お寺参りの常識が、ちょっとずつ変わりつつあるのかも。
京都市下京区にある東本願寺が、キャッシュレスお賽銭システムを導入するそうです。京都市内にある主な本山寺院としては初めて、と京都新聞が報じています。
スマホでおさいせん
東本願寺によれば、10月12日からはみずほフィナンシャルグループのJ-CoinPay、または中国銀聯のUnionPayで電子決済が可能に。
パネルに記載されたQRコードをスマートフォンで読み取って、好きな金額だけお賽銭できるんだそうです。さらに、10月下旬からはクレジットカード決済(VISA・Mastercard)も使えるようになるのだとか。
小銭がなくてもだいじょうぶ
もちろん今までどおり賽銭箱にお金を入れることもできますよ、とのこと。でも、お寺や神社に参拝するときに限って5円玉とか50円玉を持っていなかったりするんですよね。特に外国人観光客は現金を持ち歩かない人が多いそうなので、スマホで簡単に決済できるようになったらお布施をする人も増えるんでしょうか。
あと、個人的に思うのは、電子決済が進めばお賽銭の盗難被害も減るのかなと。わたしの父方の実家がお寺なので、その辺の話は耳に挟んだことがあるのですが。お寺がいずれ完全なる電子決済システムに移行したら、「お金がジャラジャラ入った物理的な箱」という煩悩のカタチをひとつ境内から消し去れる…のかな?
キャッシュレス化には反対意見も
このようなキャッシュレス決済のメリットが期待される反面、仏教界では賛否が分かれているようです。
SankeiBizの報道によると、京都府内の約1,000の寺院が加盟する「京都仏教会」は、宗教活動のキャッシュレス化は「不適切で受け入れない」とする声明文を去年6月の時点ですでに発表しています。
その理由は、お賽銭などをキャッシュレス化すれば、参拝者の行動や個人情報が第三者に把握されるリスクがあるから、というもの。また、手数料が発生してしまうことにより、「宗教行為(非課税)」と「収益事業(課税)」の境界線があいまいになりかねないとの懸念もあるそうで、今後キャッシュレス化の是非をめぐって議論が続きそうです。
お賽銭は「気持ち」
そもそもお賽銭ってお願い事を叶えてもらうための対価ではなく、神や仏に日頃の感謝の気持ちをお伝えする手段なんですよね。
もっとずっと昔はそもそもお金なんて使っていなくてお米・野菜・酒なんかを奉納してたわけですし、現金にこだわらずともいいじゃない、というのがキャッシュレス派のお寺さんの言い分のようです。
「浄財」という意味においては、キャッシュだってキャッシュレスじゃなくたって同じですもんね。