iPhone 12を5G「だけ」で買うと後悔する、たぶん

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iPhone 12を5G「だけ」で買うと後悔する、たぶん
過去形になるのはまだ早い

優良誤認に要注意。

iPhone発表イベントはティム・クックCEOが全力で5G推しでしたね。Verizonのハンス・ベストバーグCEOまで駆り出して高速! 低遅延! ゲーム! 映画!とやってました。

5Gスマホ未経験の人は即買いかもだけど、未経験じゃない自分は、4Gbps(4ギガビット/秒)なんて5G基地局の真下で空にスマホかざさなきゃ絶対ムリ、かざしてもまだムリかもしんないわ~と内心ヒヤヒヤでした。

なんせアメリカ韓国5Gが4Gより遅い地域が多いのが現状ですからね。

4Gbpsはアメリカでもほぼ掴めないツチノコ

「5Gネットワークを全米1800都市に広げ、新型iPhoneで5Gを2億人以上に届ける」とVerizonベストバーグCEOは気炎をあげ、クックCEOも「理想の条件」がそろえば下り最大4Gbpsの爆速性能とアピールしていましたが、 Verizonの5Gはサブ6(6GHz未満の低周波数帯)が主体なので4Gにずっと近いスピード(数百Mbps)です。イベントでデモした超広帯域のミリ波(mmWave)の5Gネットワークが使える地域は、ごく一部の対象都市の、そのまた一部…。

ガートナー上級主幹アナリストのTuong Nguyenさんもメール取材でこう言ってましたよ。

Verizonは(5Gの)全国展開を今日発表したが、これはサブ6のことなので、多くの人が5Gと聞いてイメージする話題の爆速性能が得られるとは限らない。

5Gのカバレッジが4G並みだと言うキャリアは米国に1社もないと思う。つまり、自分もそうだけど、結構たくさんの人が5Gスマホを買っても5Gのメリットを味わえないことになる。

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5Gはダウンロードが高速だけど、4Gとたいして違わないことも多い
Apple

ちょっとわかりづらいかもですが、5GにはLTEとNRの2つがあります。

・広いカバレッジのサブ6(6GHz未満)のLTE

・狭くて爆速な高周波数帯ミリ波の5G NR(New Radio:新たな無線技術)

サブ6は4G LTEですでに使用されている周波数帯なので、ここに5Gを加えることは、言うなればアップデートアプリをインストールしてスイッチをONにするみたいなもの。キャリアは少ない手間で5Gを立ち上げられますが、NRみたいなギガビットレベルの爆速性能は望めません。

調査会社OpenSignalによると、米国内の5G下り速度は平均52Mbpsで、米国内4Gの28.9Mbpsよりは速いけど、 韓国(336.1Mbps)やサウジアラビア(377.2Mbps)にはだいぶ遅れをとってます。韓国やサウジは中周波数帯がベースで、米国でこれを活用しているのはT-Mobileだけ。ほかのキャリアは連邦通信委員会のオークションで落札が必要で、次回オークションは12月まで行なわれないんですね。

IntelラボVPのVida IlderemさんにもSystem Rebootについて話を伺ってみましたが、5Gはまだ黎明期という見方でした。今年は5G通信稼働3年目。次世代通信がピーク性能に達するまでにはだいたい10年かかるのだといいます。

VerizonとAT&Tが推進するミリ波5Gの実現には基地局増設が欠かせません。4Gみたいに遠くから飛ばせないので、街のいたるところに5Gのスモールセル(小型基地局)の設置が必要(これで悪目立ちして「5Gでコロナが広まる」という健康被害の都市伝説が広まって作業員が大迷惑してるって話もありましたわね…)。また、ミリ波の5Gは建物の壁を通れないので、爆速なんだけど主に屋外でしか掴めません。つまり現実の5G通信ネットワークはミリ波単体では届かないのです。

仮に爆速5Gで電波が届いたとしてもバッテリーも爆速で減るのでオーバーヒートの原因になります。自分もミリ波ベースの5Gネットワークをテストしたのときには、5Gのシグナルが表示された途端、スマホが熱々になってましたよ。しかも4Gbpsなんて一度も検出されなくて、2Gbpsにも届かないレベル。TV連続ドラマ1シーズンまるまるダウンロードしてオフラインで鑑賞するのは速かったけど、人生変わるほどの違いじゃなかったです。

「AR、VR、ゲームなど、5G活用シーンはいろいろ言われてきたけど、どれひとつとして実を結んでいない」と先ほどのNguyenさんも言ってて、「いわゆる”キラーアプリ”もまだ全然キラーアプリじゃないし、5Gカバレッジを仮に手にしても、iPhoneの使用環境に関しては、実際どれほどのものなのかな?と思ってしまう」とのこと。確かに手にしてみるまでなんとも言えませんよね。

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5Gの紹介ではゲームも大きくクローズアップされた
Apple

Androidも置かれた状況は同じなのですが、全米26都市を回って5Gの接続性能を調べたPC Magazineの最新報告を見ても、iPhoneミリ波対応の唯一の国アメリカですらミリ波のカバレッジは足りないのが現状です。

AT&Tは使い物にならない。T-Mobileは高速だけど状態のいい4G LTE並み。Verizonは爆速だけどほぼ見つからない。

とのこと。The Vergeも「Verizon基地局アンテナのすぐそばにクルマ停めて使わないとミリ波5Gの爆速にはならないよってよく言うんだけど、これがあながち冗談ではないのだ」と言ってますよ。

Verizonの5Gはとにかく探すのが大変。こんなもの搭載するのにお金をかける人の気がしれない。ミリ波対応ってだけで値段が100ドル以上高くなるのもびっくりだ。[...]毎年機種替えする人は減っているので、何年か持つ予定なら5Gはあっても邪魔にならないし、そのうち追いつくとは思うが。

日本のiPhoneはなんちゃって5G対応

日本の5Gも当初サブ6から普及が進んでいて、ギガビット超えの超高速移動通信の本格普及はまだこれからです。どのみち新型iPhoneは米国以外のミリ波対応が見送られたので、米国外はサブ6のなんちゃって5Gという認識で話をしないと。

スマホ買うとき周波数帯気にする人なんていないと思うけど、こと5Gに関してはキャリアの呼称も地域差も激しくて、随分ややこしいことになってます。アメリカではAT&Tが4G LTEの5Gを「5GE」と呼んで随分問題になりました。日本も似た状況で、NTT DoCoMoが優良誤認に警鐘を鳴らしています。

5Gスマホ買ったのに「4Gと変わんない!」「4G LTEのアンテナピクトしか表示されない!」ってなると悲しいので、5G狙いの人はショップに地域の動作環境を確かめてから買うのが正しい買い方かもしれません。苦情の嵐で低・中・高周波数帯のマルチレイヤ―版5Gの普及が加速するとしても、それ、一朝一夕に起こる変化ではないので。

Sources: PC Magazine, The Verge

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