本格ホームプロジェクター買うならどれ? 米国人気メディアがガチ比較

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本格ホームプロジェクター買うならどれ? 米国人気メディアがガチ比較
Image: Rozette Rago

コロナで映画館行くのはちょっと…。そんな今だから、おうちシアター!

最近はプロジェクターも小型化が進んで、ちいさなお部屋でもプライベートシアター化が可能です。さまざまなガジェットを徹底比較してオススメを言い切る信頼の米国メディア「Wirecutter(from The New York Times)」 が、今いちばん狙い目なホームプロジェクターを選んでくれました!


おすすめなホームプロジェクターたち

ホームプロジェクター総合ベストのJVC DLA-NX5は、今回テストした1000ドル以上1万ドル未満(10.6万~106万円)未満の製品群ではコントラスト比、ブラックレベルともに最高でした。当分トップは不動かも。4K、HDR、広色域に対応しており、本格プロジェクターに求められる深みのある4Kの迫力映像がポイントです。

イチ押し: JVC DLA-NX5(日本名DLA-V5

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総合的な映像のクオリティは、テストしたプロジェクターのなかでは最高でした。

価格:6000ドル/日本75万円(国内希望小売価格)

JVC DLA-NX5はHDも4Kもよしで、コントラスト比、豊かな色、ディテールが違います。HDRの動的トーンマッピング処理に優れ、明るい部分もディテールが飛びません。4K最新DCI/P3規格の広色域にほぼすべて対応しており、赤、青、緑の原色もいっそう色鮮やか。自動レンズシステム、スクリーン画質プレ設定もあってプロじゃなくても簡単に設定できます。リビングなどの共用スペース向きではないし(そちらのおすすめはここ)、テスト機では一番サイズが大きかったけど(設営したら動かしたくない)、ホームシアタールームづくりで頼れる1台。

JVC DLA-V5

JVC DLA-V5

627,541円

コスパで選べば: Epson Home Cinema 5050UB(EPSON EH-TW8400相当)

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HDRと広色域に対応ですが、ディテールとコントラスト比は特上の4Kプロジェクターにはおよびません。

価格: 2744ドル(執筆段階で2700ドル)/ 28万4345円(翻訳段階)

1080pで充分だけど、4K映像とカラー、HDRのコントラストのディテールを格安で向上させたい。そんな人にはEpson Home Cinema 5050UB。光学シフト搭載の1080p LCDパネルで4K相当の高画質を再現してくれますよ。4K解像度フル対応じゃないけど、HDR10対応で、DVI色域のカバレッジはJVC DLA-NX5に迫るもの。レンズコントロールは全自動。設定オプションは柔軟。

同じくらいオススメ:Sony VPL-HW45ES(VPL-HW60相当)

20201003Sony-VPL-HW45ES

Sony VPL-HW45ESは1080pのプロジェクターです。 豊かな色彩とコントラストで、目にも鮮やかな映像が楽しめます。

価格:1998ドル(執筆段階で1575ドル)/24万9880円 (定価)

4Kプロジェクターが予算オーバーで、4K映像に当面変える予定がないあなたは、1080pホームシアタープロジェクターのSony VPL-HW45ESVPL-HW60B)で決まり。ブラックレベル、コントラスト比はテストした1500ドル(約15万8000円)未満の低価格帯の4Kプロジェクターに比べてもまだ上です。カラーは作品に忠実で、明るさも充分。設定は柔軟、ゲームも遅延ストレスが抑えられています。

プロジェクターレビュー歴10年が選びました

今回ガイド役を務めるのは、10年近いプロジェクターレビュー歴を持つSF2級認定映像調整エンジニアのChris Heinonenです。プロジェクターの客観評価に欠かせない全機材と遮光設備を備え、これまでにハンズオン評価したプロジェクターは300ドルのものから6万5000ドルのものまで(約3万2000円~690万円) のものまで数十種。キャリブレーションの腕はプロです。

「しっかりとしたプライベートシアター」を作りたい人のための記事です

空いているお部屋をプライベートシアターにしたいなら家庭用プロジェクターはマストアイテムですけど、本稿で紹介する製品はどれも遮光空間を念頭に開発されたものです。低価格帯のプロジェクターにはないメリットはいろいろありますが、黒が深くて、明暗のコントラスト比が抜群なこともそのひとつ。光が差し込むと黒が飛んでしまって、遮光カーテンやシェードで閉め切れるお部屋があるなら日中も視聴OKですけど、ないおうちだとメリット半減ですので、低価格帯のプロジェクターがベターチョイス。

