ビジネスノートPCのベストはどれ? 米国の人気メディアがガチ比較

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  • author Andrew Cunningham - Wirecutter
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ビジネスノートPCのベストはどれ? 米国の人気メディアがガチ比較
Image: Andrew Cunningham

修理が簡単で、出張やヘビーユースにも耐えるビジネスノートが欲しい!

でもどれを買っていいかサッパリわからない!

そんなみなさまのために、さまざまなガジェットを徹底比較しておすすめを紹介する信頼の米国メディア「Wirecutter」(from The New York Times) が、実機数十台を長年テストした結果を公開しています。

おすすめなビジネスノートたち

イチ押し:Lenovo ThinkPad X1 Carbon Gen 8

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上質なキーボードとトラックパッド、軽量、バッテリー長持ち。X1 Carbonはいま買えるノートPCの最高峰と断言できます。メモリーはあとでアップグレードできないので、「そんなに要らないかな」と思っても16 GBで買うのがおすすめ。翻訳段階で日本発売価格16万8421円。

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Lenovo ThinkPad X1 Carbon Gen 8はベストなビジネス用ノートというのみならず、全カテゴリで他社を凌駕するノートPCです。ここでおすすめするほかのビジネスノートより約1ポンド(454g)軽いのに、アップグレードも修理も手軽にできるし、ポートも◎なら、バッテリー駆動時間もテストした機種では一番長かったです。軽量なので弱点もあって、一番目立つのはSDカードリーダーとmicroSDカードリーダー、LANポートがないことと、メモリも基板から外せないことですね。換装不能なので、買うなら8GBより16GBがおススメ。今はそんなに要らないと思っても、タブを死ぬほど開いたり、写真を編集したり、巨大な表計算やデータベースを扱うときにはメモリは大きいに越したことないです。

コスパで選ぶなら:HP ProBook 445 G7

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1ポンド(454g)以上重くてバッテリー駆動時間も短めですが、445 G7はX1 Carbonのほぼ半額で買えます。しかも処理は高速だし、アップグレードと修理もカンタン。日本では現在オフィシャルでの取り扱いがないようです。

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HP ProBook 445 G7はX1 Carbonの半額だけど、動画編集などのCPU負荷のかかる作業や軽いゲームの操作環境は、AMD Ryzen 5なので気持ち高速です。キーボードとトラックパッドは良好で、メモリは増設可能。しかもデュアルドライブです。

ただ格安PCのご多分に漏れず、平均的ノートより重さはあります。バッテリー持ちもまあまあ。700ドル台の推奨バージョンは指紋や顔認証カメラは付属しません(希望者は別払い)。

同じくらいオススメ:Lenovo ThinkPad L14(Intel)

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X1 Carbonより大きくて重いけど、L14は安くて拡張性が高いのが強み。ThinkPadのキーボードとトラックパッドの良さはそのままに、ビジネスノートPCとは思えない価格で抜群のバッテリー持ちを手に。編集時点で日本発売価格18万6010円。

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キーボードとトラックパッド、バッテリー駆動時間で選ぶならX1 Carbonだけど、少々重くてもいいから、安くて自分でアップグレードできるほうがうれしい!という人にはLenovo ThinkPad L14がぴったり(Lenovo Tシリーズは自分でメモリを拡張できなくなってしまった)。重さはX1 Carbonより1ポンド(454g)以上ありますが、性能は変わらないし、スクリーンも同じくらいいいです。バッテリーはX1 Carbonより小さいけど、L14のほうがアップグレードと修理が簡単だし、ポートも豊富でLANポート、microSDカード用スロットもついてます。それでいてお値段はX1 Carbonの3分の2(日本だと編集時点ではX1 Carbonのほうが安くなってますが…)。

ノートPCガチ勢が選びました

今回のガイド役はAndrew Cunninghamです。2012年からAnandTech、Ars Technicaを経て、現在WirecutterでPCなどのガジェットのテスト、レビュー、執筆を担当しています。パソコンの組み立てとアップグレード、修理にかけては20年の実績があり、うち5年間はIT部門でビジネスユースのノートPCとデスクトップの購買・修理を担当しました。使う人のニーズに合う製品探しのお手伝いならおまかせください。

