2068年4月、小惑星アポフィスが地球に衝突するかもしれない。

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  • author George Dvorsky - Gizmodo US
  • [原文]
  • R.Mitsubori
2068年4月、小惑星アポフィスが地球に衝突するかもしれない。
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2068年4月12日スケジュール:「小惑星衝突?」

宇宙空間には数多くの天体があり、その中には地球に深刻な脅威をもたらす恐れのあるものも存在します。そのひとつが、巨大な小惑星アポフィス。その名をエジプト神話の悪神に由来するアポフィスは2029年と2036年に地球に接近すると予想され、これまでに何度も「地球に衝突するかも」と言われてきました。

そして今、最新の観測により、48年後の2068年にまたもや我々の惑星が攻撃される可能性が浮上しました。

すばる望遠鏡の観測で、アポフィスの脅威を再認識

今年はじめ、ハワイのすばる望遠鏡で小惑星99942アポフィスの観測が実施されました。その結果、天文学者らは「ヤルコフスキー効果がアポフィスの軌道に与える影響」に関する新たな見地を得たようです。

ヤルコフスキー効果の詳細については後述しますが、ひと言でいうと小惑星に組み込まれた推進システムのようなもの。

ハワイ大学天文学研究所の研究者で、今回の研究の共著者であるデイブ・トーレン氏は「ヤルコフスキー効果がなくても、そして2068年に限らず、アポフィスが脅威の対象であることは変わりません」とメールで説明しています。「ヤルコフスキー効果を考慮すると、2068年衝突シナリオは今も否定できません。可能性は低いですが、ゼロではないのです」。

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Image: Gizmodo US
マルで囲んであるのが、2004年の発見時に発見されたアポフィス。

トーレン氏が、NASAのジェット推進研究所のダビデ・ファルノッキア氏とともに新たな計算を行った結果、ヤルコフスキー効果によって「2068年アポフィス脅威説」が継続していることがわかったのです。彼らの発見は、アメリカ天文学会の惑星科学部会が開催した2020年バーチャル会議で発表されました。

2068年4月12日に地球と衝突? 可能性は低い…けどゼロじゃない

小惑星アポフィスは現在、NASAが公開する脅威度ランキング“Sentry Risk Table”で3番目に位置しています。地球衝突の危険性を総合評価する“Palermo Technical Impact Hazard Scale”の推定では、2068年4月12日にアポフィスが地球に衝突する確率は15万分の1。パーセンテージで表すと、0.00067%になります。

ただトーレン氏によると、現実的な衝突可能性は53万分の1程度。これはイタリアのNEODySインパクトモニターサービスが採用する数値で、ヤルコフスキー効果も考慮されています。

将来的に、新たな分析が実施されることで、アポフィスの脅威リスクは変動するかもしれません。その際も考慮すべき変数に配慮したうえで「慎重に計算しなければならない」とトーレン氏は述べました。今後も天文学者が、この小惑星の道筋をいろいろ解明していくことになるでしょう。それに伴い、予測経路もまた時とともに変わってくると思われます。

本当にぶつかったら、大惨事になる。

地球と衝突する可能性はかなり低そうですが、もし万が一衝突したら、大変なことになります。ニッケルや鉄から成るアポフィスの大きさは直径300m以上。サッカーコート3つ分に相当します。もしこの小惑星がぶつかった場合、地表は1,151メガトンの衝撃をくらうことになります。実は、地球は8万年に1度の割合でこのような悲惨な出来事に見舞われてきました。

というわけで、科学者らはより正確で詳細な推定データを算出すべく、アポフィスの動向を慎重に見守っています。 地球近傍小惑星としてアポフィスが最初に発見されたのは、2004年のこと。当時、天文学者は「2029年、地球に衝突する確率は2.7%」という恐ろしい数値をたたき出し、かなり話題になりました。その後、「実際に衝突する可能性は低い」と修正され、さらに2036年に再接近することもわかりました。そして、ヤルコフスキー効果の影響次第で、2068年にアポフィスが地球と衝突する可能性がぬぐえないというのが現状です。

ヤルコフスキー効果とは、太陽熱の再放射によって星の軌道がずれること

小惑星は、太陽の光線にさらされるため、多くのエネルギーを吸収します。この過剰な熱は最終的に宇宙に再放射されますが、完全に均一に放射されるわけではありません。放射熱のムラが星の軌道を微妙に変化させることになり、これをヤルコフスキー効果と呼びます。

アポフィスの共同発見者であるトーレン氏は、「小惑星は、自ら放射する光によってわずかに押されるかたちになります。温度の高い側がより多くの光(目に見えない赤外線波長)を放出するため、正味の非重力が体に作用するのです」と説明しました。「それは非常に小さな力なので、(惑星などの)大きな物体では目立ちませんが、物体が小さいほど効果を検出しやすくなります。

トーレン氏は同僚とともに、過去16年間にわたってアポフィスの位置を追跡してきました。そして今、重力によってのみ制約される軌道(重力軌道)からわずかに逸脱していることに気づいたのです。

「我々の研究の成功に、今年1月と3月に行われたすばる望遠鏡での観測が大変重要でした。小惑星のサイズの約2倍という精度で、その位置を測定できましたから」とトーレン氏は言います。「アポフィスの直径は約300m。そこから7000万km離れていたにもかかわらず、位置を誤差約700mの精度で測定できました」。

彼のチームの計算によると、ヤルコフスキー効果により、アポフィスの軌道長半径(星の軌道の長軸の半分)は毎年170m縮んでいるとのこと。つまり、本来の重力軌道から毎年約170mずれています。同氏によると、地球に接近するといわれる2029年、地球の重力を受けてアポフィスの準主軸は大幅に増加します。

こうした試算の質を上げるには、より多くの観察を重ねなければなりません。ヤルコフスキー効果がアポフィスにもたらす影響についても、その特性評価を改善する必要があります。衝突が起こる(かも)とされる2068年よりはるか以前に、それが回避可能かどうか天文学者らが知ることになるはずです(でないと困りますが)。

22世紀と29世紀、別の天体と衝突の恐れも

ご参考までに、“Palermo Technical Impact Hazard Scale”でリスク評価トップ2の地球近傍天体は、小惑星29075(1950 DA)小惑星ベンヌです。

小惑星29075(1950 DA)は、2880年に8,300分の1(0.012%)の確率で地球と衝突する可能性あり。そして小惑星ベンヌについては、NASAのOSIRIS-REx宇宙船が現在調査中で、2175年から2199年の間に地球に衝突する可能性が2,700分の1(0.037%)だそうです。もちろん、他にも地球に飛来する可能性のある天体はありますが、Palermoスケールでは「壊滅的な損傷をもたらす可能性」といったさまざまな要因を考慮して、リスク評価を行っています。

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