真っ暗な空間と同じくらい大事なのが上質なスクリーン。これは白やグレイの均一拡散のマット系より、スクリーンゲイン(反射特性値)のあるものが理想です。壁に投射すると、適正なスクリーンより50~70%暗くなってしまって、HDRもまったく再現できません。その点、ゲインがあれば、明るい映像とHDRのハイライトはぐんと引き立ちます。もちろん大型スクリーンではHDR再現度はやや目減りしますが、テスト機はみな充分な明るさで約130インチ(対角線の長さ)までいけました!

同様に、吊り下げられる天井があることもホームプロジェクター購入には欠かせない条件です。テスト機はどれも結構なサイズで、リビングチェアやテーブルに置けない感じ。簡単に移動もできません。安価なプロジェクターがノートPCを何台か重ねた大型本のサイズなのに対し、ホームシアター用のものはホームシアターAVレシーバーに近いサイズ感ですので、設営は視聴の妨げにならない場所が必要です。

なお、ホームシアター用プロジェクターはスピーカーが内蔵されていなくて、サウンドシステムは別売になります。HDMIポートが2基だけなので、別売の入力ソース切り替え用機器もたぶん必要。ふつうは専用のAVレシーバーがペアで販売されていますが、サウンドとソースの切り替えで付属品が要ることも念頭に入れておきましょうね。以下のプロジェクターはすべてTVチューナー非搭載なので、地上波放送を観る場合は外部チューナーも別途購入になります。

上質なホームプロジェクターの4条件

上質なプロジェクターは画質で決まります。画質を決めるのが次のコントラスト比、輝度、色再現性、色域という4つの要素です。

コントラスト比一番明るい部分と暗い部分の輝度の差のこと。画質では一番重要な要素です。プロジェクターもテレビもこれが低いとメリハリとインパクトに欠ける冴えない映像になってしまいますからね。最新のプロジェクターの多くは高いダイナミックレンジに対応しており、従来より大きな明暗差を再現できるのが特徴。HDR再生にはHDR形式のコンテンツとそれを正しく再現できるプロジェクターが必須です。

輝度:プロジェクターの光出力とも呼ばれ、明るさはもとよりスクリーンのサイズとタイプ(後述)を決める要素でもあります。プロジェクターは暗い部屋では使わないのでテレビほど明るくなくてもいいですけど、やっぱり輝度が高いほどHDR映像の出方はきれい。

色再現性:作品の色をどこまで忠実に再現できるかを指します。TシャツならTシャツで、監督とカメラマンが撮影のとき意図した色のままスクリーンに映し出されなければなりません。グレースケール(白~黒の階調)も自然で、階調とびがないのが理想。

色域:何色まで再現できるかを指します。Ultra HD(UHD)のほうが標準HDより広く、最近は劇場シネマと同じDCI-P3色域の映像が主体になり(さらに広いRec 2020の色空間が最終ゴール)、プロジェクターで再現できる赤、青、緑もますます広がっています。全製品が全色カバーとは限りませんが、全色いけるプロジェクターもあります。

選定基準

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Photo: Rozette Rago

プロジェクターにはLCD(透過型液晶:liquid crystal display)、LCoS(反射型液晶:liquid crystal on silicon)、DLP(Digital Light Processing)の3つの方式があり、DLPはLCDやLCoSより動きを滑らかに再現でき、3D映像特有のクロストーク(混線)が少なく、全体的な映像は均一&良質ですが、コントラスト比はLCDやLCoSに劣るため、並べて比べるとDLPのほうが色褪せてフラットに見えがち(安いDLPの製品は明るい部分に虹色ノイズが入るレインボーエフェクトも一般的)。なので低価格帯のプロジェクターのおすすめはDLPですが、本格ホームシアター用には通常LCDとLCoSのほうがおすすめという棲み分けがあります。