ビジネスノートPCは「薄型軽量ノートPCの弱点」が気になる人におすすめ

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Image: Michael Hession

Windowsノート希望なら薄型軽量のウルトラブックが狙い目。メモリが最低16GB、SSDが512GBもあればこの先数年は安泰だし、大半のビジネスノートPCより薄くて軽くて安いのに性能もバッテリー持ちも充分です。ただ、ウルトラブックは中を開けて修理やアップグレードしにくいのが難点で、メモリが基板に固定なので、購入段階でメモリを必要以上確保しないと長く使えなくなることもあるんですね。バッテリーなどのパーツも接着剤でがっちりくっついてたり、本体をまるまる分解しないと手が届きにくい場所にあったりしますし、ビジネスノートPCはポートが豊富でプレゼンでもプロジェクターに簡単につなげられるのに対し、ウルトラブックはポートが少ないので外付けモニターなどの周辺機器の使用にはハブやドングルが必要になる場合もあるのが違い。

仕事用じゃなく個人用でノートPCを買う際も、ビジネスノートPCが魅力なのはそのためです。企業のIT部門のニーズに対応するため、ビジネスノートPCは今もメモリやSSD、バッテリーの交換が簡単にできるものが多く、工具のドライバーでねじを開ければそれで手が届きますし、キーボードやヒンジといった経年劣化が激しいパーツも普通は交換が可能です。

なにしろポートがたくさんついているので、サムドライブや会議室のプロジェクターで使うドングルもアダプターの数も最小限に抑えられるし、USB-CやThunderbolt 3のポートが最低1基ある以外にも、一般のノートPCでは滅多に見られなくなったUSB-Aポート、SDカードスロット、フルサイズのHDMIポート、ギガビット対応のLANポートがいまだについていたりします。

ビジネスノートPCは法人割引価格で大量購入する企業が主なターゲットなので、1台1台買うとどうしても同等スペックの一般のノートよりお値段は張ります。最新の上質なノートに求める装備(SSD、8GB以上のRAM、1080p IPSの液晶やタッチスクリーン、指紋センサーはもとよりバックライトのキーボードにいたるまで)を加えるとほぼすべて別売オプション扱いなので、ただでさえ高い最低価格がみるみる割高に。そこが悩みどころではありますけどね。

選定基準

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Image: Andrew Cunningham

ビジネスノートPCの購入はウルトラブック購入とは別物ですが、選ぶとき注目するポイントはそんなに違いません。

・性能:特上ノートと呼ぶからには最低でもメモリは8GB、SSDは256GB以上、プロセッサはIntel第10世代のCore i5かi7、もしくはAMD 4000シリーズのRyzen 5かRyzen 7は欲しいところですよね。もっと高速なCPUやゲーム&写真動画編集用のGPUをお求めの方はプロ用ノートゲーム用ノートのガイドをチェック。

・快適なキーボード:ビジネスノートPCは文書と表計算が勝負なので、レイアウトとキーストロークが快適な長期の使用に耐えるキーボードは必須です。できればバックライト付きのものが絶対おすすめ。

・トラックパッドやポインティングデバイスが上質:ビジネスノートは頑丈だけど、トラックパッドの精度が問われるので、壁に投げつけても不死身…というほどじゃないです。編集部が推奨するのはMicrosoftのPrecision Touchpadで、これならWindows 10のマルチタッチ操作も正確にこなせます。ThinkPadシリーズのキーボード真ん中にある赤ポチみたいなポインティングデバイスもあれば便利だけど、これはマストというほどではありません。

・14インチ&1080pのIPS液晶:ビジネスノートPCの推奨サイズはずばり14インチです。大きな文書や表計算は13インチよりゆったり作業できますし、 それでいて15インチほど重すぎず大きすぎなくてドンピシャなサイズと言えそう。解像度1080p(1920×1080ピクセル)ならテキストも画像もくっきりシャープで、大きな情報量もばっちりカバーできます。TNよりIPS液晶パネルのほうが視野角・色再現性は優れています。もっと解像度の高いオプションがある場合もありますが、これを超えるとバッテリーを無駄に食ってしまうと感じる人が多いのも事実です。

・ポートが多種多様:新旧さまざまなポートがあるほうが用途を最大限確保できますので、ここで検証した機種はすべてUSB-Cポート(外付けモニターやUBC-C対応の周辺機器との接続や充電で使用)、USB-Aポート、HDMIポートが最低1基あるノートです。必須ではないけど絶対あったほうがいいのは、SDカードリーダー、とmicroSDカードリーダー、LANポートで、Thunderbolt 3とDisplayPort、VGA用ポートは希望ならオプションで、という優先順位にしました。

