「火星の氷下に4つも湖があるよ」と科学者チームが発表。地球外生命の発見にあらたな一歩?

  • author R.Mitsubori
「火星の氷下に4つも湖があるよ」と科学者チームが発表。地球外生命の発見にあらたな一歩?
Image: Image: Björn Schreiner - FU Berlin / ESA via NBC News

あらためて、地球って奇跡の星。

「火星に水はあるのか?」というのは科学者の間で長年にわたって議論されてきたテーマです。水があれば生命がいる可能性があるわけで、そこには人類最大のロマンがかかっていると言っても過言ではありません。そんな「火星ドリーム」がまた1歩前進したようです。

28日、ヨーロッパの研究者チームが「火星の南極に氷底湖が確認された」とする論文を科学誌Nature Astronomyに発表したとNatureNBC Newsなど複数のメディアが報じています。

今回発表された研究は、そもそも2018年イタリア国立天体物理学研究所(INAF)のロベルト・オロセイ氏が「火星の南極の氷下に湖を発見した」と報告したことから始まります。その時点では2012年から2015年までに実施された29回の観測データをもとにしており、多くの科学者から「エビデンスが足りない」と指摘されました。そのため、今回はさらなる裏付けとして2012年から2019年まで134回にわたる観測データをもとに、より広範かつ詳細な研究が実施されました。

具体的には、火星探査機「マーズ・エクスプレス」高度レーダー(MARSIS)を用いて火星の南極地域に低周波数の電波を照射。跳ね返ってきた信号によってそこに存在する物質(岩、氷、水など)がわかるのですが、その結果、水の存在を示す結果が検出されたのです。

火星
Image: Image: Nature Astronomy and Lauro et al via NBC News
火星の南極のレーダー画像。青く表示されている箇所に水があると思われます。

ローマ大学の惑星科学者で今回の論文を共著したエレナ・ペティネッリ氏によると、前回発見された直径約30kmの湖の他にも、幅数kmの小さな3つの湖が囲んでいることが発見されたといいます。

地球よりも寒冷で大気の薄い火星では、地表で液体の水が存在するのは不可能だと言われていますが、科学者たちは長年にわたって「地下には水があり、生命が存在するのでは」と考えてきました。今回の調査はそれを裏付ける貴重な発見になりそうです。

ただ氷の下とはいえ、火星に真水が液体のまま存在するとは考えにくく、ペティネッリ氏は「もし湖があっても、その水はかなりの塩分を含んでいると考えられる」と言います。

Natureの記事によると、モンタナ州立大学の環境科学者であるジョン・プリスク氏は、「湖の塩分濃度が海水の約5倍程度であれば生命が存在することは可能です。ただ、海水の20倍程度では生命を維持することはむずかしい」と話しています。

そもそも火星に湖なんてあるの? という疑問も根強く、2018年当時から研究者の間では「火星に、氷を水に変化させるほどの熱があるのか」という議論が続いています。

アリゾナ大学の惑星科学者であり、NASAの火星探査計画チームに所属するジャック・ホルト氏は、「たとえ氷の下であっても、火星には塩水を支えられるほどの熱の流れはなく、湖はないと思います」と断言するなど、厳しい見方もあるようです。

とはいえ、最新のデータの信ぴょう性については問題ないとしており、やはりもう少し現地での調査をすすめなければ今回のデータが示す本当の意味は見えてこないのかもしれません。

現在、中国が7月に打ち上げた火星探査機「天問1号」が火星に向かっており、来年2月には軌道に乗る予定。その後、着陸機と探査機がさまざまな調査をすることになっているので、今回の発見にかかわる新たな情報が収集されるかもしれません。また続報を待ちましょう!

Source: Nature, NBC News

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