あなたのデニムが、北極を汚染しているとしたら…?

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  • author Dharna Noor - Earther Gizmodo US
  • [原文]
  • Kenji P. Miyajima
あなたのデニムが、北極を汚染しているとしたら…?
Image: Jim Watson/AFP(Getty Images)

デニム大好き人間としてはつらいお知らせ。

新型コロナによる外出自粛生活が始まってから、ただの一度もジーンズを履いていない私。スウェットパンツをジーンズ代わりに、パジャマをドレスのように着ちゃってます。 だって1日中ソファーに座っているのに、ジーンズを履いたってしょうがないでしょ? とりあえず、ジーンズをクローゼットにしまったままで履いたり洗ったりしてない分、デニムのちっちゃな繊維が水路に流れていくのを防いでいるかもだし、環境にはいいはずですよね。

デニムを履くだけ&洗濯するだけで放出されるマイクロファイバー

アメリカ化学会が9月初旬に発表した新しい研究によると、ブルージーンズを履いたり洗濯したりするときに、マイクロファイバーやマイクロプラスチックが環境中に放出されているのだとか。とても微細な繊維なので、下水処理場のフィルターに引っかかることなく通過しちゃうため、水路に流れ込んで海洋生物を危険にさらす可能性があるとのこと。

7人の研究者からなるチームがこの調査に取り組むことになったきっかけは、カナダの北極圏群島と五大湖で行なった、マイクロプラスチックのサンプル採取だったそうです。

研究を主導したトロント大学の地球科学教授であるミリアム・ダイアモンド氏は電子メールでこう述べています。

奇妙なことに、全員がサンプルから青い繊維を見つけたんです。そこで、ひょっとしてこの青い繊維はブルージーンズのものなんじゃないかと考えたんです。クローゼットにジーンズ以上に青い繊維を含んだ服なんて持ってます?

好奇心旺盛な研究者たちは、インディゴブルーのジーンズがどんなマイクロファイバーを含んでいるのかを正確に識別する方法を調べました。化学分析と顕微鏡分析を用いて、特定の繊維がどのように見えるのか、また、どうやって他の衣類のマイクロファイバーと区別するのかを特定したんだそうですよ。

そこでたどり着いたジーンズのマイクロファイバーを他の服からのものと区別する方法を用いて、オンタリオ湖に流れ込む前の水路を調査したところ、平均で1リットルの廃水から22本の繊維が検出されたといいます。

デニムを洗濯すると5万6000本のマイクロファイバーが放出

また、繊維がどのようにしてゆるんで水路に流れ込むのかを確認するために、ジーンズを洗濯する実験も行ないました。新品と中古、そしてダメージ加工されたジーンズを使った結果、1本のジーンズを洗濯すると、なななんと平均5万6000本もの繊維を放出することがわかったそうです。これって、フリースジャケットを洗濯したときに放出される繊維の約10倍に相当するんですって。もう気持ちがダメージ加工されちゃいそう…。

高い割合でデニムの繊維が水域を汚染

次に、いったいジーンズの繊維がどこにどんな風にたどり着くのかを突き止めるために、著者らはトロント郊外の浅い湖、五大湖、カナダの北極群島から採取した堆積物のサンプルを調べたそうですよ。

で、すべての場所の水域でジーンズの繊維を見つけちゃったと。それどころか、ジーンズの繊維の割合は、明らかに他のどの素材よりも多かったとのこと。インディゴブルージーンズの繊維がマイクロファイバー全体に占める割合は、五大湖で23%、郊外の湖では12%、そしてカナダの北極圏群島では20%を占めていたそうです。どうやら北極圏には私たちが履いているジーンズの細かい断片がたくさんあるようですね…。

前出のダイアモンド教授は「まいりましたね。また人類の環境フットプリントが増えちゃいましたよ」とあきれ気味の様子。

懸念される海洋の食物連鎖への影響

なんといっても、最大の懸念は、マイクロファイバーが海洋の食物連鎖に入り込むこと。でも、今回の限られた調査では、不思議なことに魚がジーンズの繊維を食べていることを示す証拠は見つかっていません。研究チームが五大湖で捕まえたニジマスの消化管を調べたところ、65%からマイクロファイバーが見つかったのですが、近くの堆積物にデニムの繊維が多く含まれていたにもかかわらず、インディゴブルーの繊維が見つかったのは、なぜかたった1匹の魚からたった1本だけ。なんでだ?

その理由は誰にもわかりません。もしかすると、ジーンズはポリエステルの服やウール製のセーターよりもおいしくないだけかもしれないですね。まぁ でも理由が何であれ、魚が食べなかったからといって、デニムによるマイクロファイバー汚染のすべてを問題ないと言い切るわけにはいきません。ひょっとしたら他の魚や、魚以外の海洋生物がマイクロファイバーを食べているかもしれませんし、食べる以外にもマイクロファイバーが動物に害を与えてしまう方法は他にもあるそうです。例えば、マイクロプラスチックへの暴露が原因でヤドカリの認知機能が混乱してなかなか殻を見つけられなくなるという研究結果もあります。研究者たちは現在、デニムのマイクロファイバーが海洋生態系に与える影響や、直接的な影響じゃないにしても、有害な化学物質を海まで運んで汚染させる役割を果たしていないかどうかを調べているようです。

あたりまえですが、マイクロファイバーを放出する衣類はジーンズだけではありません。研究者たちはまた、アクリルやナイロン、ポリエステルなどの合成繊維からも大量のマイクロファイバーを発見しています。どうやらほぼすべての衣類がマイクロファイバーだらけのようです。地球にどんな影響があるのかについてはまだまだ学ぶべきことがたくさんありますが、私たちが履いているブルージーンズが、遠く離れた北極圏までたどり着いているという事実は、私たちのありふれた行動が意図しない結果をもたらすということを教えてくれます。

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