Appleのプロセッサ一気通貫作戦。サブスクという巨大市場で戦う剣となるか

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  • author 武者良太
Appleのプロセッサ一気通貫作戦。サブスクという巨大市場で戦う剣となるか
Image: Svetapple

今も忘れない2006年。

アップルはそれまで自社と、IBMとモトローラの共同開発で生んだCPU、PowerPCを捨て、大いなるライバルだったIntel製CPUを使うようになりました。多くのユーザーが嘆き悲しみ、流した涙で湖が生まれたという伝説があるとかないとか。

最新こそが最良だ、と信じてやまない人々がリニューアルMacに次々と手を出すなか、「俺はずっとPowerPC Macでイクぜ」とツッパリロケンローしたマカーもいましたっけ。僕の知る限り、その全員がIntel Macの爆速っぷりを見逃せず、いつしか新時代の海へと飛び込んでいきましたが。

AppleシリコンMacの衝撃

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Image: Apple

あの激変期から、14年が経ちました。そしてアップルはIntel CPUに見切りをつけ、自社開発のSoC・Appleシリコンを搭載したMacを発表しようとしています。

iPhone/iPadで使われているAシリーズのSoCもAppleシリコン。Apple WatchのSシリーズもAppleシリコン。Touch ID用チップのTシリーズも、ワイヤレスチップのWシリーズも、超広帯域無線システムのUシリーズもすべてAppleシリコンです。

つまりAppleシリコン搭載Macの登場とは、アップルがパーソナルコンピューター向けのSoCを作るというビッグバンに他なりません。スマホと比較したら超巨大バッテリー搭載、もしくはAC電源直結でパワー供給に不安なしなマシンで、最高出力を叩き出すことになるのでしょうから、今夜は、誰もが歴史が変わる瞬間の目撃者となるのです。

Appleシリコンに替わることで何が起きるか

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Image: Apple

ではIntel CPUからAppleシリコンに切り替わることで、何が起きるのでしょうか。僕らははどんなメリットを享受できるのでしょうか

まずはなんといっても高速化と低消費電力。2020年6月のWWDCでは、Macで使われるAppleシリコンは高速化が著しいという発言が飛び出ました。AppleシリコンはCPU部・GPU部・セキュリティ・ストレージコントローラなどを1つにまとめたSoC構造となっており、データの転送効率が大幅アップ間違いなし。ARM系SoCが得意としている、メニーコアコントロール技術からの並列処理速度アップや効率優先の低消費電力駆動というスキルを手に入れることとなるでしょう。

そして忘れてはならないのが、アプリ・ソフトウェアの共用化。同系統のSoCを用いることから、iOS、iPadOSとの互換性が期待できるようになります。Macはアプリ面においてWindowsより地味。iPhoneのアプリの延長線にMacアプリあるなら、Mac用のアプリ開発に取り組むエンジニアも増えるでしょう。ユーザーとしても、iPhoneと同じアプリが動く・同じアプリをMac用にローカライズしてより使いやすくなったアプリがある、というメリットは見逃さないはず。

さらに。Apple Oneという統合サブスクリプションサービスへの誘いがあることは間違いないはず。エンタメサービスだけじゃないよ、ストレージサービスでデバイスを跨いだデータ共有も簡単ですよ、と言ったように。

動画のサブスク、ゲームのサブスク、ストレージのサブスクなど色々ありますが、アップルはどの分野でも色褪せています。だからこそグロスでまとめてチーム戦で戦うApple Oneが登場したのでしょう。この先、ビジネススイートアプリやWEBアプリの導入も考え、ビジネスユーザーの取り込みも視野に入れていると思うのですよね。

ハイパワーなMacの到来は誰もが期待する、想定し得る未来ですが、サブスク市場を戦って勝つためのロトのつるぎとなるのかも。と妄想すると、鳥肌が立ちますわ。

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