科学者:「地球温暖化が進むと雲がなくなり、手がつけられなくなる」

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  • author Brian Kahn - Gizmodo Earther
  • [原文]
  • Rina Fukazu
科学者:「地球温暖化が進むと雲がなくなり、手がつけられなくなる」
Image: shutterstock

「雲がなくなる」とは......?

気候変動対策として、太陽を遮るというアイデアがあります。世界のリーダーが気候危機に十分対応できていないことを背景に、太陽放射管理(solar radiation management)という名の下にますます研究が進んでいます。また、これには大気中の高い位置にある小さな粒子を注入して、太陽のエネルギーを宇宙に送り返すことなども含まれます。

太陽放射管理を実行に移さないのにはいくつもの理由が挙げられるでしょう。太陽を遮ると作物の生産に悪影響だったり、降雨量が変化したり、その他多くの問題を伴う可能性があります。また、先日PNAS(米国科学アカデミー紀要)によって発表された論文では、炭素排出量を急増させ続ければうまくいかないかもしれないと説明しています。一体どういうことなのでしょうか?

「太陽放射管理では補償できない」

今回の調査結果は「世界のリーダーが炭素汚染の増加を続ければ、雲を失い熱的死に直面する可能性がある」と示唆した昨年のモデリングに基づいたもの。科学者らは今回、排出量が増加するなかで太陽を遮ろうとすると、熱帯の層積雲にどのように影響するかを調査。こうした雲は、いわば重要な冷却力として機能するといいますが、地球が温暖化するにつれてこうした雲は薄くなり、失うことすらあり得るということが先行研究でわかっています。今回の研究ではさらに雲が薄くなり、やがて消失した場合について調べられました。

「温室効果ガス濃度の上昇により起きた温暖化をカバーできたとしても、雲に対する温室効果ガスの赤外線効果はまだ残ることから、太陽地球工学によって補償されないことになります」とは、研究を主導したカリフォルニア工科大学の気候科学者であるTapio Schneider氏。米Gizmodoの取材に対してメールで説明してくれました。調査の結果、太陽を遮ろうと努力しても雲はゆっくりと薄くなり、表面温度は上昇し続けることがわかったといいます。つまり、太陽放射管理の効果は期待できないということでしょうか...?

二酸化炭素レベルが約1,800パーツパーミリオン(ppm)という究極なレベルまで上がれば、雲は消え、急速な温暖化が起きるという結果も示唆されました。それによれば、気温は数度から摂氏7度の急激な上昇が起きるといいます。

パニックになるべきではない理由

ただしこの結果は、実際の地球工学のシナリオで実際に起き得ることを“現実的に表現したものではない”とのこと。今回の結果は、大気に関して十分に研究されていない部分を知るための「もしこれが起きたら」という極端な仮説に基づいています。

雲は世界中いたるところにあり、種類も多様にあります。そのうえで気候科学者らは、気候や私たちへの影響を解明するために取り組んでいます。たとえば熱帯の層積雲には冷却の影響があったり、巻雲は熱をもたらす可能性があると考えられています。地球工学が雲とどのように相互作用するかについては、もっと多くのことを調べる必要がありそうです。

また、現在私たちの世界の二酸化炭素濃度は410ppmで、上記の思考実験による約1,800という数字からは程遠くにあります。とはいえ、産業革命前のレベルである約280ppmから約170年で確実に上昇していることは明らかです。

今回の研究は「地球工学が雲を消失させ、誰もがパニックになる」という未来を描いているわけではなく、複雑な地球システムにはあらゆる側面があるのでもっと研究を続けていくべきだと受け取れそうです。いずれにせよ研究で示されたような最悪の時代を防ぐためには、炭素排出量の迅速な削減に向き合うことが重要です。

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