今は4K映像も再生機器も4K Blu-rayプレーヤーストリーミング対応端末がますます身近になってきました。今回のレビューでは低価格帯の1080p対応プロジェクターも候補にあがりましたが、4K HDR信号を正しく入出力できるプロジェクターに重点は移っています。さきほど説明した画質に加え、4Kプロジェクターの評価では次の4つの基本を確認しました(重要度は順不同)。

・4K解像度の映像をスクリーンに表示できること

・HDR動画対応で、正しく表示できること

・Ultra HDの色域より広い色域を再現できること(再現度も)

・HDMI 2.0b入力ポートがあること

4つのうち3つ以上がYESであることを4Kプロジェクターのテスト機の条件としたのですが、面白いことに、画質を総合点で見た場合、「本物」の4Kかどうかは重要度が一番低いんですね。プロジェクターは4Kパネルで解像度をフルに再現できるもの(JVC DLA-NX5、Sony VPL-VW295ESなど)と、光学シフトという処理(幅1920ピクセルの出力をレンズの力で補正)でそれに近いものを再現しているもの(Epson 5050UB)に分かれます。両方とも精密さは1080pプロジェクター以上ですが、アプローチが違うんですね(どのみち今の“4K”コンテンツは2Kのデジタルマスターから引き伸ばされているものが大半ですが)。

4Kの質でもっと大事なことは、プロジェクターがHDR情報を正しく再現できるかどうかでありまして、HDR映像に関しては、TVよりプロジェクターのほうが評価しづらい面があります。なぜなら画面サイズ、投射距離、スクリーンゲイン、電球の使用年数など、さまざまな不確定要素に左右されるからです。これがTVなら、同じHDR対応TVで比べても最大輝度は同じ。プロジェクターは、HDR映像のほうが処理は複雑なので、どうしてもSDR映像より画質に個体差が出てしまいます。

あと、広色域のDCI-P3規格の色をどの程度再現できるかもテストでは点検しました。その結果、テストしたプロジェクターはすべて広色域で輝度が下がることが確認されましたので、DCI-P3対応のプロジェクターであっても広色域は有効にしないほうが無難かもしれません。

最後のHDMI 2.0b端子はHDRの4K信号の受け皿で、HDMI 2.0bには10.2 Gbpsと18.0 Gbpsの2種類があります。大部分のHDRコンテンツは10.2 Gbpsで大丈夫ですけど、18.0 Gbpsで接続しないとフル解像度や最適なリフレッシュレートで表示できないコンテンツも一部あります。価格に見合うベストな画質を確保する意味でも、ここは18.0 Gbps対応のプロジェクターのみをテストの対象としました。

テスト方法

プロジェクターはすべて自宅のホームシアタールームに設営しました。使った画面は92インチのStewart StudioTek 100スクリーン(ゲイン1.0)。計測ツールは発色の正確さを測るCalMAN 2018ソフトウェア、i1Pro2分光計、SpectraCal C6 HDR測色計です。ソースジェネレータMurideo Six-Gのテストパターンを使って一番正確なモードを検出し、HDR映像のトーンマッピングが最適化されるよう調整しました。HDR映像はPanasonic UB820 4K Blu-rayプレーヤー、ストリーミング映像はRoku PremiereかAmazon Fire TVからそれぞれフィードし、標準Blu-ray映像はもう1台のPanasonic UB820プレーヤーからフィードすることで、4KとBlu-rayを直接比較したり、MonopriceのHDMIスプリッターで同じ映像信号を複数のプロジェクターにフィードしながら1台の出力を止めて切り替えて直前の映像と比べたりしました。

イチ押し:JVC DLA-NX5(日本名DLA-V5

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Photo: Rozette Rago

イチ押し: JVC DLA-NX5(日本名DLA-V5

20201002JVC-DLA-NX5

総合的な映像のクオリティは、テストしたプロジェクターのなかでは最高でした。

価格:6000ドル/日本75万円(国内希望小売価格)

JVC DLA-NX5は、ミニカー並みの予算がなくても手が届く価格帯でベストな4Kプロジェクターです。テスト機では、コントラスト比(なんと21,494:1)、輝度ともに最高を記録しました。DCIの広色域をほぼ完全にカバーしているので、最高のHDR映像が味わえます。JVCはこれまで、光学シフト搭載の1080pパネルで4K並み映像を再現していましたが、今年は完全な4K D-ILAパネルに脱皮。レンズは全自動で設営はかんたんで、箱から取り出したままの状態で正確な設定の映像を投射。映像はテストした中では、比較材料として用意した有機ELテレビに一番近いもので、サイズと重量も最大でした。

