離れていても盛り上がれる部分=繋がれる部分はあるんだなって。
毎年恒例、秋のApple Special Event。今年は新型コロナの影響で、例年のようにアメリカ現地にメディアを集めることはせず、オンラインでの発表と相成りました。そのせいか、この2ヶ月で3回も発表会があったっていうね…Apple尽くしの秋だった…。
改めて思う、Appleイベントの「らしさ」って?
思えば、今年6月にオンラインイベントの招待状が届いたときは「あーやっぱりAppleもオンラインかー」と、納得感や期待感が入り交じる気持ちになったものです。だって、Appleのイベントといえば会場の熱量ありきですから。ステージを練り歩くティム、湧き上がる歓声、発表される数々の数字、そしてまた歓声。
そうしたオーディエンスの熱量はリアルタイムでイベントを見ている僕らにも伝わり、「これやべぇ!」とリアルタイムに盛り上がり、一回一回のイベントの記憶を色濃いものにしてくれました。Appleイベントの盛り上がりや「らしさ」って、そういう会場の熱量も含めてのものだったと思うのです。
でも、今年はそうじゃなかった。3度のオンラインイベントは、すべて事前に収録された映像でした。
ニュースタンダードの時代に、これもアリだなと思わせてくれた
オーディエンスが一人もいないAppleのイベント、それってどうなの? 淡々と製品を見せて、数字を挙げ連ねて、今日から予約できますよ、それじゃバイバイ。Appleがそんな普通すぎる映像にしてこなかったのは、もうご存知ですよね。
6月のWWDCの時の映像です。誰もいないSteve Jobs Theaterの客席と、一人で語るティムの姿を見た時「今年のAppleはこのテンションなんだな」と思ったものです。Black Lives Matter運動が高まってきた時期でもあり、まぁシリアスになるのも仕方ないな、と。
でも、クレイグ・フェデリギが登場して、今度はApple Parkにカメラが移動すると「あれ、かなり映像凝ってるじゃん」と、最初に感じた閉塞的な印象は薄らいできました。さらにカメラはApple Parkを縦横無尽に飛び回り、天蓋から地下まで余すところなく映してくるじゃないですか。なんだなんだ、このAppleイベントの映像面白いぞ!?
4ヶ月が過ぎ、HomePod miniやiPhone 12シリーズのお披露目があった10月のオンラインイベント。2回目にもなると、見てる僕たちもApple Parkの構造や、地下の研究エリアにも詳しくなってきたものです。なんなら6月の時は地下の様子は撮影のために作ったのかなーと思ってたけど、2度も映ったならこれは本当の場所なんだなと思い直したもん。
そして今日のオンラインイベントでは、史上初となるMac向けApple Silicon「M1」を搭載したMacが正式に発表されました。3回目のオンラインイベント、僕たちはもう何も不安に思っていないし、どういう手順で発表されるかもわかってきました。
振り返ってみると、発表内容はわかりやすかったし、演出は面白かったし、Appleの施設紹介にもなっていて楽しめた。日本語字幕がデフォルトで付いていたのもめちゃくちゃ助かりましたよ。オンラインで事前収録した映像を発表するこのスタイル、全ッ然アリなのでは?
熱量は僕らの中に生まれる。それがシェアされ広がってゆく
Appleは映像のトリックを駆使することで、僕らに驚きを与えることに成功しました。それは例年の歓声とは違う方法で僕らを興奮させ、「今○○だったよね!?」などの衝動的シェアを誘発し、結果的に僕らはオンラインを通じてワクワクを共有していました。この記事を書いてる今も、ギズモードはzoomでやり取りしています。例年なら皆で集まってワイワイするんですけど、zoomだと製品が登場するたび皆がしゃべってワーワー状態ですよ。
リアルに集まれない厳しい状況の中でも、こうしてApple Eventが楽しいものであり続けられたのは、なかなか感慨深いものがありますね。なんなら今回のやり方は、新型コロナが収まったあとでも継続して良いんじゃないの? 字幕表示はありがたいし、アーカイブも見やすいし、メディアの人たちもラクだろうし。
賑やかなお祭り感がないのは確かに寂しいけど、祭りはいつか終わり、また次の祭りが始まるものです。深夜4時、僕たちの心はたしかにワッショイ状態ですとも。次の映像も楽しみにしてるよ、Apple。