AMD RX 6800 XTレビュー:Nvidiaに対するリードは顕著!(レイトレを使わないときは)

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  • author Joanna Nelius - Gizmodo US
  • [原文]
  • 福田ミホ
AMD RX 6800 XTレビュー:Nvidiaに対するリードは顕著!(レイトレを使わないときは)
Image: Joanna Nelius - Gizmodo US

PCゲーミングのグラフィックスが新たなステージに。

AMDがついに、レイトレーシング対応グラフィックスカードカード・Radeon RX 6800 XTとRX 6800を発表しました。気になるベンチマークを米GizmodoのJoanna Nelius記者が徹底的にやってます。NvidiaのGeForce RTXシリーズと比べてどんな結果だったんでしょうか?


AMDが新グラフィックスカード・Radeon RX 6000シリーズのスペックや新機能を発表したときは歓喜しましたが、レイトレに関しては一抹の不安がありました。発表のときAMDはレイトレ性能について多くを語っておらず、それはNvidia RTX 3000シリーズに対抗できる確信がないからなのかな? と思えました。

以下の私のテストでは、残念ながらその予感が裏付けられてしまいました。でもだからって、AMDの新アーキテクチャ・RDNA2を悪者にする必要はありません。レイトレに関してはやや残念でしたが、AMDが謳っていたベースのパフォーマンスは、RX 6800 XTでもRX 6800でも、RXT 3080やRTX 3070を上回っていて、素晴らしいGPUであることに変わりないからです。

通常新しいGPUが出ると、それが毎秒何フレーム叩き出せるかに注目が集まります。でもRadeon RX 6000シリーズにはSmart Access MemoryRage Modeといった新機能が追加されていて、話がもっと複雑になっています。RX 6800 XTとRX 6800の強み・弱みは、フレームレートというよりも、ユーザーが元々使っているゲーム環境との相性に関係してきます。緑チームか赤チームか悩んでいる人、その気持ちはよくわかります。

ベースの部分ではAMDは、新世代のRDNA2アーキテクチャの採用で一段の成長を遂げました。先代よりワットあたりのパフォーマンスが50%向上しただけでなく、コンピュートユニットやシェーダーも増え、さらにInfinity Cacheなるものも追加されました。これはメモリ帯域拡張とレイテンシ最適化のために用意された、128MBの専用スペースです。

この128MBに、フレームバッファやZバッファ、直近のテクスチャなどがキャッシュされる仕組みです。通常はGPUのVRAMに入るビジュアルデータをInfinity Cacheに入れることで、VRAMは他のデータが使えるようにして、レンダリングを速めるわけです。

実際その効果は、ゲームでのベンチマークのときや、新しいシーンを読み込むときにははっきりはわかりませんでしたが、解像度を切り替えるとき、リロードが速いことに気づきました。普通は画面が1、2秒黒くなるものですが、たとえば『Shadow the Tomb Raider』や『Assassins Creed Odyssey』、『Control』での解像度切り替えは一瞬でできました。ただしNvidiaのRTX 3080とかRTX 3070を使ってるときは、そんな風に画面が黒くなってしまうことはありません。

AMD Radeon RX 6800 XT・RX 6800

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これは何?:AMD最新のレイトレーシング対応単体グラフィックスカード

価格:RX 6800 XT:649ドル(約6万7000円)、RX 6800:579ドル(約6万円)

好きなところ:ベースのパフォーマンス、価格、Smart Access MemoryによるFPS向上、レイトレーシング使ったほとんどのゲームに対応

好きじゃないところ:Rage ModeではFPSがほとんど上がらないこと、BIOSとゲームの安定性の問題


ベンチマーク環境について

Smart Access Memoryの比較以外のすべてのベンチマークでは、RX 6800 XTでもRX 6800でも以下のシステムを使いました。

CPU:Intel Core i9-10900K CPU

マザーボード:Asus ROG Maximus Extreme XII

DRAM:G.Skill Trident Z Royal DDR4-3600 16GB (8GB x 2)

ストレージ:Samsung 970 Evo NVMe M.2 500GB SSD

電源ユニット:Seasonic Focus GX-1000

CPUクーラー:Corsair H150i Pro RGB 360mm

Smart Access Memoryのテストでは、CPUとマザーボードをRyzen 9 5950XとAsus ROG Crosshair VIII Heroに替えました。