・バッテリー長持ち:バッテリー駆動時間は推奨8時間。これだけあれば平日9~5時の勤務時間や米大陸横断フライトと空港の待ち時間はカバーできます。予備電源はビジネスノートでも最近は見られなくなりました。

・適度なサイズと重さ:普通はウルトラブックよりビジネスノートのほうが重くて大きめです。これは造りが頑丈だし、換装可能なメモリのほうが換装不能なメモリよりスペースを食うっていうのもありますが、ここでは上限4ポンド(約1.8kg)にして選んでみました。3.5ポンド(約1.6㎏)未満のものがほとんどです。

・アップグレードと修理が可能:薄型軽量のウルトラブック風のノートも候補に挙がりましたが、本ガイド執筆にあたって検証した機種は、中を開けて簡単に修理できる構造のものが主体です。最小限の手間でSSDベイやスロット、バッテリーに手が届くことが条件で、最低1基のRAMスロットとWi-Fiカードもいじれたら尚よし注1、ですね。本体をまるまる分解したり、関係ないコンポーネントまで交換したりしなくても、キーボードやほかのパーツを交換できることも必須の条件としました。

・価格は競合以下:ビジネスノートPCの相場は格安ウルトラブック格安ノートPCより高めです。割引やクーポンコードの有無でだいぶ開きが出ますが、そこそこいいもので800~1,000ドル、すごくいいもので1,200~1,600ドルもします。ただ、購入後にアップグレードできるので、DIYの手間を厭わなければ買ってから自分で中身のメモリやストレージをいいものに交換することでお金はセーブできますよ。ほかよりアプグレと修理が手軽にできるので、最初は値が張るけど、長い目で見ればビジネスノートPCのほうがお得ということも。

・指紋認証やIRカメラですぐログインできる:ビジネスノートPCの多くは少額で指紋認証を追加できるオプション付き。中には顔認証の赤外線カメラを提供しているものもあります。技術が進んで、今はWindows 10のWindows Hello機能もあるので両方とも昔よりずっと精度が安定しています。

今回は法人ビジネス向けに特化したコンピュータの開発と保守を幅広く手掛けている主なPCメーカーのDell、HP、Lenovoの製品のみを評価の対象としましたが、Acer、Asus、富士通、東芝の製品も過去に調査とテストは実施済みです。

テスト方法

テストは1台1台、通常勤務で最低2日間使って行ないました。ページをロードして、何十個もブラウザのタブを開いて切り替えながら、Googleドキュメント、Googleシート、Slackを開きっ放しにして使って、音楽とビデオを再生しながら、キーボード、トラックパッド、画面、よくある作業の全般的な処理性能をチェック。バッテリーテストではSpyder5Proというツールでモニターの明るさを150 nits(またはcd/m²)に設定してからウェブページ、メール、Googleドキュメント、動画を回ることにより、Webブラウジングで電池が何時間持つかをチェック。1台につき2回計測して、その平均値をとりました。

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バッテリーテスト結果。8時間労働分持つ機種が大半ですが、出張や会議の日も余裕でこなせるのが上質な上質なビジネスノートの条件

さらに底面パネルを開けて、メモリ、ストレージ、内蔵バッテリーの修理・交換で外すねじの数(ほかのももの適宜)をカウント。主なコンポーネントの交換が普通のウルトラブックより簡単にできることがビジネスノートPCの条件とはいえ、画面や基板、キーボードをDIYで交換すると製品保証の対象外になってしまうので、そちらは検証していません。

イチ押し: Lenovo ThinkPad X1 Carbon Gen 8

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Image: Andrew Cunningham

イチ押し:Lenovo ThinkPad X1 Carbon Gen 8

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上質なキーボードとトラックパッド、軽量、バッテリー長持ち。X1 Carbonはいま買えるノートPCの最高峰と断言できます。メモリーはあとでアップグレードできないので、「そんなに要らないかな」と思っても16 GBで買うのがおすすめ。翻訳段階で日本発売価格16万8421円。

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レノボのThinkPad X1 Carbon Gen 8は確かな造りで、ThinkPad夢のキーボード。軽量スリムでバッグにすっと収まります。バッテリーは丸1日持ち、画面が大きな割にはウルトラブックより軽かったりします。欠点は、高いこと(翻訳段階で16万8421円)、メモリを自分で換装できないこと、比較した他機種にあるLANポートがないこと、SDカードリーダーが別売なこと。