JVC DLA-V5

JVC DLA-V5

627,541円

映像クオリティが極めて高い

テストは一番最後のトリだったけど、1分見るだけで違いがわかりました。反射型液晶(LCoS:Liquid Crystal On Silicon)を応用したJVC独自のD-ILA技術により、テスト機中もっともダークな黒を表現。ピーク輝度はライバルと大差ないのに、黒が効いているので全体が引き締まって見えるんですね。ハイライトはより明るく引き立ち、夜のシーンではほかのプロジェクターではわからないディテールまでわかる感じ。あと、ほかのプロジェクターではレターボックスとわかる黒帯が、JVCでは闇に溶け込んで見えます。

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今年はリモコンが大変身。小型なのにバックライト搭載で使いやすくなりました
Image: Rozette Rago

何より大事なことは、ブラックレベルが優れているので、高ダイナミックレンジ(HDR)の映像も標準ダイナミックレンジ(SDR)の映像の質も底上げになっていることです。これなら4K番組と無縁の人でも競合以上の画質で味わえそうです。かつて標準画質がハイビジョン(HD)に置き換わったように、4K市場が成長してHDから主役の座を奪うまでにはあと何年かかかりますし、DLA-NX5なら今あるHD映像を最高のコンディションで味わえますよ。

NX5の優れた黒の再現性を支えるのは、D-ILA対応チップとダイナミックアイリス(暗いシーンで発する光量を自動的に絞る技術)。プロジェクター泣かせのハリポタのラストシーンも楽勝でクリアできました。ダイナミックアイリス搭載のテスト機はほかにもありましたが、反応が遅くて光の出方が不自然だったり、補正の音が響いて視聴の妨げになったりしました。

DLA-NX5はHDR映像の処理が、ほかの多くの4K対応プロジェクターより上でした。トーンマッピングを有効にすると、彩度と全体の明度、眩しい部分の細部までしっかりキープ。映画『PAN ネバーランド、夢のはじまり』の太陽も競合はくすんでしまったけど、JVCは黄とオレンジの輝きが生き生きと再現されました。HDRトーンマッピングの調整も競合より幅広くでき、各自のスクリーンサイズとゲインにジャストフィットで全体の画質を最適化できます。JVCのマニュアルにはコンテンツ別設定ガイドもあるので、ビギナーはまずここからはじめてもいいでしょう。

DLA-NX5は赤、緑、青(とその中間色)の濃淡もほかのテスト機よりピュアで、今の4K映像のDCI-P3の広色域に対応。今後普及するRec.2020の色空間もカバー率76.6%で、テスト機の中では2位でした(1位は78.2%、低いもので54%)。つまり4K映像の色を幅広く表示できるということになります。ただ、広めの色域に対応すると当プロジェクターは輝度が目減りします。うちの92インチスクリーンでは無問題でしたが、もっと大きなスクリーンの方は、広色域をあきらめて輝度をとるほうがキレイと感じるかもしれません。

設営も比較的ラク、運用・操作もしやすい

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DLA-NX5の18 Gbps HDMI 2.0端子2基はねじ付きなので、長いケーブル(意外と重い)も安心
Image: Rozette Rago

DLA-NX5はフル18.0 Gbps帯域幅で受信できるHDMI 2.0端子が2基ついてます。ほかは1基だけだったり、フルでは18.0Gbps帯域幅で受信できなかったりするものが多くて、今のHDR映像と互換性がなくて、非互換のHDR映像は今後増えることも予想されます。HDMI端子1基で間に合わせている(受信機側で入力を切り替えている)人も多いと思いますが、1基壊れたときのスペアとして2基あるに越したことないです。

レンズは自動なのでJVCの設営は比較的ラクです。フォーカスもレンズシフト(上下80%、左右34%)もズーム(2倍)も本体のダイヤルやボタンに手を伸ばさなくてもリモコンでらくらく操作。スクリーンに立って調整できるので、人に頼まなくても簡単に焦点ダイヤルを合わせられるのもポイントです。16:9以外のスクリーン形状(2.40:1のシネマスコープなど)の場合は、複数のレンズ設定を保存しちゃえば、毎度レンズを設定し直さなくてもアスペクト比をスクリーンにジャストフィットさせることができます。