ちなみにAsus ROG Crosshair VIII Heroでのテストについて注意です。このマザーボードのRAMの周波数は最大3600Hzとされてるんですが、私は3200Hzにしかできませんでした。Asus ROG Crosshair VIII Heroの最新のBIOSには現時点で不具合があり、RAMの周波数を自動でオーバークロックして最大化するDOCPのプロファイルを選択しているとシステムが起動できなくなっています。AMDはこの問題を認識していて、対応中とのこと。

前バージョンのBIOSなら問題なかったんですが、Smart Access Memoryを使うには最新バージョンのマザーボードが必要だったので、その点がテストでの制約になりました。でもパフォーマンス上は周波数が低くてもほとんど影響はなく、それはAMD設定のシステムでの結果のグラフにも示されてます。IntelのCPUに関しては、問題ありませんでした。


ベースのパフォーマンス

では以下、各ベンチマークテスト結果をグラフで見ていきましょう。

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通常我々のベンチマークでは3DMarkは使わないんですが、今回はゲーミングの詳細なベンチマークに入る前の出発点として役立ちました。Nvidiaに対するAMDのリードは顕著で、Radeonが先代から大きく成長したことがうかがえます。AMDがNvidiaに対しこんなに差を付けたことはなく、GPUアーキテクチャの変更が功を奏したのだと思われます。

以下のゲーミングでのベンチマークにもあるように、RX 6800 XTはRTX 3080 を、RX 6800はRTX 3070を上回っていますが、それはレイトレーシングを使わない場合だけでした。RTX 3080はPort Royalではかなりリードし、RTX 3070でもRX 6800 XTと大差ありません。RX 6800のレイトレ性能はやや残念で、RTX 2080とか2070がこんな感じかもというところです。これは、個々のゲームに入るとすぐわかります。RX 6800 XTのレイトレ性能は、RTX 2080 Tiに近いです。

各ゲームでのパフォーマンスは?

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AMDの新GPUたちは、1440pとか4Kでは、Nvidiaの新GPUと全体的に同等以上です。でもゲームによって傾向が違い、『Control』とか『Metro Exodus』ではRX 6000シリーズがRTX 3000シリーズを超えることはありませんでした。でも下のグラフにあるように、Smart Access Memoryが有効だと、フレームレートが文字通りグラフの外に飛び出しそうな勢いでした。

でもレイトレーシングまたはSmart Access Memoryをオンにすると、話は複雑になってきます。机上では、AMDの新カードはすべての現行レイトレ対応ゲームと互換性があるはずで、実際ほとんどはそうです。ただ『Wolfenstein: Youngblood』みたいなゲームではNvidia独自手法のレイトレーシングを使っているので、同じようには動作しません。レイトレとNvidiaのフレームレート向上・画像シャープ化技術のDLSSが統合されているので、AMDのカードでは使えません。このオプションは動画設定画面で表示もされません。

AMDのレイトレーシングは『Metro Exodus』、『Battlefield V』など、レイトレ設定とDLSS設定を分けているゲームでは問題なく使えました。ただ『Control』では、1440pか4Kでレイトレ有効にしていると、RX 6800 XTでもRX 6800でもしょっちゅうフリーズしました。1080pではこの問題は起きませんでした。さらに不思議なのは、この問題はAMDのカードをAMDのプロセッサと組み合わせたときだけ起きていて、同じカードをIntelのシステムと組み合わせたときは起こりませんでした。

新機能の効果のほどは

新機能Smart Access Memoryは、Ryzen CPUとRadeon GPUを直接「対話」させ、システムのDRAMを経由することなくお互いのメモリにアクセスできるようにするものです。これによってフレームレートが向上するのがメリットですが、AMDとしてはユーザーを囲い込むこともできます。そして実際フレームレートは上がるんですが、使えるのは一部のゲームだけです。NvidiaのDLSSが一部のゲームでしか使えないのと同じです。

『Shadow the Tomb Raider』みたいなゲームはDLSSにもSmart Access Memoryにも対応してますが、Smart Access Memoryは『Metro Exodus』では効果がありませんでした。Smart Access Memoryがどのゲームで使えるかは、ゲームを最初にロードするときのAMD Ryzen/Radeonロゴの有無でだいたいわかります。ロゴが出てくる場合はこの機能の恩恵が受けられますが、でも必ずではありません