いつもなら8GBをおすすめするところですが、X1 Carbonに限っては、大きな写真やデータベースを扱わない人でも8GBより16GBで購入がおすすめです。X1 Carbonは高いので、1~2年経ってからメモリを増設したくなっても後の祭りですからね。

Lenovo ThinkPadシリーズは打鍵感の優れたキーボ―ドとトラックパッドが絶大な信頼を集めていますが、X1 Carbonもその期待に十分応えてます。キーは真ん中がややくぼんでいて、正方形ではなくて、浅すぎず深すぎず、硬すぎないカチッとした手応え。バックライトは明るくて均等です。テスト対象機種はみなキーボードにハズレはなかったけど、みなThinkPadに比べちゃうと、キーが浅いか、カチッというスイッチ感が今ひとつかなという印象でした。

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ThinkPadのシンボルとも言うべきキーボードとトラックパッドは、X1 Carbonでもそのままに踏襲
Image: Andrew Cunningham

テストしたX1 Carbonのバージョンは1080pの14インチの液晶で、試した機種の中では一番明るかったです。ひときわ明るくて、しかも非光沢のコーティングが施されているので、ほかの多くの機種より野外向き。これならカフェのテラス席もいけそうです。ディスプレイは解像度2560×1440にアップグレード可能で、250ドル出せばもっと明るい4K対応のHDR液晶も選べますけど、高解像度にするとバッテリーの消耗も激しくなるので、デフォの1080pのIPS液晶でも大邸の人は満足できると思いますよ。

ポートのセレクションは考え抜かれていますが、いかんせんコンパクトなので消えたものもあります。USB 3.1 Gen 1 Type-Aポートは左右1基ずつ計2基(テストしたほかのモデルは3基のものもありました)で、フルサイズのHDMIポートはありますが、有線LANポートはないので、使用時はドングルを買ってThunderbolt 3ポート2基のうち1基に差さなければダメ。SD/microSDカードリーダーもナシ。充電と外付けグラボなどのハイエンドな周辺機器は片方のThunderbolt 3ポートに接続して使います。

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左にはThunderbolt 3ポート2基(1基はLenovoドッキングポート兼用)、USB Type-Aポート、HDMIポート、イヤホンジャック
Image: Andrew Cunningham
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右にもUSB-Aポート
Image: Andrew Cunningham
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カメラの目隠し付き。テープやシールは貼らなくていい
Image: Andrew Cunningham

修理とアップグレードは超簡単で、プラスねじをくるくるっと5個外すだけで底面パネルがパカっと外れてバッテリーとSSDが出てきます。ほかのモデルも大体同じですけどね。プラスチックヘラがないと開かないのもありましたが、X1 Carbonはヘラ要らずでした。なお、軽量スリム化の過程でLenovoはメモリスロット1~2個を用意する代わりにメモリとWi-Fiカードを基板に接着しちゃっているので要注意。保証対象外の修理が必要な際にはサービスマニュアル(PDF)を見ると、ほかの主要パーツの交換手順までくわしく書かれています。

内蔵の51 Whバッテリーの駆動時間は実測12時間30分で、今年テストした機種の中では最長でした。充電抜きで勤務は丸1日クリアできそう。ウルトラブックより大きくて重いビジネスノートPCが主流のなか、X1 CarbonはDell XPS 13(約1.1kg)よりさらに軽量で、違いがわかるほどでした(X1 Carbonのほうが画面は大きいので全体のサイズは大きめですが)。指紋センサと顔認証赤外線カメラ付きで発注できますが、両方買うともったいないので、好きなアンロック技術を片方選んで発注をおすすめします。

買うのをやめるほどじゃないけど残念な点

メモリを自分で換装できないのは、ほかのカテゴリのPCではよくあることですが、ことビジネスノートPCとしては痛いですよね。X1 Carbonはメモリを16GBにアップグレードして購入すれば弱点は(ほぼ)カバーできますけど。もっとメモリ必要な事情がある人は、ほかのおすすめモデルにするか、もっとパワフルなCPUとGPUを備えたプロ用ノートPCを検討してみましょう。

