある匿名企業とパートナーシップを結び、散弾銃をデュアル搭載する6軸のヘキサコプター「i9」の開発に成功したことを伝えています。この企業は、Strategic Commandと提携しながら、通常であれば搭載物の重量ゆえにコントロールが難しいとされる狭い室内でも、スムーズにi9を飛ばし、目標を定めて、次々とショットガンを発射できる、本格的な軍事利用目的の小型ドローンを、国防省へと提供。必要に応じて、ショットガンをロケット砲などに変更することまで可能で、テロリストなどが隠れ潜む建物内へ送り込み、ターゲットを遠くから殺傷する能力が十分に備わっているんだとか!
どんどん進むドローンの軍用化
すでにUAVと呼ばれる、大型の無人航空機の軍事利用は、世界各国がAIを駆使して進めてきました。とはいえ、いまや小型ドローンの性能も格段に向上し、AIと兵器を組み合わせてフル活用できるレベルまで進化。米国内でも、Duke Roboticsの開発した8軸のオクトコプター「Tikad」が、やはりガン装備で対ドローン砲などの精度を高め、米国防総省(Department of Defense)で採用が進んでいるとされていますね。
ちなみにドローンのロボット兵器化をめぐっては、賛否両論さまざまな意見が交わされてきました。前線で兵士を失うことなく、より効率的に戦闘を展開できるとする賛成論がある一方で、倫理的な側面から、その利用を懸念する声が上がっています。実際、i9もTikadも、銃弾の発射には、操縦する兵士のコントロールを必要とするシステム設計となっており、自律的に飛行したドローンが、人間の操作を離れて勝手に銃を撃ちまくるといった利用は想定されていません。
しかしながら、どんなに英米が倫理面で採用を踏みとどまっても、他国が次々とAI兵器化したドローンの開発を進めてしまえば? Campaign to Stop Killer Robotsが発した警告では、中国・ロシア・イスラエル・韓国を名指しして、AIによる銃撃性能を備える自律飛行型の兵器開発に熱心とされています。その流れに乗り遅れまいとの方針転換なのか、このほど発表された、30か国が名を連ねる、完全に人の手を離れて自律的な殺傷能力を備えた兵器開発を禁じる宣言に、英米は加わりませんでした。小型ドローンが飛来したかと思いきや、そこからいきなり銃弾が発射され、多くの人々が殺される悪夢のような時代が、映画のなかだけでなく、まさに現実にも生じようとしているみたいですね。
Source: Popular Mechanics