どこでどれくらいパフォーマンスが向上するかは、以下のグラフでわかります(SAMはSmart Access Memoryの略)。

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DLSSと同様、Smart Access Memoryはフレームレートを10FPSくらい向上させてます。ただDLSSはフレームレートだけじゃなくて各フレームの画質も向上させるので、厳密にはDLSSのほうがベターです。が、現状DLSS対応ゲームは20本ちょっとしかなく、来年にはもっと増えるという状況です。AMDは独自のSuper ResolutionというDLSSを発表予定ですが、これも来年まで出てきません。AMDにはすでにCAS(Contrast Aware Sharpening)などの技術がありますが、DLSSと違ってフレームレートには貢献せず、これまた全部のゲームでは使えません。

あと、ここまでRage Modeの効果について書いてませんが…そもそもRage Modeは、RX 6800 XTでしか使えないんです。パフォーマンスもそんなに良くならず、改善したとしても1、2フレームくらいでした。

レイトレと画質、どこまで求める?

そんなわけでDLSS非対応ゲームのパフォーマンスをオーバークロックなしで上げる最善の方法がSmart Access Memoryなんです。でもSmart Access Memoryを使いたい場合、全てAMDのシステムが必要になります。でも全てAMDということは、レイトレ性能は諦めることになり、そこで次のグラフを見てみましょう。(この記事、グラフ多いんです)

レイトレ性能ではやっぱりNvidiaがベストで、4K 60fpsでも高画質を700ドル(約7万3000円)程度で見たい人はNvidiaのRTX 3080が最適解です。NvidiaはAMDよりレイトレでは先行してきたので、ここはしょうがないかと思います。RX 6800 XTのレイトレ性能は、1080pとか1440pでは良いのですが、それだとRTX 2080 Tiと同等です。でも少なくとも画質は、Nvidiaのカードと同じくらい美麗です。

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レイトレが有効だと、RTX 3080がRX 6800 XTをかなりリードしていて、それはSmart Access Memoryを有効にしても変わりません。RTX 3070とRX 6800はパフォーマンス的にはより近いんですが、やっぱり前者のほうが10〜15FPSリードしています。4Kモニターとレイトレ対応ゲームをたくさん持ってる人は、Nvidiaを選んでおくほうがいいと思います。でもモニターが1440p以下でレイトレ対応ゲームはそんなに持ってない場合、とくにRyzen 5000シリーズのデスクトッププロセッサを買っちゃったとかなら、AMDのほうがいいかもしれません。

なので本当に、既存のシステムとの相性が大事になりますね。Smart Access MemoryによるFPS向上は、レイトレがあってもなくても、AMDのGPUとAMDのCPUを組み合わせたときしか期待できません。しかも対象のゲームは一部で、効果がある解像度も一部です。NvidiaのDLSSは、対象ゲームは一部ですが、解像度は問わず、CPUにも依存しません。

とはいえRX 6800 XT・RX 6800ともにRTX 3080 ・RTX 3070 よりベースのパフォーマンスが高いので、AMD勢のほうがお得感はあると思います。とくに649ドル(約6万7000円)のRX 6800 XTは、RTX 3080 より60ドル(約6200円)安いです。でも579ドル(約6万円)のRX 6800と499ドル(約5万2000円)のRTX 3070の比較はもっと難しく、たしかにベースのパフォーマンスはRX 6800のほうが高いですが、80ドル(約8300円)分の差かどうかは微妙です。

単にPCに新しいGPUを入れたいだけの人なら、AMDの6000シリーズどちらを選んでも間違いありません。何もしなくてもベースのパフォーマンスがベストで、手がたい選択です。でもレイトレ性能とかBIOSレベルでのパフォーマンス向上とかを追求していくと、だんだん魅力が感じられなくなります。

といっても最新BIOSでの問題はおいおい修正されるでしょうし、Smart Access Memoryの制約もこれから解消されていくでしょう。『Control』で起きた問題が何なのかはまだわかりませんが、そこも修正されることでしょう。でも今は、Nvidiaのほうがソフトウェア関連ではうまくやっています。残念ながら、今はNvidiaとAMDどっちがいいと言い切れる状況ではありません。突き詰めると、AMDの新しいカードを手に入れてハッピーになれるかってことなんですが、私自身はハッピーになれると信じてます。

まとめ

・Nvidiaの最新グラフィックスカードより、ベースのパフォーマンスがベター。

・パフォーマンスと機能のわりにお手頃な価格設定。

・レイトレーシング性能はややがっかりですが、AMDのレイトレ対応第1世代としては悪くない仕上がりです。


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