コスパで選ぶなら: HP ProBook 445 G7

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Image: Andrew Cunningham

コスパで選ぶなら:HP ProBook 445 G7

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1ポンド(454g)以上重くてバッテリー駆動時間も短めですが、445 G7はX1 Carbonのほぼ半額で買えます。しかも処理は高速だし、アップグレードと修理もカンタン。日本では現在オフィシャルでの取り扱いがないようです。

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大きくてバッテリー持ちがイマイチでも構わないなら、HP ProBook 445 G7がおすすめです。 性能はほかのイチオシ並みかそれ以上で、価格はざっくり半額です(リンク先の最低スペックの714ドルのバージョンは完売で、1200ドル以上の類似品のみとなっています。なお、日本では現在オフィシャルでの取り扱いがないようです)。

AMD Ryzen 4000シリーズのプロセッサ搭載で、抜群の処理性能(ゲームだってこなせる)。キーボードは快適で、トラックパッドは正確、液晶は美しい1080p、ポートも使えるものを選んでますし、メモリースロット2基、SDDと2.5インチHDD用のスペースもあります。指紋センサと顔認識カメラが要る人は高めのbuilt-to-orderバージョンになります。ほかの高い機種より重くて大きくて、バッテリー持ちもイマイチですが、格安ビジネスノートPCは大体そう。よくあるタスク(ブラウジング、文書編集、動画再生、メールチェック、Slackのチャット)の処理性能は445 G7のAMD RyzenもX1 Carbonの Intel Coreも違いは感じませんが、AMDのほうが同等のIntelチップ注2よりコア数が多いおかげで動画編集やエンンコードの処理性能は上です。また、インテグレーテッドGPUもずっとIntel製より高性能なので、3D線描&モデリングソフトや勤務後のゲームも若干ベター。ゲーミングPCの代用にはならないけど、445 G7でも大体の最新ゲームタイトルは中設定から低設定で十分プレイできます。

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ProBook 445 G7はキーボードが使いやすくて(矢印キーの形はヘンだけど)、トラックパッドも感度抜群。指紋センサみたいに見えるのはダミーで、どの構成を選んでも搭載されません
Image: Andrew Cunningham

ProBookのキーボードはThinkPadに比べると見劣りがするし、矢印キーも独特です(上下矢印が平べったくて、左右矢印が離れている)が、カチッと確かな打鍵感はあって、Precision Touchpadは精度に優れています。また、 Windows 10のマルチフィンファーのジェスチャー認識も可能です。1080pの液晶はずば抜けて明るいほどではないので、日なたのテストではやや暗く感じましたが、ほかの格安ノートのテスト機並みで、屋内ではすごくきれいです。

445 G7の修理やアップグレードでは小型のプラスドライバーとプラスチックヘラが必要。ねじをゆるめてそっとヘラで開けると注3、メモリスロット2つとM.2 SSD用スロット、2.5インチSATAドライブベイ、Wi-Fi、Bluetoothカード、バッテリーがすぐ出てきます。ステップごとの修理手順はサービスマニュアル(PDF)で。

445 G7はUSB-Aポート3基、USB Type-Cポート(充電とモニター接続用)、フルサイズのSDカードリーダー、HDMIポート、LANポート付き。これだけあればドングルやアダプタを使わなくても、ほぼすべての用途をカバーできます。

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右にはUSB Type-Aポート2基、HDMIポート、LANポート(使用中はカバーが下に開く)、USB-Cポートと電源差し込み口。充電はここかUSB-Cポートで
Image: Andrew Cunningham
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左にはセキュリティロックスロット、USB Type-Aポートがもう1基と、フルサイズのSDカードスロット
Image: Andrew Cunningham
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ProBook 445 G7もカメラの目隠しカバー付き
Image: Andrew Cunningham

バッテリーは実測7時間ちょっとしかもちませんでした。格安ノートとしてはOKですが、X1 Carbonよりずっと短くて、勤務時間ギリギリもつ感じですね。重さは3.5ポンド(約1.6kg)で、これまた格安ビジネスノートPCとしては人並みだけど、 X1 Carbonとは1ポンド(454g)以上開きがあるので、バッグで持って違いがわかる差です。

おすすめの構成では、パームレストのところに指紋センサっぽいのが見えますが、これはお飾りです。ちゃんと使える指紋センサ(や顔認識赤外カメラ)を搭載するには高めのbuilt-to-orderバージョンの購入が必要。メモリとストレージの換装が面倒じゃないなら、HPの割高な値段を払うより、おすすめバージョンで買ってSSD換装したほうが安上がり。