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LA-NX5のレンズカバーは手で開けます。ちなみにEpson 5050UBは自動開閉式
Photo: Rozette Rago

DLA-NX5は開梱してすぐ使ってもかなり映像精度が高く、スクリーンに合わせて出力調整できるオプション付き。人気スクリーン素材100のリストを見て該当する番号を入力すると、自動的にその調整が適用されます。スクリーンはそれぞれ色が違うので、プロにキャリブレーションを頼まなくても一発で正確な映像を手にできるのはうれしいですよね。もちろんプロに頼んだほうが正確ですが(テレビは通常そこまで推奨しませんが、 プロジェクターは頼んで損はないです)。もし頼むなら、JVC DLA-NX5ではキャリブレーションコントロールの種類がテスト機のなかで一番揃っているので、HDRでもSDRでもお部屋と環境に合わせていろいろ幅広く調整できます。ほかのテスト機も基本のキャリブレーションコントロールは整っているけど、この面ではJVC DLA-NX5に軍配。

買うのをやめるほどじゃないけど残念な点

DLA-NX5は自動トーンマッピング機能付きで競合よりHDR映像をきれいに楽しめますけど、それでもHDR映像はプロジェクターの泣きどころ。このJCV製品では、HDR映像のメタデータをもとに最も忠実な色を再現しているのですが、全HDR映像にメタデータが含まれているとは限りませんからね。ベストな4K Blu-rayプレイヤー特集でアップグレードのおすすめに選ばれたPanasonic DP-UB820と組み合わせて楽しむと本JVC製品の画質は最高で、JVC製品に送る前にPanasonic製品側でカスタムのトーンマップをHDR映像に適用するので(これでメタデータ付きになる)、JVC側でもっと簡単に正しく表示できるんですけどね。ちなみにこのPanasonicのトーンマッピング機能はどのテスト機でもプラスに作用しましたが、これ抜きのHDR映像処理に関してはJVCが一番でした。

このプロジェクターは巨大です。JVCの旧モデルも巨大でしたが、DLA-NX5はそれに輪をかけて巨大で、重量なんと43ポンド(約19.5kg)。普通の天吊り金具で天井に吊り下げられるってレベルじゃないです。新しいシアタールーム用の備品購入では、前のJCVプロジェクターの重量で最適なマウントを買ったんですが、それでなんとかもってます。

もうマウントがある方は、通常のネジパイプに取り付けるカスタムのJVC専用ブラケットを取り扱っている会社もありますけど購入の前に、今あるマウントの荷重限度とサイズの限度をかならずチェックしてくださいね。

DLA-NX5のモーション処理は映画・テレビを楽しむ分にはいいのですが、スポーツとビデオゲームの再現性能に関してはほかの一部プロジェクターのほうが上でした。JVCはゲームモードで入力ラグが45ミリ秒で、大体のゲームは大丈夫だけど、D-ILAパネルはDLPほど反応が速くないので、モーションブラーが少し出てしまいます。JVCでビデオゲームしても自分は十分だけど、Sony VPL-VW295ESのほうが低遅延でモーションブラーもやや少なめ。

ほかのプロジェクターはもう内蔵されていますが、DLA-NX5で3D視聴をする場合には、別売の3Dメガネ・トランスミッターを買って設営しなければなりません。さらに3Dメガネも必要です。

JVC DLA-V5

JVC DLA-V5

627,541円

コスパで選べば: Epson Home Cinema 5050UB(EPSON EH-TW8400相当)

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Image: Rozette Rago

コスパで選べば: Epson Home Cinema 5050UB(EPSON EH-TW8400相当)

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HDRと広色域に対応ですが、ディテールとコントラスト比は特上の4Kプロジェクターにはおよびません。

価格: 2744ドル(執筆段階で2700ドル)/ 28万4345円(翻訳段階)