同じくらいオススメ: Lenovo ThinkPad L14(Intel)

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Photo: Andrew Cunningham

同じくらいオススメ:Lenovo ThinkPad L14(Intel)

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X1 Carbonより大きくて重いけど、L14は安くて拡張性が高いのが強み。ThinkPadのキーボードとトラックパッドの良さはそのままに、ビジネスノートPCとは思えない価格で抜群のバッテリー持ちを手に。編集時点で日本発売価格18万6010円。

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重さがぐんと増えて、バッテリー持ちがやや減っても気にならない人にはLenovo ThinkPad L14。もっと安価にX1 Carbonのメリットがほぼすべて手に入りますよ(編集時点で18万6010円)。X1 Carbonより1ポンド(454g)以上重いけど、性能は同じで、快適なキーボードとトラックパッドも同じ、液晶も似ていて、バッテリー長持ち、メモリは自分で換装できて、お値段は控えめです。大きいのでmicroSDカードリーダー、LANポートなどのポート用のスペースはX1 Carbonよりあります。

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L14もキーボードとトラックパッドは最高。X1 Carbonに比べても遜色ない
Photo: Andrew Cunningham

L14のキーボードも真ん中が少しくぼんだキーからバックライトにいたるまで、X1 Carbonのよさをそのまま備えています。ThinkPadのキーボードとトラックパッドは大体どれも同じなので、ひとつでも使ったことがあるなら大体想像がつくと思います。テストしたL14の14インチ1080p液晶は、445 G7よりは明るいけど、X1 Carbonほどではなかったです(テストしたのは300nitバージョンです。250nitバージョンのほうが445 G7の液晶には近いはず)。直射日光の使用向きってほどではないけど、使えることは使えます。屋内の使用はもちろん大丈夫。

L14には、X1 Carbonにはないものを含め、ほぼすべてのポートがついています。microSDカードスロット、HDMIポート、ギガビットのLANポートもあるし、X1 Carbonと違ってメモリの換装もできるので、ニーズの変化に合わせて拡張できるのが違い。アップグレードや修理の手順はLenovo公式サービスマニュアル(PDF)で。X1 Carbonも大抵のことは修理できますが、筐体内に部品が密に詰まっていないL14のほうがキーボードなどのコンポーネントの交換は楽です。

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左にはThunderbolt 3ポート2基(1基はLenovoドッキングポート兼用)、USB Type-Aポート、HDMIポート、microSDカードスロット、LANポート
Photo: Andrew Cunningham
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右にはヘッドホンジャック、USB Type-Aポート、セキュリティロックスロット
Photo: Andrew Cunningham
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L14もカメラの目隠しカバー付き
Photo: Andrew Cunningham

ThinkPad L14のバッテリー持ちは実測10時間弱でした。ThinkPad X1 Carbon(12.5時間)とProBook 445 G7(7.1時間)の間くらい。アフター5も残ってる感じですね。重さは3.6ポンド(約1.6kg)であるほうだけど、格安ノートやミッドレンジのビジネスノートPCは大体この重さですし、以下でおすすめするThinkPad E14やDellのVostro 14 3490よりは軽いです。L14には指紋センサや顔認識赤外カメラを両方搭載できますが、ここは指紋センサだけにするのがおすすめ。両方払っても結局使うのは片方なので毎度ひとつ選ぶよう推奨中です。もし高価になっても構わないなら、built-to-orderバージョンのL14を購入すれば両方追加できますよ。

こちらもオススメ

弱点が最低1点あって惜しくも選外になりましたが、ここまでに紹介したイチ押しモデルがニーズに合わない場合や在庫切れの場合は、次に紹介するモデルも買って損のないオプションです。

Dell Latitude 5410

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大きめの68 Whバッテリーバージョンを選べば、Dell Latitude 5410ひとつでLenovo ThinkPad X1 Carbonのバッテリー持ちとLenovo ThinkPad L14のメモリ拡張性(と重さ)を両得できます。おすすめの構成ではL14より割高ですが(編集段階で18万6400円)、購入時にDELL割引きキャンペーンがあるかないかで価格は結構変わってきます(編集段階ではクーポンコードがあり、入力すると35%オフの12万1160円になります)。Latitude 5410のキーボードは快適で、トラックパッドも精度よしなのですがボタン付きなので、ボタンなしに慣れた人は少し慣れが必要です。この構成で買うと指紋センサや赤外線カメラは付属しないので、欲しい人はDellの魔のコンフィギュレーションページをクリアして別払いで追加を。

Lenovo ThinkPad T14s AMD

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ThinkPad X1 CarbonにはAMD Ryzenプロセッサ搭載版がありません(Intel第10世代Coreより全体的な処理性能とグラフィックス性能が上)。それに一番近いのがLenovo ThinkPad T14s(AMD)です(編集段階で16万5880円)。重さは2.8ポンド(約1.3kg)でX1 Carbonより半ポンド(227g)近く重いし、バッテリーはX1 Carbonが実測12時間なのに対したったの8時間。ですが、T14はX1 Carbonの上質なキーボードと基本デザインを備えつつ、価格はざっと半額です。処理スピードを上げたい人や軽くゲームしたい人にはAMDのほうが今はベターチョイス。今年のThinkPad Tシリーズはどれもそうですが、T14もメモリスロットはないので、買うならメモリ16 GBで購入しましょうね。

Lenovo ThinkPad T490

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前回のイチオシのLenovo ThinkPad T490もまだ発売中です(編集段階で日本のオフィシャルストアでは在庫なし)。こちらはX1 Carbonより1ポンド(454g)近く重いけど、microSDカードスロット、フルサイズのLANポート、Thunderbolt 3ポート、メモリスロット付きでDIYアップグレード可能(8GBや16GBは基板にはんだ付けなのでアップグレードはできません)。 X1 Carbonは軽いのでポータビリティと操作性は上ですが、T490は「L14より少し軽いのがいい。でもメモリスロットはあきらめたくない」という人には最高のオプション。

今後の注目点

HPが2020年5月に発表したEliteBook 845 G7もそろそろリリースのタイミング。こちらはAMD Ryzenノートでメモリ増設が可能。ほかにも上質なビジネスノートPCに編集部が求める全要件を満たしています。重さはタッチ非対応バージョンで3ポンド(約1.4kg)。価格とバッテリー持続時間次第では、Lenovo ThinkPad L14やDell Latitude 5410に強敵現る!? 発売になり次第テストしますね。

競合リスト

少し前のIntel Core第8世代、AMD Ryzen 3000シリーズ搭載ノートはテストを見送りました。Intel第8世代チップは健在ですが、ちょっと古いので在庫切れや販売終了のおそれがあるからです。Ryzen 3000搭載ノートは過去のテストでIntel第8世代、第10世代やRyzen 4000シリーズほど性能・バッテリー持続時間が伸びなかったため割愛に。

13インチMacBook Pro16インチMacBook Pro読んで字のごとくプロ向けノートです。WindowsよりmacOSが希望の方のためにMacBooksガイドも特集しましたが、ビジネスノートの拡張性と修理可能なことという基準は満たしていません。修理しづらくて、(通常は)換装不能。ポートも少ないのでドングルが山のように必要です。軽量で液晶よし、キーボードとトラックパッドも充分で、Appleサポートも迅速&丁寧なのですが、本稿の対象には含まれません。

Lenovo ThinkPad T14シリーズThinkPad T14s(Intel版)古いTシリーズはX1 Carbonより拡張性があって、Thunderbolt 3のような高級装備も魅力で長年イチオシだったのですが、 T14 とT14sはメモリ換装不能に…。X1 Carbonよりずっと重くて、同等スペックで比べてもたいして安くないんですね。両方ともX1 CarbonにはないmicroSDカードスロットがあって、T14はフルサイズのLANポートもあるんですが(ドングル不要)、総合点ではX1 Carbonに軍配。

Lenovo ThinkPad X1 Carbon Gen 7拡張性でイチオシだったモデル。今も販売中です。普通は同等スペックで比べると価格は変わらないのですが、Gen 8モデルよりずっと安いならこっちが買い。Wi-Fi 6がなくて、Intel第8世代チップのバージョンがあることを除けば、液晶、処理性能、ポート、バッテリー駆動時間、そのすべてにおいてGen 8とほぼ変わりません。

Lenovo ThinkPad E14メモリスロットが2基あるビジネスノートPC。通常1,000ドル未満で(編集段階で6万2920円から)、バッテリー持ちは7時間ちょい。HP ProBook 445 G7といい勝負ですが、445 G7より4分の1ポンド(約113g)ほど重く、価格は100~300ドル高め。445 G7のAMD RyzenのほうがE14の同等のIntelチップのものより高性能です。