最高のコントラスト比、ネイティブ4K解像度もいいけど、そこまで出費せずに4K HDR映像を楽しみたいなら、Epson Home Cinema 5050UBが一番。光学シフト搭載の1080p LCDパネルで4K相当の高画質を再現しているだけなので、4Kフル対応のプロジェクターではないし、ネイティブ4K映像の細部はJVC DLA-NX5ほど鮮明ではありません。また、コントラスト比も4,400:1と低めなので、HDR映像の出方もそこまでではありませんが、HDRのハイライト部分は細部表現もずっとしっかりしています。色域カバレッジはJVC DLA-NX5に迫るもの。レンズコントロールは全自動。設定オプションは柔軟です。

5050UBはとにかく1080p映像の出方が最高で、今の映像の大多数はこれ1台でいけそう。広色域にも対応していますが、有効にすると明るさが実測236nitから105nitに目に見えて激落ちします。HDR映像は広色域にあえてしないで明るいハイライトで楽しむほうがWirecutter編集部好みでした。JVCは広色域に設定してもまだこれより明るかったですけどね。

5050UBもHDR映像のトーンマッピング処理内蔵です。JVC並みではないけど、スクリーンに合わせてハイライト領域の細部と明るさを調整できますよ。

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Epsonは今年4K 60Hz互換の18GbpsのHDMI 2.0端子も加えました
Image: Rozette Rago
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リモコンはずっとこれ。バックライト付きで機能まるわかり
Image: Rozette Rago

5050UBは取り付けが簡単で、レンズコントロール(黒帯抜きで16:9以外のアスペクト比に整えられる)、2.1倍ズーム、広範囲なレンズシフト(上下96.3度、左右47.1度)付き。ひとつ惜しいのは、映像信号種別を自動的に識別して正しい映像モードに切り替える機能がないことで、SDR映像用には「ナチュラル」モード、HDR映像用には「ブライトシネマ」モードに設定したんですけど、自分で名前を覚えておいてモード切り替えしなきゃならないので少しめんどかったです。

4Kプロジェクターが高すぎるなら:Sony VPL-HW45ES(VPL-HW60相当)

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Photo: Chris Heinonen

同じくらいオススメ:Sony VPL-HW45ES(VPL-HW60相当)

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Sony VPL-HW45ESは1080pのプロジェクターです。 豊かな色彩とコントラストで、目にも鮮やかな映像が楽しめます。

価格:1998ドル(執筆段階で1575ドル)/24万9880円 (定価)

ここまで紹介した本格4Kプロジェクターがどれも予算オーバーなら、4Kの安物買うより、Sony VPL-HW45ESみたいな上質な1080pプロジェクターが狙い目です。低価格帯(1500ドル[約15万8000円]未満)の4Kプロジェクターもこれまでテストしてきましたが、どれと比べてもVPL-HW45ESのほうが上です。黒はひときわダークな漆黒で、安価な4Kプロジェクター(や同じ価格帯の1080pプロジェクター)よりずっと飛び出て奥行きも出ますし、カラーは作品に忠実で、明るさも充分。また、レンズはお部屋に合わせて柔軟に設営・設定できます。

VPL-HW45ESには「リファレンス」モードというのがあって、試してみたところ制作者の意図にかなり近い映像を再現できました。色は豊かでピュア。肌のトーンまでリアルで、日焼けみたいに赤くなりません。コントラスト比もほどよくて(実測4600:1)、影のディテールを残しながら深みのある黒、輝く白を表現できます。ちなみに投射スクリーンのおすすめに本製品の「低」のランプモードを組み合わせて使ったときの輝度は65nitで、SMPTE(米国映画テレビ技術者協会)が推奨する48~55nitより高め。「高」はなんと155nitで液晶TV並みに明るかったです。

テストでは、VPL-HW45ESの遅延低減モードをONにした途端、106ミリ秒から22ミリ秒にラグが激減しました。歴代最短水準で、テストしたどのプロジェクターよりもよかったです(これを凌ぐのはテレビ1台だけだった)。VPL-HW45ESならゲームして負けても道具のせいにはできないので、そのストレスもありませんね。

VPL-HW45ESは、大半の安い4Kや1080p対応の製品よりズーム性能よし(1.6倍)、レンズシフトよし(上下71度、左右25度)で、設置場所を選びません。スクリーンの中心から少々ズレても映像は正しく照射できます。4Kのおすすめ製品みたいな自動レンズコントロールはないので、ズーム、フォーカス、レンズシフトはリモコンではなく本体側で調整になります。