Lenovo ThinkPad E14 Gen 2 AMD総合点ではProBook 445 G7に軍配だけど、それに近いのがE14 Gen 2 AMD(テスト機を探したときには未発売でした)。AMD Ryzen内蔵で重さ約1.6kg。上質なビジネスノートの基準は満たしています。ThinkPadのキーボードとトラックパッド付き。ただ、445 G7のほうがUSB Type-Aポートが1個多くて、SDカードリーダーもついてて、メモリスロットも1個ではなく2個で、値段も若干控えめです(編集段階で14万4100円から)。

HP ProBook 440 G7テストはしませんでしたが、サイズもポートも重さも445 G7と基本的に同じです。ただ内蔵チップはAMD RyzenではなくてIntel第10世代。低価格でもっと高性能(日本では現在オフィシャルでの取り扱いなし)。

HP 340S G7HP最安ビジネスノートPCですが、テストは見送りました。ProBook 445 G7より安くもないのに、ポートは少なくて、バッテリーは小さくて、筐体はプラスチックでビジネスノートほど頑丈じゃありません。買うなら445 G7に。

Vostro 14 3490Vostro 14 5401Vostro 14 5490などDell Vostroラインの一部の製品はテストを見送りました。格安ビジネスノートPCなのに価格がProBook 445 G7並みかそれ以上します。もっと遅いIntelチップで、IPS液晶パネルも使っていません。

Dell Latitude 3410サイズ、重さ、スペックはThinkPad L14並みで、ビジネスノートPCの最低基準を満たしているんですが、テストできませんでした。ずっとThinkPadのキーボードびいきで通していますが、DellはノートPCのコンフィギュレーション上、バックライト付きキーボードや指紋センサが探しづらくて、価格もLenovoのコンフィギュレーションより割高(編集段階ではThinkPad L14に近いスペックで生体認証がないモデルが7万9980円〜だったりしたので日本だと事情が逆転してるかもしれません)。それでもLenovoよりDellが好き、ThinkPadよりLatitudeという方にはL14よりこっちを検討すべし。

Dell Latitude 7410HP EliteBook x360 1040 G7など:メモリ増設ができないハイエンド製品はテストを見送りました。X1 Carbonより重くて、高め(翻訳段階でDellは24万1900円~、HPは19万9800円)。それでもいいから2 in 1のコンバーチブルが欲しいのだ!というニッチ層向け。


ギズモード・ジャパン編集部からのおすすめ

日本での販売価格等を考慮すると、以下の製品もおすすめです。

第10世代Core i5搭載メモリ16GBSSD512GB、ディスプレイサイズは13.9インチの3K(3000×2000)。それでいて約14万円という強烈なコスパを誇ります。コネクタはUSB 3.0 Type-A×1+USB 3.1 Type-C×2と今回の記事内では少ない部類でパーツ換装もできませんが、それを補ってあまりある魅力があります。

LG gram
LG gram

153,780円

14インチにも関わらず999gと超軽量なのがウリ。CPUも第10世代Core i5です。コネクタ類はそれなりで、USB Type-C×1(Thunderbolt3)、HDMI×1、USB3.0 Type-A×2、Micro SDカードスロット。メモリ8GBで自分でのパーツ換装も不可ですが、LGに送れば増設してもらえるため、「後で必要になったらアプグレ」という選択がとれます。Amazonのタイムセールで安くなってるときが狙い目。

MSI Modern14
MSI Modern14

99,788円

Ryzen 5搭載メモリ16GBSSD512GBかつ10万円切りという“強い製品”です。コネクタ類は少なめで、USB3.2 Gen1 Type-C×1、USB2.0 Type-A×2、HDMI×1ですが、USB-Cハブなどを使うのに抵抗がなければそのコスパが輝くことでしょう。


脚注

1. 一部のIntel Wi-Fiカードは基板にはんだ付けになっています。

2. Intel Core i3ノート用チップのシリーズは2コア、AMD Ryzen 3シリーズは4コア、Core i5は4コア、Ryzen 5は6コア、Core i7は4コアか6コア、Ryzen 7は8コアです。

3. マイナスドライバー、ナイフ、ほかの金属の工具は使用しないこと。傷・割れの原因になります。

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Image: Wirecutter, ギズモード・ジャパン

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