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Sony VPL-HW45ESはHDMI 1.4端子が2基ついてます。12VトリガーとLAN端子はナシ
Photo: Chris Heinonen

VPL-HW45ESは12Vトリガー端子がないので、するする降りてくる電動スクリーンの電動巻き上げは使えません。LANポートもないので、IPコントロールを使うスマートホーム(Control4やCrestronなど)を使うには、めちゃ長いIRリレーケーブルをVPL-HW45ESに差し込んでサードパーティー製コントロールシステムで操作するなりの迂回策が要ります。

今後の注目点

今回のおすすめはどれも数年落ちなんですけど、JVCもEpsonもSonyもこれに代わる本格ホームシアタープロジェクターの新製品はまだ発表していません(原文執筆時点。記事編集段階では、新製品を出しているメーカーもあり)。例年なら9月のCEDIA Expoが発表の舞台なのですが今年は開催中止だし。でももし発表があるとするならその時期かなあと思います。

この間にEpson、Optoma、LG、BenQからは新型の4K互換プロジェクターが続々出ていますが、明るいお部屋向けなので、光の出方が強くて、ここでレビューしたホームシアター向けプロジェクターみたいな深みのあるブラックレベルやコントラストは出せません。そちらも評価基準を検討中ですが、価格帯はだいたい本稿と低価格帯ホームシアタープロジェクターのおすすめの中間くらいになりそうです。

競合リスト

Sony VPL-VW295ES46万1580円):ネイティブ4K解像度対応、自動レンズで、SDR画質は最高。JVC DLA-NX5に比べると、ダイナミックアイリスがなくて広色域非対応でHDR調整も限られているので、ダイナミックアイリスによってコントラストを高めたいなら1万ドル(約106万円)のVPL-VW695ESに。295ESは今回テストした4Kプロジェクターで遅延が一番少なくて、ゲームモードで36秒でした。

BenQ HT555029万8000円):DLPチップセットで4K解像度フル表示、広色域対応。ダイナミックアイリス搭載ですが、反応は遅く、使用中かなり音がうるさいです。映像はすごく鮮明ですが、ブラックレベルはLCDやLCoSのプロジェクターに劣るので、HDRもインパクトがなくて、HDR映像のトーンマッピングで白飛びもよく見られました。ゲームモードがないので遅延タイムは実測60ミリ秒。

BenQ HT355015万9184円):こちらもDLP チップセットですが、HT5550ほどレンズは位置を自由に調整できなくてシャープさに欠けます。HDR映像もほかのプロジェクターより色あせて見えることがしばしばで、色の忠実どもイマイチ。ゲームモードがないので遅延は実測60ミリ秒ほど。

BenQ HT255012万6000円):光学シフトの1080p対応DLPチップセットですが、広色域には非対応。1ピクセルの実証用パターンはほぼ識別不能で、HDR映像も同じ映像のSDR版に劣る見栄え。4K HDRのよさ台無しなので、1080p対応のみのBenQ HT2050A(日本未発売)にするか、Sony VPL-HW45ESを大人買い。

Epson Home Cinema 5040UB(日本未発売)

Epson Home Cinema 4000(日本未発売)

Optoma UHD60日本販売終了

Optoma UHZ65(日本未発売):レーザー光源だけど広色域非対応。40万円台の候補からは外れましたが、5000時間連続使用で電球交換するのが死んでも嫌な人にはいいオプション。

Optoma UHD5022万6860円)やVivitek HK2288-WH日本在庫切れ)などの最新4K DLPプロジェクター多数:BenQ HT2550と同じDLP方式採用。広色域非対応で、コントラスト比は低く、HDR映像の処理が今ひとつ及ばないため、BenQ製品をテスト後、割愛に。

Panasonic PT-AE8000U52万6907円):1080p解像度、レンズメモリ付きですが、2012年の発売から特にアップデートされていません。同じ価格帯で比べると、Sonyや Epsonのもっと新しいモデルのほうがコントラスト比、画質は上。

JVC DLA-RS4500(日本未発売)

©2020 WIRECUTTER, INC. A NEW YORK TIMES COMPANY.

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